「シックスシグマ」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「シックスシグマ」とは

シックスシグマとは品質管理面での対日本戦略として生み出され、顧客に対し、ほぼ欠陥の無いサービスを提供するというビジョンに基づいた経営管理体系です。シグマ(=σ)は標準偏差を表す統計記号であり、100万個中の規格外が3.4個以内となるよう製品やサービスのばらつきを抑制する狙いが語源となっています。改善活動にはZD活動(Zero Defect)等もありますが、欠陥をゼロにする取り組みは現実的には不可能であり、シックスシグマは多少のばらつきは許容する考えとなっています。然しながらその名前の由来の通り100万個に対し3.4個という欠陥発生頻度(DPMO)は、ばらつき管理の目標値としては十分低いものだと言えます。

 

2.  「シックスシグマ」の特徴と利点

シックスシグマの特徴や強みとして次のようなポイントが挙げられます。

(1)トップダウンによる能動的推進

シックスシグマ代表的特徴として、経営上層部に明確な役割があり強力なトップダウンにより活動が推進される点が挙げられます。取り組み課題も事業戦略と一致したものが優先的に選択されます。単なる改善活動では無く企業の経営改善としての取り組みです。

(2)顧客主義に基づく課題定義

シックスシグマの課題は顧客の声VOC(=Vice of Customer)から始まります。測定可能な顧客要求を満たせるかどうか、満たせない場合が欠陥に相当するという考えを持ち顧客要求とそれを実現するプロセスを定義する所からプロジェクトが開始されます。

(3)明確な役割分担と効果的教育の付与

シックスシグマはプロジェクト体制で実行されますが、プロジェクト実行のために単にメンバーが任命されるだけでなく、成功に収める為に必要な役割と責任を与え、任務遂行に必要な知識や手法(QC手法や統計ツール等)の教育を施します。

(4)統計手法を多用したデータ解析事実重視

シックスシグマではプロジェクトの目標や成果の判定基準を、測定可能な指標で設定しデータの収集と解析を行います。欠陥数を6σレベルに低減する名の由来にあるように、品質ばらつき抑制を主眼においた活動を行う為、統計解析手法はデータ解析の中心となります。

(5)利益の向上を目的としたゴールの設定

COPQという言葉で表されるように、シックスシグマの根底には低品質のせいで無駄に垂れ流しているコストを6シグマレベルまで低減する考えがあります。品質の改善は必ずコスト改善に反映されるべきと考え、ゴール達成時の見込み効果を金額換算して設定します。

◆シックスシグマとは 【連載記事紹介】

 

3. プロジェクト推進の標準ステップ「DMAIC」

シックスシグマを具体的に実行する際、標準的なロードマップとして用いられるのが「DMAIC(ディマイク)」と呼ばれる5つのステップです。各フェーズでデータに基づいた判断を行うことで、経験や勘に頼らない確実な改善を目指します。

 

(1)Define(定義) プロジェクトの開始にあたり、解決すべき課題を明確にします。顧客の声(VOC)を分析し、経営戦略に直結する「重要品質特性(CTQ)」を特定します。ここでは、何を達成すればプロジェクトが成功と言えるのか、そのスコープと目標金額を定義したプロジェクトチャーターを作成します。

 

(2)Measure(測定) 現状を把握するために、対象となるプロセスのデータを収集します。勘に頼らず、現在の欠陥率やプロセスの能力を数値化します。測定システムの妥当性を確認し、分析の土台となるデータの信頼性を確保する重要なフェーズです。

 

(3)Analyze(分析) 収集したデータを統計的に解析し、欠陥やばらつきを引き起こしている根本原因(X)を特定します。多くの要因の中から、結果(Y)に最も影響を与えている真因を絞り込み、データによってその因果関係を証明します。

 

(4)Improve(改善) 特定された根本原因を取り除くための策を講じます。改善案を試行し、統計的な手法を用いて改善前後の有意差を確認します。プロセスが最適化され、目標とするシグマレベルに到達することを確認する段階です。

 

(5)Control(定着) 改善された状態が維持されるよう、管理体制を構築します。マニュアルの整備や管理図によるモニタリングを行い、問題が再発しない仕組みを作ります。最終的な財務効果を算出し、プロジェクトの成果を組織全体へ共有して完了となります。

 

4. 推進を支える人材「ベルト制度」

シックスシグマのもう一つの大きな特徴は、柔道の帯に倣った「ベルト制度」という資格体系による役割分担です。これにより、組織全体で共通言語を用いた活動が可能になります。

  • チャンピオン:事業部門の責任者であり、プロジェクトの承認やリソースの確保、障害の排除を担う司令塔です。
  • マスターブラックベルト(MBB):組織全体の戦略立案やブラックベルトの指導を行う、シックスシグマの最高責任者です。
  • ブラックベルト(BB):プロジェクトのリーダーとして実務を牽引する専従者です。高度な統計知識を持ち、複雑な課題解決にあたります。
  • グリーンベルト(GB):通常業務を行いながら、プロジェクトメンバーとして活動します。基本的な統計手法を理解し、実務レベルの改善を推進します。

 

5. 現代経営におけるシックスシグマの意義

シックスシグマは製造現場の品質管理から始まりましたが、現在ではITサービス、金融、物流、バックオフィス業務など、あらゆる業種で応用されています。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、膨大なデータを「価値」に変えるための思考フレームワークとして、その重要性はさらに高まっています。単なる「ミスを減らす活動」に留まらず、プロセスを科学的に解明し、経営資源を最適化するシックスシグマの思想は、変化の激しい市場環境において企業が持続的な競争優位性を築くための強力な武器となるのです。

 


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