事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)

投稿日

 事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)

【この連載の前回、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その95)へのリンク】

【目次】

    ▼さらに深く学ぶなら!
    「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

    1. 事業企画に必要なことは、定量的な分析結果とワクワク感

    先日、新規事業の担当者の方から「半年間をかけた事業企画書を完成させ、企画審議に挑んだものの結果はダメでした。何が原因だったのか、わからない」という相談がありました。お話を伺うと、市場調査レポートを読み込んだり、市場ニーズ情報を収集したり、マーケティング分析を行ったりと、リソースを投じて丁寧に仕事をされていたようです。

     

    一般に新規事業のアイディア創出ステージでは、市場調査や環境分析、強み・弱み分析や収益予測、財務分析といった一連の活動を行い、事業企画としてまとめます。現場サイドにおいて、研究開発や要素開発中の技術を活用した事業アイディアは、将来予測の不確定部分が...

     事業アイディアの企画を後押しする要素、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その96)

    【この連載の前回、新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その95)へのリンク】

    【目次】

      ▼さらに深く学ぶなら!
      「技術マネジメント」に関するセミナーはこちら!

      1. 事業企画に必要なことは、定量的な分析結果とワクワク感

      先日、新規事業の担当者の方から「半年間をかけた事業企画書を完成させ、企画審議に挑んだものの結果はダメでした。何が原因だったのか、わからない」という相談がありました。お話を伺うと、市場調査レポートを読み込んだり、市場ニーズ情報を収集したり、マーケティング分析を行ったりと、リソースを投じて丁寧に仕事をされていたようです。

       

      一般に新規事業のアイディア創出ステージでは、市場調査や環境分析、強み・弱み分析や収益予測、財務分析といった一連の活動を行い、事業企画としてまとめます。現場サイドにおいて、研究開発や要素開発中の技術を活用した事業アイディアは、将来予測の不確定部分が強く、定量的なデータ収集に苦労します。一方で経営サイドは、開発投資を判断する上でシェアや収益面に確度が高い事業アイディアを求めます。将来の事業の柱を作ることを目的にした事業アイディアといっても、両者の意見が対立するシーンは至るところで起こります。

       

      先に示したように不確定要素が強い将来を予測することは、社会環境や顧客ニーズ、技術実用化など不確定要素そのものと、不確定の度合(係数)を設定することが難しく、定量的に出した結果に対して納得しきれないと悩みます。将来を完全に予測することはできませんが、このような腹落ちしない状況を打開するために必要な要素は何でしょうか。

       

      それは「ワクワク感」です。

      ふざけていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ふざけてなんかいません。事業企画には、定量的な分析結果+ワクワク感が必要です。特に市場やプレイヤーが固定化されていない業界や中長期先の事業アイディアでは、必須です。

       

      2. 事業企画に必要なワクワク感とは

      ワクワク感とは何か。

      • 経営サイド・・・売上、利益、事業拡大、ブランド価値向上、企業価値向上、社会貢献など 
      • 現場サイド・・・事業貢献、自己実現、成功体験、自己成長など

       

      いずれも単に定量的なデータとするだけでは、ワクワク感は得られにくいのです。売上や利益は定量データのみで伝えることはできますが、実現したその先に、どんな社会貢献ができるか、企業価値が上がるかといったストーリーは伝えられません。

       

      経営陣、開発現場、顧客ともに人間です。人間は感情の生き物といいます。正しい道と分かっていても、その道を進まないという経験はありませんか?正しい道が楽しそうに思えない、やってもうまくいかない気がするなど、結果や過程によいイメージが描けないことが要因です。

       

      新規事業も同様です。もちろん、なんとなくワクワクするからと決めてはいけませんが、定量データを補足・サポートするためにワクワク感を企画書に盛り込むことを強く推奨します。ありきたりの事業企画書ではなく、定量データ+ワクワク感を伝える企画書が必須です。

       

         続きを読むには・・・


      この記事の著者

      川崎 響子

      革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

      革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


      「事業戦略」の他のキーワード解説記事

      もっと見る
      第一章 国内産業の状況 ものづくり白書を5分で読む。(その1)

      【この連載の次回へのリンク】 全274ページにわたる「ものづくり白書:2022年度版」の各章を5分の内容に要約して解説します。   本...

      【この連載の次回へのリンク】 全274ページにわたる「ものづくり白書:2022年度版」の各章を5分の内容に要約して解説します。   本...


      方針展開の不連続性による損失と対策 中小メーカ向け経営改革の考察(その17)

      ◆方針展開と小集団改善活動に関する問題と対策  前回のその16に続いて解説します。経営方針・事業計画・目標管理の関連性を踏まえず、それぞれに改善の課...

      ◆方針展開と小集団改善活動に関する問題と対策  前回のその16に続いて解説します。経営方針・事業計画・目標管理の関連性を踏まえず、それぞれに改善の課...


      新規事業を考える時、イノベーションとの関係性を問う

      【目次】 1. 経営者の考える失敗しない新規事業 経営者は、できるだけ短期間に、少ない投資で、大きな利益を得るような新規テーマを期...

      【目次】 1. 経営者の考える失敗しない新規事業 経営者は、できるだけ短期間に、少ない投資で、大きな利益を得るような新規テーマを期...


      「事業戦略」の活用事例

      もっと見る
      ものづくり中小企業のTPP利用

       TPPは、2015年10月に大筋で合意されました。これは、Trans-Pacific Partnershipの略称で「環太平洋パートナーシップ協定」を意...

       TPPは、2015年10月に大筋で合意されました。これは、Trans-Pacific Partnershipの略称で「環太平洋パートナーシップ協定」を意...


      クレーム発生-検査で異常を感知したのに出荷? 中国企業の壁(その5)

      1. クレーム発生-検査で異常を感知したのに出荷?  自社製品の検査で不良が見つかり原因を調べました。するとある購入部品の特性不具合によるものとわか...

      1. クレーム発生-検査で異常を感知したのに出荷?  自社製品の検査で不良が見つかり原因を調べました。するとある購入部品の特性不具合によるものとわか...


      ポストコロナDX『賢い』社長の戦略<未来>からのアプローチ(その3)

        はじめに <未来>からのアプローチ<科学の目><経営の目>に続いて、いま多くの企業が多大な関心を寄せているDXについて、Ⅰ.DXを理...

        はじめに <未来>からのアプローチ<科学の目><経営の目>に続いて、いま多くの企業が多大な関心を寄せているDXについて、Ⅰ.DXを理...