シックスシグマ (その6) Analyzeフェイズの目的

 前回のその5に続いて解説します。Analyzeフェイズでは収集したデータを分析し、特性Yのばらつきに影響を与えている因子を推測します。さらに問題の原因を上手く説明できる、根本原因仮説を立てて検証します。Analyzeフェイズにおける作業は文字通り分析です。QC手法や統計手法を駆使し、データの特徴や傾向を掴み、ターゲットのばらつきを生み出している原因を探ります。MAICフェイズにおいて最もQC手法や統計手法の活用が必要且つ効果的なフェイズです。
 
・Analyzeフェイズでは、主に次のような取り組みを行います。
 
1."あるべき姿"を定義し現状と比較する
 
2.目標基準Yのばらつきを生み出している要因を見出す
 
3.最も影響力の高い要因を抽出し、仮説を立て検証を行う
 

1."あるべき姿"を定義し、現状と比較する

 
 分析フェイズでは、到達点としてのあるべき姿を定義します。例えば現状プロセスで最もばらつきが少ない状態、即ちBest Of Bestを到達地点に据えるのが一般的ですが、これを含め、次のような"あるべき姿"の設定方法が考えられます。
 
1.現状プロセスの最適状態を目指す
 
2.他の製品プロセス、工場、事業所をベンチマーキングする
 
3.同業他社、類似業種をベンチマーキングする
 
 ベンチマークとするものが既存プロセス中に見いだせない場合は、上記3の様に社外のあるべき姿を求めてみます。先駆者的事業における問題や、同業他社をベンチマーキング出来ない場合、類似業務を行っている異業種のプロセスも考えてみます。
 

2.ばらつきを生み出している要因を見出す

 
 シックスシグマの最大の目的は、品質ばらつきを生み出している因子を制御し、DPMOを削減する事です。その為にはまずばらつきを生み出している要因を見出します。要因とは特性Yのばらつきを生み出している可能性のあるもの全てを指します。どの項目が要因になるか絞り込む為に、データ分析やプロセス解析による因果関係を推測します。要因調査の分析は大きく、大きく次の2つに分類されます。
 


(1)データ分析

 
 収集されたデータを用いて、パターン、特異点、その他特徴や相違点を見出します。また問題を生み出している、もしくは影響度が高いと思われる要因を推定します。
 

(2)プロセス分析

 
 対象プロセスを詳細に調査し、サブプロセス、サイクルタイム、作業分岐、停滞時間等、問題に影響していると考えられる作業ステップを特定します。実際のプロジェクトでは両方を駆使して分析を行うことが多く、QC手法や統計手法を活用し、特性Yのばらつきを引き起こす要因を見出します。
 
        analize1
図1.特性Yのばらつき要因X
 
 図1に示すように、Yが欠陥数であれば欠陥数に影響する潜在要因を考察し、データを解析して根拠を見出します。考えられる要因を立証するデータが無ければ、再度データを撮り直すか、実験計画法の様な統計手法を用いて因果関係の強い要因を見つけます。
 

3.最も影響力の高い要因を抽出する

 
 特性Yのばらつきを生み出している全ての要因を見出したら、その中で最も影響力の大きい要因を抽出します。QC手法や統計手法を活用してデータを解析し、Yへの寄与率が高いもの(統計的に有意であるもの)を特定します。図1で、欠陥数に極めて影響の大きい要因がX1、X2、X3であると絞り込めれば、次のImproveステップでこれらの要因を制御する方法を具体的に検討します。
 

4.さまざまな解析手法

 
 シックスシグマでは殆ど全てのフェイズで統計手法を用います。特にAnalyzeフェイズでは、目的に応じた様々な解析ツールを活用します。QC7つ道具以外の主な統計解析手法について以下に記載しますが、多くはデータのばらつきを評価するツールです。
 
・相関分析
 
 2つのデータ群の間に直線関係が無いかを調べます。最も基本的な解析手法の一つであり、要因が多く存在する場合は、全ての要因で相関図を描き、寄与度が高そうな要因を見積ります。
 
・回帰分析
 
 相関分析に似ていますが、データ間の主従関係、即ち要因Xの変化でどのくらいYが追従して変化するかを調べます。Yに対しXが一つ場合の単回帰分析と、複数の場合の重回帰分析があります。
 
・多変量分析
 
 因子Xは連続値だけとは限らず、性別、血液型などの非数値データーが該当する場合もあります。Yに対し、これら非数値データとの因果関係を解析する手法が多変量分析です。
 
・仮説検定
 
 二群間に有意差があるかどうか、一定確率の元で○×判定を行います。平均値の検定、ばらつきの検定、ばらつきの比の検定など、目的に応じて検定手法が異なります。
 
・区間推定
 
 標本データを用いて母集団の姿(存在範囲)を推測する手法です。平均値を中心に一定確率における信頼区間を導き出します。検定同様、推定対象により推定に用いる分布が異なります。
 
・分散分析法
 
 検定が二群の比較であるのに対し、分散分析は複数群の検定を一度に行う事が出来ます。複数の因子XのYに対する寄与率(Y変動に対する各Xの影響度の大きさ)を知ることが出来ます。
 
上記は数値データを...
 前回のその5に続いて解説します。Analyzeフェイズでは収集したデータを分析し、特性Yのばらつきに影響を与えている因子を推測します。さらに問題の原因を上手く説明できる、根本原因仮説を立てて検証します。Analyzeフェイズにおける作業は文字通り分析です。QC手法や統計手法を駆使し、データの特徴や傾向を掴み、ターゲットのばらつきを生み出している原因を探ります。MAICフェイズにおいて最もQC手法や統計手法の活用が必要且つ効果的なフェイズです。
 
