グループインタビューとは

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 今回は、商品企画七つ道具のインタビュー調査、特に潜在ニーズ発掘に焦点を当てたインタビュー調査について解説します。
 

1. 潜在ニーズを発掘するグループインタビューであるはずなのに

 
 先日、消費財をテーマとしたグループインタビューを行いました。目的は回答者から潜在ニーズを見つけることです。商品企画七つ道具では顧客価値を追求するために、また、潜在ニーズを発掘するためにグループインタビューを行います。
 
 なぜならば、顧客も知らない潜在ニーズを発掘することは、付加価値や差別化になる仮説が生まれるからです。実施した結果は、クライアントは満足をしていました。それはクライアントが知らない情報はたくさん得られたからです。
 
 メーカー側が知らない「目から鱗」のような情報を知れたことが評価されました。それは、厳密に言えば「潜在ニーズ」ではありません。顧客が明確に要望していることは「顕在ニーズ」だからです。
 
 今回、インターネット調査会社から対象者を無作為に集めて頂きましたので、結果を想定はしていましたが、やはり、結果に私は不満でした。その理由としては、30歳代の男性の意見が出ませんでした。この世代は私の経験からですが、関心があることに興味を示しますが、関心がないことに話を広げません。
 
 さらに商品企画の仮説案が具体的に商品案になりすぎているので、意見が商品そのものの良し悪しに終始し、意見が発散しませんでした。具体化された商品案の評価になってしまうとなかなか潜在ニーズは見つかりません。
 

(1) 抽象化された仮説:企画案が定まっていないので、回答者がいろいろなイメージをする

 
 例えば、健康茶としますと
 
・なんの健康茶?、
・成分は何が入っているの?、
・味はどんな味?
 

(2) 具体化された仮説:企画案が明確なので、回答者の良し悪しになる

 
 例えば、黒烏龍茶?
 メーカー、パッケージや成分、価格を提示した場合
 
・味が苦い
・価格が高い
・量が少ない
・ブランドが空き
・脂肪が燃焼するからよい
 

2. 潜在ニーズを発掘するインタビュー調査

 
 大脳生理学者に伺ったところ、潜在ニーズを発掘するためには、潜在意識に入り込む必要とのことです。顕在意識と潜在意識は1対2万、ほとんど潜在意識であり、無意識です。
 
  大脳生理学者によると、20年前に行ったことがある町に再び訪れたとします。意識としては行ったことがないところだと思っています。駅に降りてその景色から何となく、ここ来たことがあると蘇ってきます。来たことがないと思っていても、その景色に面影があったりして、記憶が蘇るようです。
 
 そこで、これをグループインタビューに応用すると、「記憶を蘇らせること」効果的な質問をして、潜在意識を思い出させることが重要となります。
 
グループインタビュー
 
・体験させる、
・当時を思い出させるように
 
 具体的には
 
・5W1Hの質問をする
 

3. 効果的なインタビュー調査にするには

 
 グループインタビューにこだわるなら、対象者集める工夫をします。意見が活発に出る対象者を選ぶことです。意見が自由に出来る「縁故」のグループインタビューの方が、まだ意見が発散、意見の理由が突っ込め、意見の深堀ができます。
 
  以前、私の妹に対象者を集めてもらいました。丁度、対象者が私の妹に合致したからです。インタビュー会場は、会議室やインタビュースタジオではなく、妹の自宅にしました。その方が生活感が出て話しやすくなるからです。
 
 私の妹の友人が対象者でしたので、調査会社に集めてもらうより、費用は安く、さらに意見もたくさんでました。
 

4. 潜在ニーズを発掘するための他の手法

 

(1) デプスインタビュー調査

 
 潜在ニーズを掴むなら、インタビュー調査において、デプスインタビューまたは行動観察、ヒアリングの方が有効ではないかと思います。デプスインタビューとは、顧客と司会者が、1対1でインタビューを行う調査手法です。1つの事をより深く聴取できると共に、繊細なデータでもしっかりと本音を引き出すことができます。
 

(2) 行動観察調査

 
 行動観察とは、顧客の実際商品を扱う現場に出向き、その行動を観察して新しい気づきを得て仮説を出します。
 

(3) 仮説発掘法

 
 調査会社が対象者を無作為を選ぶグループインタビューの場合、かかる費用が高く、新商品企画七つ道具手法である仮説発掘法が費用対効果ならこの手法を使うのも有効です。仮説発掘法は顧客の現場に入り込み、仮説を大量に出す方法です。
 

5.目的に合ったインタビュー調査の実施

 
 潜在ニーズ発掘を目標の顧客...
 今回は、商品企画七つ道具のインタビュー調査、特に潜在ニーズ発掘に焦点を当てたインタビュー調査について解説します。
 

1. 潜在ニーズを発掘するグループインタビューであるはずなのに

 
 先日、消費財をテーマとしたグループインタビューを行いました。目的は回答者から潜在ニーズを見つけることです。商品企画七つ道具では顧客価値を追求するために、また、潜在ニーズを発掘するためにグループインタビューを行います。
 
