「品質マネジメント」とは、キーワードからわかりやすく解説
1. 「品質マネジメント」とは
品質マネジメントは、品質保証、品質管理、品質改善の3つの活動からなります。 製品品質の評価、向上策としてはSQCもありますが、全社的な仕組みや考え方も非常に重要で、ISO9000シリーズが国際標準となっています。開発設計に絞ったAPQP/シックスシグマや、経営品質に踏み込んだ日本経営品質賞もあります。
2. 「品質マネジメント」:品質問題の発生原因
ある会社で発生した品質問題の原因を分析してみると、次の順でした。90%が再発(既知のメカニズム)不具合であることが分かりました。ということは、未然防止が可能だということです。世の中に知られていない新発見要因で起こることはまずありません。
既知の故障メカニズム、過去トラブルに気づかず、類似の問題で発生 50%
問題は分かっていたが、評価検討不足で発生 25%
設計基準不遵守で発生 15%
世の中に知られてない新発見要因で発生 10%
このような再発不具合を防ぐ手法として、FMEA(設計段階で漏れなく不具合を予測し、その不具合が起きないように事前に手を打つための手法) が広く活用されています。FMEAはまず設計者が実施し、その後チーム活動で設計者の予測に抜け漏れがないか検討します。
3. 「品質マネジメント」:品質コストの概念
設計者の皆さんにとって「品質のコスト」とはどんな概念でしょう?タグチメソッドを提唱した田口玄一は「品質」を次のように定義していました。
「品質とは、品物が出荷後、社会に与える損失である。(中略)より具体的には、(品質)=(機能の理想からのばらつきによる損失)+(使用コスト)+(公害)」
ここでは品質そのものが損失、すなわちコストと考えようと提起しているわけです。一見我々の常識と逆かさまに思えますが、品質が良い度合いの定量化が難しいのに対して、品質が悪いことによる損失を数値(金額)で表すことが比較的容易であるために、これはこれでなかなか優れた定義なのです。ただしこの品質は「出荷後の損失」であり、それを負担するのは製造者ではなく利用者ですから、製造コストには直接影響しないものの、その製品を買う時に当然品質の良い、つまりばらつきが小さく、電力消費など使用コストが少ないものを選ぶわけですから、場合によっては製造コストよりも製造者にダメージを与えます。
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