・Analyzeフェイズでは、主に次のような取り組みを行います。
 
1."あるべき姿"を定義し現状と比較する
 
2.目標基準Yのばらつきを生み出している要因を見出す
 
3.最も影響力の高い要因を抽出し、仮説を立て検証を行う
 

1."あるべき姿"を定義し、現状と比較する

 
 分析フェイズでは、到達点としてのあるべき姿を定義します。例えば現状プロセスで最もばらつきが少ない状態、即ちBest Of Bestを到達地点に据えるのが一般的ですが、これを含め、次のような"あるべき姿"の設定方法が考えられます。
 
1.現状プロセスの最適状態を目指す
 
2.他の製品プロセス、工場、事業所をベンチマーキングする
 
3.同業他社、類似業種をベンチマーキングする
 
 ベンチマークとするものが既存プロセス中に見いだせない場合は、上記3の様に社外のあるべき姿を求めてみます。先駆者的事業における問題や、同業他社をベンチマーキング出来ない場合、類似業務を行っている異業種のプロセスも考えてみます。
 

2.ばらつきを生み出している要因を見出す

 
 シックスシグマの最大の目的は、品質ばらつきを生み出している因子を制御し、DPMOを削減する事です。その為にはまずばらつきを生み出している要因を見出します。要因とは特性Yのばらつきを生み出している可能性のあるもの全てを指します。どの項目が要因になるか絞り込む為に、データ分析やプロセス解析による因果関係を推測します。要因調査の分析は大きく、大きく次の2つに分類されます。
 


(1)データ分析

 
 収集されたデータを用いて、パターン、特異点、その他特徴や相違点を見出します。また問題を生み出している、もしくは影響度が高いと思われる要因を推定します。
 

(2)プロセス分析

 
 対象プロセスを詳細に調査し、サブプロセス、サイクルタイム、作業分岐、停滞時間等、問題に影響していると考えられる作業ステップを特定します。実際のプロジェクトでは両方を駆使して分析を行うことが多く、QC手法や統計手法を活用し、特性Yのばらつきを引き起こす要因を見出します。
 
        analize1
図1.特性Yのばらつき要因X
 
 図1に示すように、Yが欠陥数であれば欠陥数に影響する潜在要因を考察し、データを解析して根拠を見出します。考えられる要因を立証するデータが無ければ、再度データを撮り直すか、実験計画法の様な統計手法を用いて因果関係の強い要因を見つけます。
 

3.最も影響力の高い要因を抽出する

 
 特性Yのばらつきを生み出している全ての要因を見出したら、その中で最も影響力の大きい要因を抽出します。QC手法や統計手法を活用してデータを解析し、Yへの寄与率が高いもの(統計的に有意であるもの)を特定します。図1で、欠陥数に極めて影響の大きい要因がX1、X2、X3であると絞り込めれば、次のImproveステップでこれらの要因を制御する方法を具体的に検討します。
 

4.さまざまな解析手法

 
 シックスシグマでは殆ど全てのフェイズで統計手法を用います。特にAnalyzeフェイズでは、目的に応じた様々な解析ツールを活用します。QC7つ道具以外の主な統計解析手法について以下に記載しますが、多くはデータのばらつきを評価するツールです。
 
・相関分析
 
 2つのデータ群の間に直線関係が無いかを調べます。最も基本的な解析手法の一つであり、要因が多く存在する場合は、全ての要因で相関図を描き、寄与度が高そうな要因を見積ります。
 
・回帰分析
 
 相関分析に似ていますが、データ間の主従関係、即ち要因Xの変化でどのくらいYが追従して変化するかを調べます。Yに対しXが一つ場合の単回帰分析と、複数の場合の重回帰分析があります。
 
・多変量分析
 
 因子Xは連続値だけとは限らず、性別、血液型などの非数値データーが該当する場合もあります。Yに対し、これら非数値データとの因果関係を解析する手法が多変量分析です。
 
・仮説検定
 
 二群間に有意差があるかどうか、一定確率の元で○×判定を行います。平均値の検定、ばらつきの検定、ばらつきの比の検定など、目的に応じて検定手法が異なります。
 
・区間推定
 
 標本データを用いて母集団の姿(存在範囲)を推測する手法です。平均値を中心に一定確率における信頼区間を導き出します。検定同様、推定対象により推定に用いる分布が異なります。
 
・分散分析法
 
 検定が二群の比較であるのに対し、分散分析は複数群の検定を一度に行う事が出来ます。複数の因子XのYに対する寄与率(Y変動に対する各Xの影響度の大きさ)を知ることが出来ます。
 
上記は数値データを解析するツールですが、言語データを整理・解析する新QC7つ道具の様なツールもあります。この様な数学統計の知識を求められる手法を活用する性質から、上位ポジションであるブラックベルトやブラックベルトを統括するマスターブラックベルトには高度な統計手法を駆使する能力が必要とされています。
 
 ImproveフェイズではAnalyzeフェイズで見出した要因を制御し、目的特性Yのばらつきが改善できるか検証していきます。従って、もし効果的な要因Xが見いだせて無ければMeasureフェイズに戻りデータを再採集し、再度Analyzeフェイズで分析を行います。基本的に効果的要因が見つかるまで両フェイズを繰り返し行います。
 
 
 

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この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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