人的資源マネジメント:経験学習プロセス(その2)

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 今回は、「成長」をテーマにして、開発現場を変える3つのキーワードのひとつである「経験学習プロセス」を紹介しています。
 

3. 経験学習モデル

 
 「経験」にもとづいた学習というと OJTをイメージするかもしれませんが、一般的な OJTは経験を活かしているものにはなっていないと考えられます。それは、学習が必要な人にマネジャーやリーダーが指示したり指導したりするスタイルになっているからであり、指示・指導は効果的な学習につながらないからです。
 
 指示・指導する側は、指示・指導したことを実践できて当たり前と思いがちですが、された側が実践に至るまでには多くの壁があります。まず、伝えたことが指示・指導された側にすべて伝わるとは限りません。次に、伝わったとしてもその内容を完全に理解できるとは限りませんし、理解できたとしてもすべて納得できるとは限りません。さらに、納得したとしてもそのことを実行できるとは限りません。指示・指導した側も、言うことを聞かない、聞いてもらえないと思ってしまい、お互いに不満が残ってしまいます。これでは経験を活かしているとは言えません。
 
 「経験」を活かすというのは、個人が自分で気づき、自分で考え、自分で教訓とし、自ら行動を起こすということであり、もっとも効果的な成長につながるのです。単に経験すればよいというものではありません。この一連の流れをモデル化したものが「経験学習サイクル」であり、組織行動学者デービッド・コルブが提唱した理論です。
 
人的資源マネジメント:ポジティブ感情図60. 経験学習サイクル
 
 「実践」を通じて「経験」し、その経験をもとに「内省」したものを「概念化」する、さらにそれが次の「実践」につながっていく。この繰り返しによって人は成長する。このように、「経験→内省→概念化→実践」のサイクルを回すことで経験が知恵となり、人はより良く学ぶことができるのです。これが「経験学習モデル」です。
 
 ポイントは、失敗したことや成功したことに限らず様々な体験をした時に、今後の自分に役立つものは何だろうかと「内省」をするということです。これを、「リフレクション」とよんでいます。
 
 「反省」といったり「振り返り」といったりして、人によって表現は違うでしょうが、自分の行動を深く考えることがもっとも自分のためになるというのは、誰もが実感できることではないかと思います。
 

4. 経験学習の仕組み化

 
 「振り返りは普段からやっているよ」という人もいるかもしれませんが、言うほど簡単なことではありません。たとえば、リフレクションのきっかけとなる経験には、人から何か言われたという場合も含まれます。このとき、自分とはまったく異なる考え方だったりすると、自分が否定されたように感じて、リフレクションしないこともあるでしょう。言われたことをきちんと受け取り、自分の考え方や普段の行動を振り返って、他のやり方があるのではないか、もっと効果的な方法があるのではないかと考えるのがリフレクションです。リフレクションには痛みをともなうこともあるのです。
 
 そこで大切になるのが、仕事におけるいろいろな場面でこのサイクルを回すことができるように仕組み化することです。どのような仕組みが考えられるでしょうか?
 
 たとえば、OJTが定着している組織では、OJTのやり方を経験学習の視点で見直すことが考えられます。指示・指導をなくすやり方を具体化することになるでしょう。また、開発プロセスが充実している組織では、製品を作るためのプロセスという視点だけでなく、経験学習により人を育てるという視点を加えることが考えられます。たとえば、...
 
 今回は、「成長」をテーマにして、開発現場を変える3つのキーワードのひとつである「経験学習プロセス」を紹介しています。
 

3. 経験学習モデル

 
 「経験」にもとづいた学習というと OJTをイメージするかもしれませんが、一般的な OJTは経験を活かしているものにはなっていないと考えられます。それは、学習が必要な人にマネジャーやリーダーが指示したり指導したりするスタイルになっているからであり、指示・指導は効果的な学習につながらないからです。
 
 指示・指導する側は、指示・指導したことを実践できて当たり前と思いがちですが、された側が実践に至るまでには多くの壁があります。まず、伝えたことが指示・指導された側にすべて伝わるとは限りません。次に、伝わったとしてもその内容を完全に理解できるとは限りませんし、理解できたとしてもすべて納得できるとは限りません。さらに、納得したとしてもそのことを実行できるとは限りません。指示・指導した側も、言うことを聞かない、聞いてもらえないと思ってしまい、お互いに不満が残ってしまいます。これでは経験を活かしているとは言えません。
 
 「経験」を活かすというのは、個人が自分で気づき、自分で考え、自分で教訓とし、自ら行動を起こすということであり、もっとも効果的な成長につながるのです。単に経験すればよいというものではありません。この一連の流れをモデル化したものが「経験学習サイクル」であり、組織行動学者デービッド・コルブが提唱した理論です。
 
人的資源マネジメント:ポジティブ感情図60. 経験学習サイクル
 
 「実践」を通じて「経験」し、その経験をもとに「内省」したものを「概念化」する、さらにそれが次の「実践」につながっていく。この繰り返しによって人は成長する。このように、「経験→内省→概念化→実践」のサイクルを回すことで経験が知恵となり、人はより良く学ぶことができるのです。これが「経験学習モデル」です。
 
 ポイントは、失敗したことや成功したことに限らず様々な体験をした時に、今後の自分に役立つものは何だろうかと「内省」をするということです。これを、「リフレクション」とよんでいます。
 
 「反省」といったり「振り返り」といったりして、人によって表現は違うでしょうが、自分の行動を深く考えることがもっとも自分のためになるというのは、誰もが実感できることではないかと思います。
 

4. 経験学習の仕組み化

 
 「振り返りは普段からやっているよ」という人もいるかもしれませんが、言うほど簡単なことではありません。たとえば、リフレクションのきっかけとなる経験には、人から何か言われたという場合も含まれます。このとき、自分とはまったく異なる考え方だったりすると、自分が否定されたように感じて、リフレクションしないこともあるでしょう。言われたことをきちんと受け取り、自分の考え方や普段の行動を振り返って、他のやり方があるのではないか、もっと効果的な方法があるのではないかと考えるのがリフレクションです。リフレクションには痛みをともなうこともあるのです。
 
 そこで大切になるのが、仕事におけるいろいろな場面でこのサイクルを回すことができるように仕組み化することです。どのような仕組みが考えられるでしょうか?
 
 たとえば、OJTが定着している組織では、OJTのやり方を経験学習の視点で見直すことが考えられます。指示・指導をなくすやり方を具体化することになるでしょう。また、開発プロセスが充実している組織では、製品を作るためのプロセスという視点だけでなく、経験学習により人を育てるという視点を加えることが考えられます。たとえば、デザインレビューも問題を挙げるだけにして、解決方法は当事者が考えるというやり方に変えるといいでしょう。
 
 実際の適用方法は、それぞれの組織に合った方法を考える必要があると思いますので、事例などはまた別の機会に紹介したいと思います。
 
  
 今回は、人はいくつになっても成長することが大切であり、そのためには人材育成方法も含め、学習の仕方を見直す必要があるという問題提起と、その対策方針として、経験学習サイクルをもとにした仕組み化が有効だということをお伝えしました。技術者育成について検討する機会につながることを願っています。

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この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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