中小企業経営の基礎講座(その4)経営を自動車運転に例えれば

 前回の中小企業経営の基礎講座(その3)では、貸借対照表で見る資金の状態を解説しました。今回は、経営を自動車運転に例えればで、解説します。 企業経営を持続的に続けるのは、以下の5つの経営資源をバランス良く準備し、活用する事が必要です。

1)人・・経営者・社員・協力者・パートナー・業界の長老・同窓会のつながり等、
様々な人間としての絆とコミュニティ

2)モノ・・土地・工場・店舗・生産設備・エネルギー系の設備・車輌等の生産財や商品・材料・仕掛品等の棚卸資産等

3)金・・資本金・借入金・社債等で具体的にはキャッシュですが、人やモノ・しくみ
・情報を確保するための資源です。

4)“しくみ”・・人を育てる、モノを産み出し管理する、金を集め管理する、情報をタイミングよく活用する等のしくみで、過去の経験知や困難を乗り超えて来た企業文化等の無形の資源であり、未来に継承します。

5)情報・・景況・金融政策・天候・ライバル企業情報・国際情勢・技術情報等、経営の未来に戦略的に影響を与える「外部情報」と社員のモチベーション、人間関係、金融機関との信頼関係、協力社との信頼関係、商品の売れ筋、儲け筋や資材の調達の安定性、月次決算や決算の財務状況等の「内部情報」があります。
現在は、この情報資源の役割が飛躍的に高くなっており、企業の差別化要因にもなっています。

 人・モノ・金は、使うと目減りして補充が必要ですが、“しくみ”と情報は、発信して使い込めば使い込む程、価値が高まり新たな価値を生み出す特性を持っているのが、大きな特徴です。これからの時代「知財」も重要な資源となります。

 では、その経営資源を活用して目的を達する様子を、人を乗せて走行する「軽のボックスカー」、「家族向けのワゴン車」、「小型バスや大型バス」をイメージして、その運転にたとえて解説してみましょう。経営資源を次のように例えてみます。

1)人=ドライバー(経営者)、社員、お客さま、家族

2)モノ=車体・エンジン・駆動機構・車輪・タイヤ・発電機・蓄電池・ラジエーター系
・エアコン・ナビゲーター等のハード系

3)金=ガソリン・燃料

4)“しくみ”=制御系のマイコン・システム・安全機構・ナビゲーター機能・車検・始業終業点検・保険・運転技能レベルの維持向上等

5)情報=「内部情報」として、燃料残量、乗っている人のトイレ・食事の必要時間、目視や五感で観じる走行速度・バックミラーに映る車内外の風景・異音や振動の情報等があります。また 「外部情報」としては、道路情報・天候・SSのある場所、同じルートの他の交通機関の状況等、リスクとなる情報があります。

 この5つの経営資源の現況を総合的に判断して、ドライバーは目的地に、安全に予定された時間に着くように、計画し準備してドライブするわけです。

 企業経営と生業・家業とは、全く経営のやり方が違いますので、その点を十分に認識してください。企業とは、他人を採用して毎月給与を支払う等の社会的責任を果たしている規模の経営体のことです。一方生業・稼業は一人乗りのオートバイのように、機動力はありますが、ドライバー等のスタッフスペアーがない経営体で、管理は資金繰りだけでも十分に対応する事が可能です。 

 皆様の企業規模は「軽」か「ワンボックス・ワゴン」か「小型バス」か「大型バス」か、何人を乗せて走る自動車でしょうか?どの大きさにしろ、社員や家族等をのせて目的地に向かいますので、乗っている人達を安全にかつ、予定した時間に到着させることが課題です。ここではスキーツアーに行くイメージで話を進めましょう。

1.ドライブプラン(経営計画や事業計画立案に該当)

 何人が乗るのかで車の大きさを選択し、ドライブルートの確認と、SSがどこにあり燃料補充はどこで行うかを確認します。タイヤやチェーンの装備の方法や、食事・休憩のタイミング等の安全運転の条件を立てて情報を共有化し、リリーフ体制を確認して万一に備えます。更にはドライバーの腕と経験等々も確認します。

2.始業点検(販売・生産等や起業・創業の準備に該当)

 車やタイやの点検。天候や道路情報。乗る人の参加の変動や健康状態。持参する積み込み物の数量の確認等、内部・外部情報を正しく把握します。始業点検は念には念を入れて、ダブルチェックを励行しましょう。

3.ドライブ中

 前を30%位の注意力で確認しながら運転するのはもちろんとして、40%位の注意力を、右左のサイドミラーで、追い越し・車線変更・流れの確認等の道路情報の外部情報をキャッチして、危険を予知します。
さらに30%位の注意力を持って、バックミラーをのぞき、車内の観察や話し声等を通して、絶え間なく乗っている人達の安全確認をします。立ち上がりや移動の危険が起きないか、安全ベルトの利用等も正常化か等々。

 企業経営も同じように、市場の変化やリスクの予知と対策を絶え間なく考働しています。 社員のモチベーションつくりや、活性化のために、日々経営者は気を砕いているのです。 企業の場合のバックミラーは、朝礼・終礼・日報・5S・安全や業務のパトロール等の現場の管理です。 ドライバーが急発進、急ブレーキ、急ハンドルすると乗っている人の快適さは失われて危険ですらあるのです。 ドライブでは左折・右折や、止まる時は、声かけして備えさせますね。

 経営者と幹部の間の「報・連・相+【確認】」が、十分でなく、このような、急発進・急ブレーキ・急ハンドルの意思決定をして、組織を混乱させていませんか?
無免許ドライバーは、周りへの気配りができていなく(KY)、一声かければ、ほとんどが防げるのに、かけないで事故を誘発します。 ドライブでは、追突や出会い頭の衝突、突然の飛び出しやトンネル事故や土砂崩れ等の、予測しないリスクが発生しますので、そうした事にも万全の注意を払って安全運転を心がけます。

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4.終業点検

 ドライブ終了後に行いますが、次に使うための前準備でもあります。 スキードライブが終わったら、まず車の点検をして正常に使えるように整備します。 ドライブプランに大きな差が発生しなかったか。あった場合は、原因は何であるのか?
皆は満足したか、改善点と課題を整理して、内部情報の質を高めます。そして、再発の防止策と手順化等をして、レベルを上げて行きます。

 こうした、P(計画)とD(実行)のC(チェック・確認)そして、A(歯止め・手順化)をしっかりと積み重ねる事が、ゴールド免許への道なのです。 日常の、始業・終業点検こそが、基本であり大事です。よいドライバー(経営者)を育成するには、このことを体得させるのが、一番はじめの訓練です。

 経営で言えば日次・週次・月次決算やMO・BS・PL・財務指標分析等の経営レポートでのPDCAに相当します。現実には、企業経営の運転免許はありませんが、無免許なのか、仮免や双葉マークのレベルなのか、違反常習者や事故多発者なのかは、マネジメント会計データ(決算結果)で判断できます。免停や取り消しのレベルでもあるかということも、明確にデータに表れます。 

 最近では高齢者(70才以上)は、適正検査を受けないと免許更新ができなくなっており、公道における事故発生を予防しています。 企業経営では経営者自身の判断で、アドバイザーの評価を受けることに該当します。自分の免許レベルがどのレベルにあるかを、自己判断と共に信頼できるアドバイザーに評価してもらいましょう。資金調達を断わられたり、協力者が途中下車してしまうのは、その車(企業)に乗っていられないとの警告サインなのです。


この記事の著者

平本 靖夫

中小企業の経営支援43年間で350社の実績をベースに、貴社にとっての実務直結メンターとなります!

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