生産管理システム導入の基本 (その2) システム構築における課題

 前回は、生産管理システム導入の基本 その1 考え方を解説しました。それに続いて今回は、システム構築の課題です。今行われている構築手法は、ウォーターホール・モデルが主流です。このモデルは、水が滝を流れ落ちるように開発が進んでいくことから、このような名称になっています。システム構築を分析・設計・開発・テスト・運用のフェーズに分け、この順に実施していきます。滝は逆流する事がないのと同様に、各工程が完了する際に前の工程への逆戻りが起こらないよう、綿密なチェックを行います。(下図参照)

ERPシステム導入の流れ

 ウォーターホールでは、各工程で異なる会社が担当するケースがほとんどです。今回はこのような場合に多く見受けられるシステム構築手法についての課題を、3つの局面に分けてそれぞれの課題を確認します。

1.システム決定までの課題

 生産現場を理解していないコンサルタントが、上から目線だけで提案依頼書(以下RFPと略)を作成しているケースが多々あります。逆に依頼側が、RFPを理解し納得していないケースも多いように思います。しかし、コンサルティング会社の仕事はRFPまでで終わり、RFPを検収して支払いが発生します。
 次に開発ベンダーが、同じようなヒアリングをして要件定義を仕上げます。同じ事を同じように話しましたか?また同じように話を捉えて貰った確証はありますか? ヒアリングに答える人が代わって違うことを言っていませんか?
 細切れになった提案の辻褄はあっていますか、誰が検証できますか? これを基に開発が始まります。源泉で濁った水は下流で綺麗にはなりません。細切れの提案は曖昧な責任範囲の原因となります。

2.システム開発時の課題

 システムは理解しているが、ビジネスを知らない開発陣、経営的視点が不足している人が居ませんか?不足しているだけならいい方です。貴社のビジョンを理解どころか知らない可能性大です。システムを入れる目的がズレ始めるのはこのフェーズです。
 現場からの要求を優先するあまり、膨大なカスタマイズが計画され費用は膨らみます。各々の現場最適が全体最適とはなりません。高所から見ることが必要になります。
 あるシステム構築で、予算が4倍、期間が3倍になっても、カスタマイズのバックログの山というプロジェクトを見たことがありますが、やはり現場の声だけで構築をした事が原因でした。開発陣がバラバラな方向を向いていると必ずそうなります。

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3.システム導入後の課題

 稼動後の評価をしっかりと行う必要があります。成果指標と実施方法から評価しなければなりません。当初の目標からズレが生じていないかを検証しますが、RFPを書いたコンサルはもういません。結果責任は誰が負うのでしょうか?コンサル、開発陣は、それぞれの立場でしか発言しません。結局使いづらいシステムを我慢して使いユーザの負担が大きくなったり、業務の変化に対応できずに、拡張したくても触れないシステムになります。今後、このシステムの性能向上をどのように進めるのでしょう?結果責任はユーザでしょうか?

 次回、その3は、計画から稼動・運用までの一気通貫を解説します。


この記事の著者

関 龍彦

利益の出る生産管理を提案/実現します。投資効果を考えた貴社の生産の最適解を導き出し,現場の改善と経営戦略を効率的な導入手法で,真に意味のあるシステムを実現します。小中規模の生産管理はお任せください。

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