 なぜならば、顧客も知らない潜在ニーズを発掘することは、付加価値や差別化になる仮説が生まれるからです。実施した結果は、クライアントは満足をしていました。それはクライアントが知らない情報はたくさん得られたからです。
 
 メーカー側が知らない「目から鱗」のような情報を知れたことが評価されました。それは、厳密に言えば「潜在ニーズ」ではありません。顧客が明確に要望していることは「顕在ニーズ」だからです。
 
 今回、インターネット調査会社から対象者を無作為に集めて頂きましたので、結果を想定はしていましたが、やはり、結果に私は不満でした。その理由としては、30歳代の男性の意見が出ませんでした。この世代は私の経験からですが、関心があることに興味を示しますが、関心がないことに話を広げません。
 
 さらに商品企画の仮説案が具体的に商品案になりすぎているので、意見が商品そのものの良し悪しに終始し、意見が発散しませんでした。具体化された商品案の評価になってしまうとなかなか潜在ニーズは見つかりません。
 

(1) 抽象化された仮説:企画案が定まっていないので、回答者がいろいろなイメージをする

 
 例えば、健康茶としますと
 
・なんの健康茶?、
・成分は何が入っているの?、
・味はどんな味?
 

(2) 具体化された仮説:企画案が明確なので、回答者の良し悪しになる

 
 例えば、黒烏龍茶?
 メーカー、パッケージや成分、価格を提示した場合
 
・味が苦い
・価格が高い
・量が少ない
・ブランドが空き
・脂肪が燃焼するからよい
 

2. 潜在ニーズを発掘するインタビュー調査

 
 大脳生理学者に伺ったところ、潜在ニーズを発掘するためには、潜在意識に入り込む必要とのことです。顕在意識と潜在意識は1対2万、ほとんど潜在意識であり、無意識です。
 
  大脳生理学者によると、20年前に行ったことがある町に再び訪れたとします。意識としては行ったことがないところだと思っています。駅に降りてその景色から何となく、ここ来たことがあると蘇ってきます。来たことがないと思っていても、その景色に面影があったりして、記憶が蘇るようです。
 
 そこで、これをグループインタビューに応用すると、「記憶を蘇らせること」効果的な質問をして、潜在意識を思い出させることが重要となります。
 
グループインタビュー
 
・体験させる、
・当時を思い出させるように
 
 具体的には
 
・5W1Hの質問をする
 

3. 効果的なインタビュー調査にするには

 
 グループインタビューにこだわるなら、対象者集める工夫をします。意見が活発に出る対象者を選ぶことです。意見が自由に出来る「縁故」のグループインタビューの方が、まだ意見が発散、意見の理由が突っ込め、意見の深堀ができます。
 
  以前、私の妹に対象者を集めてもらいました。丁度、対象者が私の妹に合致したからです。インタビュー会場は、会議室やインタビュースタジオではなく、妹の自宅にしました。その方が生活感が出て話しやすくなるからです。
 
 私の妹の友人が対象者でしたので、調査会社に集めてもらうより、費用は安く、さらに意見もたくさんでました。
 

4. 潜在ニーズを発掘するための他の手法

 

(1) デプスインタビュー調査

 
 潜在ニーズを掴むなら、インタビュー調査において、デプスインタビューまたは行動観察、ヒアリングの方が有効ではないかと思います。デプスインタビューとは、顧客と司会者が、1対1でインタビューを行う調査手法です。1つの事をより深く聴取できると共に、繊細なデータでもしっかりと本音を引き出すことができます。
 

(2) 行動観察調査

 
 行動観察とは、顧客の実際商品を扱う現場に出向き、その行動を観察して新しい気づきを得て仮説を出します。
 

(3) 仮説発掘法

 
 調査会社が対象者を無作為を選ぶグループインタビューの場合、かかる費用が高く、新商品企画七つ道具手法である仮説発掘法が費用対効果ならこの手法を使うのも有効です。仮説発掘法は顧客の現場に入り込み、仮説を大量に出す方法です。
 

5.目的に合ったインタビュー調査の実施

 
 潜在ニーズ発掘を目標の顧客価値創造の場合は、一般的に言われる「グループインタビュー」は再考された方がよいかも知れません。商品企画七つ道具を学んだ方からすると、潜在ニーズ発見=グループインタビューかも知れません。有効なことは明確ですが、顧客要望が多様化している昨今、他にも有効な手法があります。要望を話さない世代では、特に潜在ニーズも見つけにくいからです。
 
【参考文献】
神田範明編著:『商品企画七つ道具-新商品開発のためのツール集-』、日科技連出版社、(1995)
神田範明編著:『ヒットを生む商品企画七つ道具 よくわかる編』、日科技連出版社、(2000)
神田範明著:『神田教授の商品企画ゼミナール』、日科技連出版社、(2013)
 

【関連解説:商品企画七つ道具】

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この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。


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