物流コスト管理の難しさ 物流コストは原単位で管理する(その1)

投稿日

 
  SCM
 
 物流コストの管理を行う場合、費用の総額を管理すると同時に、『原単位での管理』が必要です。
 
 『原単位での管理』とは、例えば製品を1個運ぶときに必要な物流コストとか、製品1kgを1km輸送するときに必要なコストといった、ある基準を定めて行うコスト管理のことを言います。
 
 ある会社で物流費総額が前年度対比で10%下がったといって喜んでいたことがありました。物流費自体が下がったことは確かに良いことでした。ところが、売上が20%落ちていたという笑えない事実がありました。
 
 つまり、単純に発生費用の総額だけを見ていると判断を誤る危険性があるので、別の切り口でコスト管理をしなければならないということです。
 
 この会社の例では、売上の落ち幅よりも物流費の落ち幅の方が小さかったため、原単位で見ると物流コストは前年度に対して悪化した、ということになります。原単位、つまり製品1点当たりの物流費が大きくなってしまったのです。
 
 もし、この会社が『原単位での管理』を実施していたならば、売上の落ち幅を見て物流費を抑制しようといったアクションが取れたはずです。
 
 この逆のパターンもあると思います。物流費が10%増えたものの、売上が20%増えた、つまり原単位ベースでの物流コストが下がったということになります。
 
 物流費は必ずしも売上と100%同一傾向になるわけではありません。もし製品の売上が20%増えたとしても、そもそもトラックの荷台にその分を詰めるスペースがあれば車建て契約をしてい...
 
  SCM
 
 物流コストの管理を行う場合、費用の総額を管理すると同時に、『原単位での管理』が必要です。
 
 『原単位での管理』とは、例えば製品を1個運ぶときに必要な物流コストとか、製品1kgを1km輸送するときに必要なコストといった、ある基準を定めて行うコスト管理のことを言います。
 
 ある会社で物流費総額が前年度対比で10%下がったといって喜んでいたことがありました。物流費自体が下がったことは確かに良いことでした。ところが、売上が20%落ちていたという笑えない事実がありました。
 
 つまり、単純に発生費用の総額だけを見ていると判断を誤る危険性があるので、別の切り口でコスト管理をしなければならないということです。
 
 この会社の例では、売上の落ち幅よりも物流費の落ち幅の方が小さかったため、原単位で見ると物流コストは前年度に対して悪化した、ということになります。原単位、つまり製品1点当たりの物流費が大きくなってしまったのです。
 
 もし、この会社が『原単位での管理』を実施していたならば、売上の落ち幅を見て物流費を抑制しようといったアクションが取れたはずです。
 
 この逆のパターンもあると思います。物流費が10%増えたものの、売上が20%増えた、つまり原単位ベースでの物流コストが下がったということになります。
 
 物流費は必ずしも売上と100%同一傾向になるわけではありません。もし製品の売上が20%増えたとしても、そもそもトラックの荷台にその分を詰めるスペースがあれば車建て契約をしている限り輸送費は増えません。一方、20%売上が落ちてもその減った分でトラック1台を単純に減らせるわけでもないでしょう。
 
 ここに物流コスト管理の難しさがあります。こういった比例化しにくいところをいかに比例化していくかが、物流コストを原単位で管理するポイントです。
 
 次回は、原単位を把握し、アクションにつなげる、を解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ビジネスの収益力を決めるサプライチェーンのスピード

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...


サプライチェーンの構造的・長期的な課題、サプライチェーン戦略とは

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その8)

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...

第8回 道具5「物流評価シート」(下) 前回のその7に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.海外工場の物流設計評価...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライチェーンの同期化とは:後工程合わせの仕事で効率化(その3)

  ◆ サプライチェーンの同期化  サプライチェーン上で後工程合わせの仕事をするうえで重要になってくることの一つに納期管理があります。各...

  ◆ サプライチェーンの同期化  サプライチェーン上で後工程合わせの仕事をするうえで重要になってくることの一つに納期管理があります。各...


運輸安全情報の公表とは 物流安全管理(その5)

 一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するために講じた措置や講じようとする措置、その他の輸送の安全にかかわる情報を公表しなければなりません。貨物自...

 一般貨物自動車運送事業者は、輸送の安全を確保するために講じた措置や講じようとする措置、その他の輸送の安全にかかわる情報を公表しなければなりません。貨物自...


5S活動は安全の基本:物流安全の勘所(その3)

  ◆ 5S活動は安全の基本  物流現場は製造現場に比べて5Sはあまり進んでいません。しかし物流は5Sができて初めてまともな仕事ができる...

  ◆ 5S活動は安全の基本  物流現場は製造現場に比べて5Sはあまり進んでいません。しかし物流は5Sができて初めてまともな仕事ができる...