実践を通じたTRIZ活用の社内推進 (デンソーの事例)

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 これは、2013年9月に開催された第9回日本TRIZシンポジウムで、株式会社デンソーの久永 滋さんが発表した「実践を通じたTRIZ活用の社内推進」を要約し、感想を加えたものです。

 デンソーでは2003年よりTRIZの導入を始め、これまで社内でのTRIZ活用を推進してきました。初期の外部コンサルタントの協力による、ワークショップ中心の導入段階を経て、2006年頃からは実践を中心とした活動へと移行しています。これは社内の希望者が社内推進者とともに、実際の業務課題に対してTRIZを適用して解決を目指す活動であり、現在もこの形は継続されています。

  2009年頃からは多様なテーマと多様な期待に応えるべく、使用するツールを増やし、他の手法とも組み合わせて効果を確認してきました。 導入から現在までの約10年で、約200件のテーマに適用されているそうです。

 この活動の成果の一つである、「ある技術ベースの開発シナリオの設定」では、従来の「単に商品の時系列で並べるだけ」のマトリックスではなく、「物質-場モデル」をヒントにして、目的物に作用する作用体の変化という視点での新しい商品シナリオの分析が提案されていました。これは同...

 これは、2013年9月に開催された第9回日本TRIZシンポジウムで、株式会社デンソーの久永 滋さんが発表した「実践を通じたTRIZ活用の社内推進」を要約し、感想を加えたものです。

 デンソーでは2003年よりTRIZの導入を始め、これまで社内でのTRIZ活用を推進してきました。初期の外部コンサルタントの協力による、ワークショップ中心の導入段階を経て、2006年頃からは実践を中心とした活動へと移行しています。これは社内の希望者が社内推進者とともに、実際の業務課題に対してTRIZを適用して解決を目指す活動であり、現在もこの形は継続されています。

  2009年頃からは多様なテーマと多様な期待に応えるべく、使用するツールを増やし、他の手法とも組み合わせて効果を確認してきました。 導入から現在までの約10年で、約200件のテーマに適用されているそうです。

 この活動の成果の一つである、「ある技術ベースの開発シナリオの設定」では、従来の「単に商品の時系列で並べるだけ」のマトリックスではなく、「物質-場モデル」をヒントにして、目的物に作用する作用体の変化という視点での新しい商品シナリオの分析が提案されていました。これは同社のTRIZ活用の歴史の中で生まれた面白い考え方であり、これを更に発展させるための研究がされることが期待されます。

 10年前に開始したTRIZの活動を、いろいろな段階で工夫を凝らしながら、自社内でのパワフルなツールに変えていく姿は、非常に興味深いものがあります。

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この記事の著者

桑原 正浩

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