改善対象が分かりにくいオフィスでのカイゼン活動、その進め方とは

投稿日

改善対象が分かりにくいオフィスでのカイゼン活動、その進め方とは

【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「人的資源マネジメント」に関するセミナーはこちら!

    ▼さらに幅広く学ぶなら!
    「分野別のカリキュラム」に関するオンデマンドセミナーはこちら!

    生産現場では一般的に行われているカイゼン活動ですが、オフィス(製品開発部門等を含む)では一般的とは言えません。生産現場とは違ってオフィスでは、まず改善の対象となるモノが良く見えません。モノが良く見えないため、削減するムダも良くわかりません。さらにオフィスはカイゼン活動のための教育が行われていないことが多いので、皆はどのようにムダを把握してよいのか、またはどのようにムダを削減してよいのかが曖昧です。

     

    生産現場ではチームで仕事をするので、チームワークを主体とするカイゼン活動がやり易いのですが、個人で仕事をすることが多いオフィスでカイゼン活動を行うためには、強いリーダーシップが不可欠となります。しかしリーダーは往々にして忙しいため、カイゼン活動に加われないのが現状です。この様な理由からも、オフィスでのカイゼン活動は、多くの企業においては、一般的ではないと思います。

     

    筆者が所属する製品開発部門でも、これまでカイゼン活動は行われていませんでした。(業務プロセスに問題があった時は、問題が顕在化し、エスカレートして大問題になってからリーンシックスシグマのDMAICフレームワークを使って問題を解決していました)

     

    しかし周りを良く見てみれば、製品開発部門内でも、 DMAIC でプロジェクトを立ち上げるまでもなく、もっと早く解決したい小さな問題をたくさん見つけることができます。またマネジャーや社員の声に耳を傾ければ、色々な業務上の問題が聞こえきます。そこでそれら...

    改善対象が分かりにくいオフィスでのカイゼン活動、その進め方とは

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「人的資源マネジメント」に関するセミナーはこちら!

      ▼さらに幅広く学ぶなら!
      「分野別のカリキュラム」に関するオンデマンドセミナーはこちら!

      生産現場では一般的に行われているカイゼン活動ですが、オフィス(製品開発部門等を含む)では一般的とは言えません。生産現場とは違ってオフィスでは、まず改善の対象となるモノが良く見えません。モノが良く見えないため、削減するムダも良くわかりません。さらにオフィスはカイゼン活動のための教育が行われていないことが多いので、皆はどのようにムダを把握してよいのか、またはどのようにムダを削減してよいのかが曖昧です。

       

      生産現場ではチームで仕事をするので、チームワークを主体とするカイゼン活動がやり易いのですが、個人で仕事をすることが多いオフィスでカイゼン活動を行うためには、強いリーダーシップが不可欠となります。しかしリーダーは往々にして忙しいため、カイゼン活動に加われないのが現状です。この様な理由からも、オフィスでのカイゼン活動は、多くの企業においては、一般的ではないと思います。

       

      筆者が所属する製品開発部門でも、これまでカイゼン活動は行われていませんでした。(業務プロセスに問題があった時は、問題が顕在化し、エスカレートして大問題になってからリーンシックスシグマのDMAICフレームワークを使って問題を解決していました)

       

      しかし周りを良く見てみれば、製品開発部門内でも、 DMAIC でプロジェクトを立ち上げるまでもなく、もっと早く解決したい小さな問題をたくさん見つけることができます。またマネジャーや社員の声に耳を傾ければ、色々な業務上の問題が聞こえきます。そこでそれらの小さな問題を解決して、ムダ・ムリ・ムラを削減するために、オフィスでのカイゼン活動を始めてみました。

       

      1. インタビュー

      まず第一に取り組んだことは、問題の把握です。問題の把握のために、カイゼンではよく改善ボックスを設置して、思い付いた改善内容を紙切れに買いて投稿してもらうシステムを使います。しかしこのシステムが有効なのは、カイゼン教育が行き届いている組織だけです。残念ながら、一般的なオフィスに改善ボックスを設置しても、あまり有効ではないでしょう。 改善ボックスで集めたアイデア数を、集めるのに使った時間(月日)で割れば、改善ボックス の効率が分かります。

       

      そこで改善ボックスの代わりに、どのような問題を日頃感じているのか、マネジャーや社員に直接インタビューをしてみました。そしてたった1日のインタビューでも100を超える問題を聞き取ることができました。

       

      2. 問題文の定型化

      皆がそれぞれの言葉で問題を語ってくれたため、内容を比べることに困難を感じました。そこで次に取り組んだことは、問題の定型化です。集めた100を超える改善アイデアを、次の型に翻訳してみました。

