輸出物流コストを低減するには(その2)

投稿日

 

1.輸出物流作業の設計

 scm輸出物流のコストを安く抑えるためには、内陸部に物流拠点を設け、そこで輸出向け梱包作業を行うとともに、同時にコンテナ詰め作業をすることがポイントになります。物流作業の場所から港までコンテナを牽引していく作業が必要です。倉庫作業コストと、この牽引物流コストを合算し、トータルでメリットの出る地点で輸出物流作業を行うように設計しましょう。
 
 当然のことながら、物流業者の選定に当たっては複数業者を候補に上げた上での入札を実施することが必要です。それぞれの作業ごとにプライスを提示してもらいますが、そのプライスの根拠をきちんと説明できる業者を選ぶことは言うまでもありません。根拠の説明ができず、「この価格が一般的です」とか、「他社に提示した価格よりはお安くなっています」という説明の仕方をする物流業者には注意が必要だと思います。
 

2.海上輸送

 輸出物流のうち最もコストのかかる海上輸送について考えてみましょう。まず海上輸送についてですが、輸出物流量が多い会社の場合は船会社との直接交渉をお勧めします。船会社としても当然一定の物流量を安定的に確保できる顧客を獲得したいわけです。毎月一定の発注をしてくれる会社にはスペシャルプライスを提供することもありえます。
 
 ただし、あくまでも「定期的な発注」がポイントなので、特定の時期に荷物が偏る場合はこの恩恵を蒙ることは難しいかもしれません。もし自社で船会社と交渉できるだけの荷物がない場合には、例えば国内物流作業や輸送とセットで海上輸送までを面倒を見てくれる物流会社を探します。この時に、ある程度の規模の会社を選んだほうが良いのではないかと思います。その理由は、物流会社が船会社と交渉をするわけですが、規模が大きければ一定の物流量をベースに有利な価格を入手することが可能になるからです。
 

3.輸出先の物流

 次に輸出先(現地)で発生する物流についてです。船が現地の港に着くと、貨物を陸揚げし、通関手続きの後、指定場所までコンテナの牽引作業(ドレージ)が発生します。これらの作業をどの物流会社に委託するかが問題となります。まず一つ目の選択肢として、国内の物流作業を委託した物流業者に現地作業も併せてやってもらうパターンが考えられます。この場合起点から終点まですべて窓口が一本化でき、言語の心配も不要といったメリットがあります。
 
 二つ目は現地側の作業は現地業者に委託するパターンが考...
 

1.輸出物流作業の設計

 scm輸出物流のコストを安く抑えるためには、内陸部に物流拠点を設け、そこで輸出向け梱包作業を行うとともに、同時にコンテナ詰め作業をすることがポイントになります。物流作業の場所から港までコンテナを牽引していく作業が必要です。倉庫作業コストと、この牽引物流コストを合算し、トータルでメリットの出る地点で輸出物流作業を行うように設計しましょう。
 
 当然のことながら、物流業者の選定に当たっては複数業者を候補に上げた上での入札を実施することが必要です。それぞれの作業ごとにプライスを提示してもらいますが、そのプライスの根拠をきちんと説明できる業者を選ぶことは言うまでもありません。根拠の説明ができず、「この価格が一般的です」とか、「他社に提示した価格よりはお安くなっています」という説明の仕方をする物流業者には注意が必要だと思います。
 

2.海上輸送

 輸出物流のうち最もコストのかかる海上輸送について考えてみましょう。まず海上輸送についてですが、輸出物流量が多い会社の場合は船会社との直接交渉をお勧めします。船会社としても当然一定の物流量を安定的に確保できる顧客を獲得したいわけです。毎月一定の発注をしてくれる会社にはスペシャルプライスを提供することもありえます。
 
 ただし、あくまでも「定期的な発注」がポイントなので、特定の時期に荷物が偏る場合はこの恩恵を蒙ることは難しいかもしれません。もし自社で船会社と交渉できるだけの荷物がない場合には、例えば国内物流作業や輸送とセットで海上輸送までを面倒を見てくれる物流会社を探します。この時に、ある程度の規模の会社を選んだほうが良いのではないかと思います。その理由は、物流会社が船会社と交渉をするわけですが、規模が大きければ一定の物流量をベースに有利な価格を入手することが可能になるからです。
 

3.輸出先の物流

 次に輸出先(現地)で発生する物流についてです。船が現地の港に着くと、貨物を陸揚げし、通関手続きの後、指定場所までコンテナの牽引作業(ドレージ)が発生します。これらの作業をどの物流会社に委託するかが問題となります。まず一つ目の選択肢として、国内の物流作業を委託した物流業者に現地作業も併せてやってもらうパターンが考えられます。この場合起点から終点まですべて窓口が一本化でき、言語の心配も不要といったメリットがあります。
 
 二つ目は現地側の作業は現地業者に委託するパターンが考えられます。皆さんの会社に現地事務所がある場合、そちらの方で取引業者を探すことが可能です。現地で安く、クオリティの高い会社を探すことは可能だと思います。ただし、日々のオペレーション上、やりにくさが発生しないようにすることが必要になります。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その12)

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その1)

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...


調達物流 儲ける輸送改善 (その5)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流の総合商社:物流の改善ポイント(その1)

  ◆在庫管理に注目 自動車メーカーはいわゆる物流の総合商社のようなもので、いろいろな物流パターンが存在します。日本で有数の「物流会社」...

  ◆在庫管理に注目 自動車メーカーはいわゆる物流の総合商社のようなもので、いろいろな物流パターンが存在します。日本で有数の「物流会社」...


計画と実績の対比 物流会社が取り組むべき管理技術(その1)

◆ 物流マネジメントサイクル  物流会社の現場を訪問するとまず気になるのが現場に「管理ボード」が無いことです。つまり現場がきっちりと管理されていない...

◆ 物流マネジメントサイクル  物流会社の現場を訪問するとまず気になるのが現場に「管理ボード」が無いことです。つまり現場がきっちりと管理されていない...


トラック稼働率 保有能力を目いっぱい使おう(その2)

       1. トラックという高価な設備の活用とは  トラックの保有する能力を目いっぱい使うことは何も積載量だけの話ではありません。トラッ...

       1. トラックという高価な設備の活用とは  トラックの保有する能力を目いっぱい使うことは何も積載量だけの話ではありません。トラッ...