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品質マネジメント」の技法解説記事



4M変更管理(変化点管理)で不良発生を未然に防止

 初めに品質管理の技法は、様々ありますが、それらはアメリカやヨーロッパから理論が輸入され、学者によって翻訳され、製造業に広く使われるようになりました。TQMTQC、QCストーリー、最近ではISO9000,TS9000などがあります。しかし、4M変更管理に関しては、「日常業務に密着した活動」であるがゆえに、学者よりもむしろ実務家の研究分野であり、それゆえ体系化が困難な面があります。
 
 しかしながら、多品種少量、最近では変種変量生産を強いられている中小製造業にとっては、いかに効率よく、トラブルを起こさずに製造現場の管理を行っていくかは、重要なテーマとなっています。そこで、4M変更管理の体系化を試み、この解説をまとめました。
 

1.4Ⅿ変更管理・変化点管理

 4M変更管理(変化点管理)の方法・手順を体系的に詳しく説明します。4M変更管理は、その発生する性質によって大きく2種類に分かれます。一つは、4Mの変化が予期しない時に突発的に発生する「4M変化発生時の管理」と、あらかじめ4M変更が予測される場合の「4M変更管理」です。ここでいう4Mとは、人(man) 機械(machine)方法(method)材料(material)のことで、ものづくりに際しては、欠かせない要素となっています。これに測定(measurement)を加えて5Mとして管理する方法も有ります。4M変更管理は、ISO9000では「プロセスの監視・測定」を通じて得られた危険情報に基づいて対策を講ずる、「予防処置的な活動」に位置付けられます。
 

2.4Ⅿ変更管理の体系化

 
 4Ⅿ変更管理の全体イメージを図1に示します。
               4M変更管理    
                                              図1.4M変更管理の手順
 
 生産が始まる前に、事前に未然防止の工程設計を行うのが本来の「予防処置」です。ところが、万全な予防策を講じたと思っても、不具合は発生します。工程設計の不備、また様々な外部要因(設計変更、材料変更など)や、内部要因(機械の故障ルール違反)などによって、決められた工程設計通りの作業が行えない状況が生じます。そこで、日常管理の中で、4M(実際は5M)の「変化点」に注目した管理が必要になって来ます。
 
 4M変更(変動)管理とは、これらの4Mの変化点を事前に把握し、4Mの条件からなる製造工程をコントロールすることで、出来栄えの品質特性としてQCDを良好な状態に保つ管理のことを指します。同じ意味で4M変化点管理とも言います。
 
2-1.4Ⅿ変動管理のマネジメント・フロー
 
 重要なポイントは、それぞれの手順の5WIHを明確にすることです。どこの部署が責任を持って判断し、実行するかです。スピーディーな対応が求められる4M変更管理では、責任と権限を明確にしておかなければなりません。
 
     (P)計画・・・管理の対象の定義づけとランク付け
     (D)実行・・・設計変更管理、工程変更管理/日常変更管理
     (C)チェック・・・重要要因、重要特性の監視と異常検出
     (A)アクション・・・異常処理、不良処理
 
 また、顧客に対して変更内容の報告が必要かどうかは設計部門、品質保証部門が中心となって協議し、最終的には品質保証部門が決定します。以上の手順を、あらかじめルール化して運用します。
 
2-2. 体系的4M変更管理
 
(1)4M変更管理対象の定義
 
 4M変更管理の対象となる製品やイベント、条件を抽出します。
 
 ●新規品
 新しい要素技術、新しい開発要素を含む製品や部品の製造
 
 ●変更品
 お客様の仕様に関わる内容の変更要求、社内事情による、寸法、材質、物性など設計仕様の変更、設備の新設・増設・改造、加工法、製法、購入先、外注の変更など製造条件の変更
 
 ●その他
 生産再開品、重要品質問題発生後の生産頭出品、段取り替え品、スキルを要する工程の人の交替直後の製品、設備等の修復直後の製品、突発トラブル発生時の製品など
 
(2)4M変更管理:変化点の洗い出し(異常の種類)
 
 品質に影響を与える変化点を洗い出します。抽出する範囲は、最終的には工場全体が対象となりますが、まずは管理する範囲を限定して、モデル工程として試行し、順次その範囲を広げていく方法も取られます。項目としては、4M(人、設備、材料、方法)+計測(Measurement)に関係するものを以下の観点で抽出します。
 
