製品設計:ミス防止対策(その3)

更新日

投稿日

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】

 
 今回は、製品設計におけるミス防止対策の前提として、設計の「標準化」と「共通化」について解説します。最初に、漏れのない設計ステップについて考えます。設計ステップとして次の4ステップを見てみましょう。
 
   ① 設計仕様書を作成する
   ② 具体設計に着手する
   ③ 技術的手段(方式)の妥当性を確認する
   ④ 実際に試作検証して設計通りのものか確認する
   ⑤ 最終のアウトプットとして、設計図面をリリースする
 
 製品設計におけるミス防止対策としては、②③のステップが重要です。このステップは、設計者としての力量を発揮できる最もクリエイティブな場面なのですが、逆に最も慎重に作業を進めなければならない重要なステップです。
 
 新製品と言っても、必ず過去の技術や、過去の製品を流用しているはずですので、その実績にある手段をそのまま実現すれば、問題は発生しないはずです。但し、気を付けなければならないのは、流用した部分に問題は無くても、新規部分と組み合わせたことによって不具合が発生することがあります。
 

1.標準化の意味

 
 R&D標準化」という言葉はよく聞きますが、例えばUSB接続の機器はUSBの規格を満足するように作られています。USBはコンピュータと端末装置を接続するための規格として最も普及している標準インターフェース規格です。
 
 部品・ユニットの仕様や属性に関して設計意図を明確にすること、これが標準化の意味です。図面は標準図面として公開され、標準化されたものは、一度も作ったことの無い部品・ユニットであっても、以後は設計側の検討を経由せずに製作手配してもよいということになります。
 

2.共通化の意味

 
 過去製作した部品・ユニットを流用することによって図面作成枚数の削減や、設計ミスの少ない効率的な設計が可能になります。但し、似たような形状・仕様のものを検討する場合でも再度設計側で使用可否判断が必要となります。「同じなので流用しました」で済ますことなく、何が同じで、何が違うために、この項目と、この項目を確認し問題が無かった、とすべきです。標準化されていない部品やユニットは、安易に流用は...

【製品設計:ミス防止対策 連載目次】

 
 今回は、製品設計におけるミス防止対策の前提として、設計の「標準化」と「共通化」について解説します。最初に、漏れのない設計ステップについて考えます。設計ステップとして次の4ステップを見てみましょう。
 
   ① 設計仕様書を作成する
   ② 具体設計に着手する
   ③ 技術的手段(方式)の妥当性を確認する
   ④ 実際に試作検証して設計通りのものか確認する
   ⑤ 最終のアウトプットとして、設計図面をリリースする
 
 製品設計におけるミス防止対策としては、②③のステップが重要です。このステップは、設計者としての力量を発揮できる最もクリエイティブな場面なのですが、逆に最も慎重に作業を進めなければならない重要なステップです。
 
 新製品と言っても、必ず過去の技術や、過去の製品を流用しているはずですので、その実績にある手段をそのまま実現すれば、問題は発生しないはずです。但し、気を付けなければならないのは、流用した部分に問題は無くても、新規部分と組み合わせたことによって不具合が発生することがあります。
 

1.標準化の意味

 
 R&D標準化」という言葉はよく聞きますが、例えばUSB接続の機器はUSBの規格を満足するように作られています。USBはコンピュータと端末装置を接続するための規格として最も普及している標準インターフェース規格です。
 
 部品・ユニットの仕様や属性に関して設計意図を明確にすること、これが標準化の意味です。図面は標準図面として公開され、標準化されたものは、一度も作ったことの無い部品・ユニットであっても、以後は設計側の検討を経由せずに製作手配してもよいということになります。
 

2.共通化の意味

 
 過去製作した部品・ユニットを流用することによって図面作成枚数の削減や、設計ミスの少ない効率的な設計が可能になります。但し、似たような形状・仕様のものを検討する場合でも再度設計側で使用可否判断が必要となります。「同じなので流用しました」で済ますことなく、何が同じで、何が違うために、この項目と、この項目を確認し問題が無かった、とすべきです。標準化されていない部品やユニットは、安易に流用は出来ないのです。
 
 「共通化」は「標準化」のための1つのアプローチであることは間違いありません。しかしながら「過去図面を設計部サーバなどに蓄積しておき、ここから流用していく」という環境を構築するだけでは真の標準化には到達できないといえます。「標準化」のためには、製品体系の整備と明確な仕様を定義することが必要となります。
 
 次回は、設計段階で決まる品質について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
MVPの活用 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その82)

  ◆ 研究開発にMVPを活用する  今回は「研究開発にMVPを活用する」をテーマに解説します。  MVPとは、Minimum Via...

  ◆ 研究開発にMVPを活用する  今回は「研究開発にMVPを活用する」をテーマに解説します。  MVPとは、Minimum Via...


イノベーションの創出 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その124)

  今回も「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーシ...

  今回も「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にもとづき、日々の活動の中でどうイノベーシ...


10年後のロードマップの考え方 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その14)

        今回は、「10年後のロードマップの考え方」について解説します。    事業や組...

        今回は、「10年後のロードマップの考え方」について解説します。    事業や組...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
技術プラットフォームの重要性

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...

【ものづくり企業のR&Dと経営機能 記事目次】 管理力より技術力を磨け 技術プラットフォームの重要性 手段としてのオープンイノベーション...


設計部門の仕組み改革(その2)

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...

【設計部門の仕組み改革 連載目次】 1. システムやツールの導入を伴う設計部門の仕組み改革の進め方 2. 設計部門の仕組み改革、事例解説 3. ...


品質の仕組みとは2 プロジェクト管理の仕組み (その28)

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...

 品質の仕組み、前回に続いて解説します。今回は、品質計画についてです。    計画の重要性は ISO9001でも「品質計画」として強調されて...