      •  ____にも関わらず (今行っている努力や期待)
      •  ____において (部署やチーム)
      •  ____という問題が起きている。
      •  この問題は、____に悪影響を及ぼしている。(直接の不利益)
      •  考えられる原因としては____が挙げられる。

       

      問題を定型化することで、格段に理解しやすくなりました。また定型化はエクセルの欄を使って行ったので、内容に応じた並び替えや、同じ内容のグループ化も容易になりました。

       

      改善対象が分かりにくいオフィスでのカイゼン活動、その進め方とは

       

      3. ムダの種類の把握

      次にエクセルに新しい欄(ムダの種類)を加えて、問題を解決した場合に削減できるムダの種類を、それぞれの定型化した改善アイデアに割り振りました。ムダの種類によって並び替えやグループ化を容易にするためです。

       

      4. 評価項目の決定

      改善アイデアは100以上もあったので、すべての改善を限られた人員が限られた時間で行うことは不可能です。そのため優先順位をつけて、最も効果的な改善から順に行っていく必要がありました。そこで以下のような優先順位をつけるための評価項目を決定しました。

      • インパクト
      ○ 収益の増加
      ○ コストの削減
      ○ 固定資産の削減
      ○ ビジネス戦略
      ○ 納期
      ○ 調達期間
      ○ 品質
      ○ 顧客満足

      • リソース
      ○ 人材
      ○ 資本
      ○ 時間

      • リスク
      ○ 技術的リスク
      ○ プロジェクトリスク
      ○ 相互依存におけるリスク

       

      さらにそれぞれの評価項目には、重要度に応じて重み付けの数値を割り振りました(数値はAHPを使って決定)

       

      5. 優先順位の決定

      チームのメンバーと一緒に、それぞれの改善アイデアをそれぞれの評価項目に従って数値評価しました。目的は優先順位の決定なので、絶対的な数値を考える必要はありません。基準となる改善アイデアをまず決めておいて、以下の値を使ってその基準となった改善アイデアとの相対的評価を行いました。

      • 0: インパクト無
      • 1: インパクト小
      • 3: インパクト中
      • 9: インパクト大

       

      すべての改善アイデアを数値評価し、数値の大きい方から高い優先順位をつけ、トップ10を選び、今回の改善項目としました。

       

      6. 改善の実施

      100以上あった改善アイデアの中から優先順位の高いものだけを選んだ後、それらについて詳細な改善計画を立てました。そしてそれらを一つずつ実行に移していきました。

       

      連載記事紹介:ものづくりドットコムの人気連載記事をまとめたページはこちら!

       

      【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      津吉 政広

      リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関する問題を一緒に解決してみませんか?

      リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関...


      「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      品質マネジメントの概要

      1. 品質マネジメントとは   どうして本稿のタイトル名が「品質管理」ではなく、「品質マネジメント」なのかというと、広義での「品質管理」は品質...

      1. 品質マネジメントとは   どうして本稿のタイトル名が「品質管理」ではなく、「品質マネジメント」なのかというと、広義での「品質管理」は品質...


      工場のヒューマンエラー対策<7つのアプローチ> (その2)

       ヒューマンエラーを防止するには、上流の工程設計段階で予防対策を講じておく事が重要であり、その時、人は本来エラーするものという前提に立ち、それをカバーする...

       ヒューマンエラーを防止するには、上流の工程設計段階で予防対策を講じておく事が重要であり、その時、人は本来エラーするものという前提に立ち、それをカバーする...


      最終回 中国工場の品質改善(その84)

      【第5章】中国企業改善指導のポイント 7、問題点を把握し対処する  前回のその83に続いて解説します。 【問題点事例】 (3)取引先に不良品を...

      【第5章】中国企業改善指導のポイント 7、問題点を把握し対処する  前回のその83に続いて解説します。 【問題点事例】 (3)取引先に不良品を...


      「品質マネジメント総合」の活用事例

      もっと見る
      受入検査で不合格が続発

        ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...

        ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...


      市場トラブルの事例と未然防止

      1. 事例:市場トラブルの現状    市場では、一体どのような製品のトラブル(故障や事故)が発生しているでしょうか。下図は、自動車の設計に起...

      1. 事例:市場トラブルの現状    市場では、一体どのような製品のトラブル(故障や事故)が発生しているでしょうか。下図は、自動車の設計に起...


      ほとんどわかっていない要求品質を客観的に評価するには

         今回は要求品質を顧客調査する方法をお伝えします。  製品案や仮説案においての顧客へのアンケート調査の目的は、顧客の個々の「主観的」要求...

         今回は要求品質を顧客調査する方法をお伝えします。  製品案や仮説案においての顧客へのアンケート調査の目的は、顧客の個々の「主観的」要求...