パラメータ・ダイアグラムよる原因分析とは

更新日

投稿日

 
 あるテクニカルサポートチームの不具合対策会議でのことです。会議では、客先での原因不明の製品不具合に対して、どのように調査し、どのように不具合の原因を掴むか、その方法について話し合いました。会議では複雑に絡み合ったいくつもの可能性のある原因とその影響をすべて捉えるため、パラメータ・ダイアグラム(Parameter Diagram)を使って議論を進めました。
 

1. 消防士型の問題解決方法

 
 良くあるトラブル対策は、専門家が集まって知恵を出し合いながら話し合い、最も可能性のありそうな結論をひとつだけ導き出し、それが正しいか(問題が解決するか)どうかを一つずつ検証するものです。もし問題が解決しなければ、新たに得た情報を基に再び話し合いを行い、次に可能性のありそうな解決策を選び、検証します。問題が解決するまで会議と検証を繰り返すので、所謂、消防士(Fire Fighter)型の問題解決方法と言われます。優秀な消防士がいる時は効果的な方法ですが、そうでなければ時間とコストがかかります。
 

2. 特性要因図を使った問題解決方法

 
 少し進むと、特性要因図(Fishbone Diagram, Ishkawa Diagram)を作ったり、または故障の木解析(Fault Tree Analysis)を行って、問題の原因を探ることがあります。これは予め、全ての原因を探り出そうとする試みです。特性要因図は、問題の原因を視覚的かつ網羅的に把握できるため、原因分析のためのツールとして良く使われます。
 
 しかし特性要因図は、(1) 1つの問題しか分析できなかったり (2) ひとつ原因が複数の問題に影響していることを分析できないため、複数ある問題に共通する根本原因を探ろうとするときは不便です。特性要因図を使っても問題をひとつずつしか解決できないため、結局、消防士型の問題解決方法に戻ってしまいます。
 

3. パラメータ・ダイアグラム

 
 テクニカルサポートチームが抱えていた製品の不具合はひとつではありませんでした。しかし何か共通の根本原因が、いろいろ症状(不具合)になって表れているのではないかと想像できました。そのためその共通な根本原因を探るために、会議ではパラメータ・ダイアグラムを使ったのです。
 
 パラメータ・ダイアグラムは特性要因図と同じ機能を持っているだけではなく、複数の問題に対して使うことができます。そして複数の問題と複数の原因を関連付けることができます。
 
 しかしパラメー...
 
 あるテクニカルサポートチームの不具合対策会議でのことです。会議では、客先での原因不明の製品不具合に対して、どのように調査し、どのように不具合の原因を掴むか、その方法について話し合いました。会議では複雑に絡み合ったいくつもの可能性のある原因とその影響をすべて捉えるため、パラメータ・ダイアグラム(Parameter Diagram)を使って議論を進めました。
 

1. 消防士型の問題解決方法

 
 良くあるトラブル対策は、専門家が集まって知恵を出し合いながら話し合い、最も可能性のありそうな結論をひとつだけ導き出し、それが正しいか(問題が解決するか)どうかを一つずつ検証するものです。もし問題が解決しなければ、新たに得た情報を基に再び話し合いを行い、次に可能性のありそうな解決策を選び、検証します。問題が解決するまで会議と検証を繰り返すので、所謂、消防士(Fire Fighter)型の問題解決方法と言われます。優秀な消防士がいる時は効果的な方法ですが、そうでなければ時間とコストがかかります。
 

2. 特性要因図を使った問題解決方法

 
 少し進むと、特性要因図(Fishbone Diagram, Ishkawa Diagram)を作ったり、または故障の木解析(Fault Tree Analysis)を行って、問題の原因を探ることがあります。これは予め、全ての原因を探り出そうとする試みです。特性要因図は、問題の原因を視覚的かつ網羅的に把握できるため、原因分析のためのツールとして良く使われます。
 
 しかし特性要因図は、(1) 1つの問題しか分析できなかったり (2) ひとつ原因が複数の問題に影響していることを分析できないため、複数ある問題に共通する根本原因を探ろうとするときは不便です。特性要因図を使っても問題をひとつずつしか解決できないため、結局、消防士型の問題解決方法に戻ってしまいます。
 

3. パラメータ・ダイアグラム

 
 テクニカルサポートチームが抱えていた製品の不具合はひとつではありませんでした。しかし何か共通の根本原因が、いろいろ症状(不具合)になって表れているのではないかと想像できました。そのためその共通な根本原因を探るために、会議ではパラメータ・ダイアグラムを使ったのです。
 
 パラメータ・ダイアグラムは特性要因図と同じ機能を持っているだけではなく、複数の問題に対して使うことができます。そして複数の問題と複数の原因を関連付けることができます。
 
 しかしパラメータ・ダイアグラムの最大の利点は、FMEAと相性が良いことです。パラメータ・ダイアグラムが完成すれば、それをFMEAに置き換えることができます。一旦パラメータダイアグラムをFMEAに置き換えてしまえば、今度は問題の危険度、原因の発生頻度、問題の検出力などを評価し、危険優先指数が計算できます。そうすればいくつもの対策案に優先順位をつけることができます。
 
  原因分析
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

津吉 政広

リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関する問題を一緒に解決してみませんか?

リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関...


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
【快年童子の豆鉄砲】(その118)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(5)

       前回の【快年童子の豆鉄砲】(その117)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(4)からの続きで...

       前回の【快年童子の豆鉄砲】(その117)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(4)からの続きで...


コトの品質とは

 モノよりコトの品質が問われる時代です。製造業の品質改善の進め方として、今回は、「コトの品質」についてです。 ◆関連解説『品質マネジメントとは』 &n...

 モノよりコトの品質が問われる時代です。製造業の品質改善の進め方として、今回は、「コトの品質」についてです。 ◆関連解説『品質マネジメントとは』 &n...


品質保証度評価法とは(2) 【快年童子の豆鉄砲】(その29)

  ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!! 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄...

  ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!! 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
抜取検査で全数検査と同じ効果を出す 中国企業の壁(その29)

        以前開催した「トヨタ生産方式による工場生産性向上と中国展開セミナー」の中で講師の青木先生は、品質を確保するには抜取検査で全数検査と同...

        以前開催した「トヨタ生産方式による工場生産性向上と中国展開セミナー」の中で講師の青木先生は、品質を確保するには抜取検査で全数検査と同...


生産スピード向上と品質管理

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...

 電子メールやインターネットの普及により、ビジネスのグローバル化が大きく進みましたが、IT技術の進歩は、品質管理の方法も進歩させました。20数年前は製造条...


受入検査で不合格が続発

  ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...

  ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...