副資材管理システム構築の事例

1.副資材をどう捉え、改善に繋げればいいのか 

 
副資材
工場の規模の大小を問わず副資材は種類が多くかつ現場に散在してあり、システム化は困難をきわめます。また、設備予備品は設備に近い現場で保管され責任の所在が不明確のケースが多々あります。購買スタッフが現場からの購入依頼票をもとに業者へ注文した副資材が、決められた場所に保管されていないケースもあります。このような環境のもと、副資材をどう捉え、改善に繋げればいいのでしょうか。今回は、フィリピンの某日系自動車工場で副資材管理システム構築の指導をした事例を解説します。
 

2.現状把握と社内コンセンサスの統一

 今回、紹介する事例では、社内で副資材の定義が統一されておらず、部門間での見解が異なっていました。そこで「クルマに直接取付けられる部品以外の製造部必要品全てを副資材と呼ぶ」と副資材を定義づけして、社内の統一をはかりました。
 
 現場での管理状況の現状把握では、副資材と保全との明確な区分けがされていませんでした。特に設備部品では再利用がきく使用済みパーツが副資材として同じ棚に保管されていました。マネジメントと話し合い、「新品は副資材、中古品は保全品」として取り扱うことにしました。
 

3.副資材倉庫による一元管理化

 このような状況で、現場に数箇所の副資材室があり、それぞれが別管理で、統一した管理システムがありませんでした。そこで、複数管理を集中倉庫による一元管理メリットを説き、新たな場所へ副資材倉庫を整備して集中管理を行うことにしました。
 

4.帳票類整備、ストアー整備、マスターリスト作成

 発注では新規購入と既存品の補充購入の二つがあります。購入時に購買部員がそれを把握できるよう帳票を修正し、ある一定の期間の間、価格を固定、リードタイムも固定するよう各仕入先と折衝しました。品番をキーにする副資材マスターリスト作成して、グローバル対応可能な品番体系を作り、全ての副資材に品番をつけてデータベース化しました。
 

5.カンバンシステム

 副資材には、不定期不定量発注点方式のカンバンをつけ、発注点になったらカンバンをはずし、購買部へ買い入れ票が回るシステムにしました。また、納期管理ボードを作り、発注済品番のカンバンをこのボードを使ったカムアップ式の「納期追いかけ管理」をできるようにしました。
 

6.改善の結果

 このようにして副資材倉庫での管理の一元管化の結果、クルマ一台当りにかかる副資材の購入金額(原単位)が30%改善されました。また、これまで副資材が保管されていたスペースが不要となり製造本来の場所として有効活用できるようになりました。棚番地化による副資材在庫品の正確な棚卸しが可能になりました。
 

7.副資材管理の課題

 副資材は原材料や部品と比較しても単価が安く、細かいパーツが多いことから管理体系が未整備の工場が少なくありません。近年のIT技術の発達により、購買データー分析による品番整理、単価交渉作業を専門に請け負う業者も見られるようになりました。とくに業者との単価交渉においては、発注の大ロット化による値引き交渉が成功しても、それを管理・保管する倉庫での保管費率を考慮した場合、はたして企業にどれだけのメリットがあるかの検証がなされていません。
 

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8.人材を育む体制作り

 今回ご紹介した企業は日本の親工場では、副資材にカンバンをつけた管理をすでに行っていました。フィリピン工場での改善前までは、海外工場における副資材管理の改善プライオリティは決して上位ではありませんでした。購買データーからのコスト削減を狙うのではなく、設備の予備品であれば、予防保全活動との関連付け、現場作業員数と関連付けできるもの、生産数に比例するもの、出庫・発注履歴から需要予測が可能なもの、などカテゴリー分けをして副資材の在庫数量の適正化を計っていくことが大切です。それにもまして、倉庫での副資材の入出庫を常時把握し、適宜適切な手当てができる人材を育む体制作りが望まれるところです。
 

この記事の著者

松村 晴彦

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