     1. 顧客の要求項目で承認を必要とする変化点
     2. 過去に発生した製造問題(市場クレーム、工程内不良)の解析結果
     3. ヒヤリ・ハット問題(不良予備軍)の解析結果
     4. 他社事例の解析結果
     5. 工程内観察結果
 
(3)4M変更管理:変化点の選択、優先順位づけ
 
 洗い出された変化点について、その全てに対応することは時間的、経済的に非現実的です。そのために、変化点を優先付けして、どの変化点を重点に対応すべきかを決めます。最初は無理をせず、項目を絞って重点思考で管理をすることが効果的です。
 
     ランクA・・品質に重大な影響を及ぼす設計変更、工程変更
     ランクB・・品質に影響を及ぼす軽微な設計変更、工程変更
     ランクC・・日常的に発生する工程の変更、作業者、治工具の変更、設備修理
     ランクD・・突発的に発生する”異常”の検出(品質異常、工程異常)
 
(4)4M変更管理:設計変更・工程変更の管理
 
 設計変更や工程変更は、基本的にその変化点が発生する時期があらかじめ分かっているので、計画的に変更作業が実施可能です。以下に設計変更、工程変更の手順を示します。
 
     ①作業前の事前準備確認・・工程変更計画書作成、工程変更申請書提出(客先)
     ②工程の変更・・QC工程表の変更、作業指示書の変更、治工具、測定機の確認
     ③変更の適用・・変更適用のロットは、「初期品」として初期流動管理を実施
     ④結果の検証・・工程変更監査を実施、問題がなければ初期品監視を解除する
 
 ★初期流動管理とは、変更後のあらゆるトラブルに対して迅速に対策を講じ、変更後の品質の低下、原価アップを招かない様、関連部門が総力で取り組むことを言います。
 
(5)4M変更管理:重要要因、重要特性の管理
 
  重要要因として、5Mの管理手順、管理点を明確にし(QC工程図)実績を記録します。同時に重要特性(QCD)の推移を記録し異常発生の有無の監視を行います。変化点の把握は、管理図・推移グラフでの異常や日常点検での異常、またいつもと違うと感じる状況の把握などです。図2参照。
            4m2
                図2.4M変更管理:要因・特性の管理   
 
(6)4M変更管理:異常処理手順
 
 異常処理は、突発性が高いため、「異常」の定義、その情報ルート、責任者、作業分担などを、あらかじめ明確にルール化しておく必要があります。図3参照。 
                  4m3
                   図3.4M変更管理:異常処理手順
 
(7)4M変更管理:製造工程の日常管理
 
 多品種少量生産においては、日常管理イコール4M変更管理の実施です。変化の発生要素に対する変化点の把握と対処方法をルール化して、常に問題が発生しない様、管理を怠らない様注意します。(現場監督者)
 
●変化の発生要素
    人・・・ローテーション、休暇対応、生産に応じて増員対応、残業
    機械・設備・・・修理、改造、段取り替え、点検、機械代替、治工具変更
    材料・部品・・・刃物変更、油脂類変更、副資材変更、使用材料変更
    作業方法・・・手順変更、工法変更、サイクルタイム変更、ライン変更
●変化点の把握と対処
    重要特性の把握と日々管理・・・管理図、グラフなど
    重要5Mの作り込条件の設定確認と初物管理・・・管理図、グラフ、チェックシート
    重要5Mの日々管理・・・管理図、グラフ
    重要要因を維持するための日常管理点設定と監視・・・日常点検・・定期点検
    標準遵守状況の点検
    ポカミス予測と事前対策
 
2-3.評価とフィードバック
 
 日常業務管理の中で、変化点の記録や、異常処置などの管理がうまくいった点、まずかった点、異常値を頻繁に起こす管理項目、逆に、ほとんど異常値を示さない管理項目の分類を行い、4M変動管理システムがうまく回っているのかどうかを評価します。関係部門を集めて、半年、ないしは1年の周期で記録・データーを持ち寄ってレビューを行います。レビューによる評価結果に基づいて4M変動管理全体の改善を実施します。これは一年間運用し、その結果改善が必要な項目を抽出し対策案を準備し、次年度から、改善を実施するというように、継続して管理システムを見直していくことで、より効率の良い管理方法に改善されていきます。
 


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