コンピテンシー・マネジメントシステムとは

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1. コンピテンシーとは

 多くの企業では、近年、コンピテンシー採用やコンピテンシーによる実績評価を実施しています。そこで、人財開発領域で非常に重要なキーワードである“コンピテンシー”の意味を確認しておきましょう。

 筆者らは、人事部門のプロジェクトで、2000年頃からこの考え方を元の勤務先企業に導入してきました。そこで、毎年約1万人のコンピテンシー・アセスメントを実施したデータを分析していました。コンピテンシーを一言で言えば、「成果に直結する思考・行動特性」を表しています。図1に示すように、一般的には、水に浮かぶ氷山モデルで説明されます。つまり、水面より下の位置に存在している特性・能力が非常に重要だということなのです。生まれながらのもの、訓練によって強化できるものの両者が存在します。具体的には、挑戦心、やりきる力、学習力、リーダーシップ力、課題解決能力などを指します。言い方を換えれば、「人材のベンチマーキング」とも表現できます。例えば「やりきる力」は、お客様や自分自身との約束を守ることも意味します。そこから信頼関係が構築でき、自信に繋がり、高い目標を達成できるのです。

コンピテンシーとは

図1 コンピテンシーとは

 

2. コンピテンシー・マネジメントシステムの運用事例

 筆者の元の勤務先では、1 回/年、全社員の コンピテンシー・アセスメントを実施し、そのレベルを登録します。その上で、能力開発目標・キャリアプランなどを盛り込んだ「キャリア開発シート」を作成し、まず上長と会社の重点目標と合致した将来獲得すべき新しいコンピテンシーレベル向上方法について話し合います。そして、30歳、40歳および54歳に達した時点で、各自のキャリアビジョンを視野に進路を見直し、キャリア目標と目標達成のシナリオづくりを実施します。

 これだけ綿密にコミュニケーションを取っても、やりたい仕事とのミスマッチは、約30%も存在しているのが実情です。それは、新卒採用基準の...

1. コンピテンシーとは

 多くの企業では、近年、コンピテンシー採用やコンピテンシーによる実績評価を実施しています。そこで、人財開発領域で非常に重要なキーワードである“コンピテンシー”の意味を確認しておきましょう。

 筆者らは、人事部門のプロジェクトで、2000年頃からこの考え方を元の勤務先企業に導入してきました。そこで、毎年約1万人のコンピテンシー・アセスメントを実施したデータを分析していました。コンピテンシーを一言で言えば、「成果に直結する思考・行動特性」を表しています。図1に示すように、一般的には、水に浮かぶ氷山モデルで説明されます。つまり、水面より下の位置に存在している特性・能力が非常に重要だということなのです。生まれながらのもの、訓練によって強化できるものの両者が存在します。具体的には、挑戦心、やりきる力、学習力、リーダーシップ力、課題解決能力などを指します。言い方を換えれば、「人材のベンチマーキング」とも表現できます。例えば「やりきる力」は、お客様や自分自身との約束を守ることも意味します。そこから信頼関係が構築でき、自信に繋がり、高い目標を達成できるのです。

コンピテンシーとは

図1 コンピテンシーとは

 

2. コンピテンシー・マネジメントシステムの運用事例

 筆者の元の勤務先では、1 回/年、全社員の コンピテンシー・アセスメントを実施し、そのレベルを登録します。その上で、能力開発目標・キャリアプランなどを盛り込んだ「キャリア開発シート」を作成し、まず上長と会社の重点目標と合致した将来獲得すべき新しいコンピテンシーレベル向上方法について話し合います。そして、30歳、40歳および54歳に達した時点で、各自のキャリアビジョンを視野に進路を見直し、キャリア目標と目標達成のシナリオづくりを実施します。

 これだけ綿密にコミュニケーションを取っても、やりたい仕事とのミスマッチは、約30%も存在しているのが実情です。それは、新卒採用基準の曖昧さなどの源流管理と社会環境の劇的変化に課題があると考えられます。これらの課題を踏まえ、年代に関係なく、キャリア相談制度の必要性を認識し、会社と個人の中立の立場を守り、質の高いカウンセリングもシステム化しています。これらは、新聞、雑誌、書籍などでモデルケースとして紹介されています。

コンピテンシー・マネジメントシステム

図2.コンピテンシー・マネジメントシステム

 

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この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

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