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電子化されたユニットのFMEA解析 (その1)

 今回から、3回の連載で電気自動車の電子ユニット解析の進め方、実施事例から、『電子化されたユニットのFMEA解析』はどうするのかについて解説します。世の中のほとんどのFMEA解説は、機構ユニット・機構部品の解析手順のみであり電子・電気、ソフトウエアに関するFMEAの解説は、空白状態となっています。機構部品以外のFMEA実施手順をどのように進めたらいいか、当研究所が推奨する電気・電子回路を含むソフトウエア組込みユニットのFMEAの考え方の基本を詳しく解説します。
 
FMEA
 
 まず前提として考えなければならないのは、故障モードをどう考えるかです。機構部品では、物理的な破壊、劣化、化学変化などがあげられます。但し、電子回路も電気部品で構成されており、機構部品同様に物理的な破壊劣化等を故障モードとして列挙することになります。たとえば、次の4点などです。
 
 ・抵抗値の経年変化
 ・部品の半田付け部分の接触不良
 ・コンデンサの容量抜け
 ・ノイズによる誤動作など
 
 上記は、機構部品や機構ユニットの考え方と同じと考えていいでしょう。しかしながら、そこにソフトウエアが絡んでくると一気に難しくなります。ソフトウエアは、論理構造ですから、一度決められた論理構造自体は破壊しません。バグ発見を目的としたFMEAの実施例を見かけますが、バグは設計ミスですから故障モードとは区別され、FMEAの対象ではありません。
 
 ソフトウエアの論理構造は破壊しませんが、電気部品の破壊・劣化によって目的とした動作は行われなくなります。ただ、何千とある電子回路のある一つの電気部品が破壊したとして、ソフトウエアがどのように誤動作するかは想像がつきません。半導通状態の部品が振動などで接触不良となった時の不安定な動作となることを経験的に知っている上で考えると難しさが理解できると思います。それを、何千もの部品一点一点について故障モードによる影響を検証する事は至難の業です。FMEAでは、すべての故障モードを列挙せよという要求がありますが、これには答えられず、そこで電子ユニットのFMEAは挫折することになります。
 
 挫折しないためには、故障モードの概念を物理構造の破壊、劣化だけでなくソフトウエアを含む「システム」として捉えることにします。つまり、故障モードを「システムの構造破壊」と考えることにします。機構部品で構成される機構ユニットとして考えると、同様に「システム」と考えられます。購入部品・ユニットは、自社内では設計対象外ですから部品一点一点は解析で来ません。そこでユニット全体をシステムと考え、システムの構造破壊を故障モードと捉えます。たとえば、次の2点です。
 
 ・モーターユニットに電源を加えても回転しない、回転が不安定
 ・電池が充電できなくなった、など
 
 入力を加えても、正しく出力が得られない状態を「システムの構造破壊」と定義します。システムの入出力の安定性を評価する品質工学とも類似した考えが適用できますが、品質工学のパラメータ設計では、環境条件、劣化などのノイズの影響下において、入力に対する出力のばらつきを抑えると言う考え方をします。FMEAでは、環境や劣化の影響でも、もっと被害が進んで、システムそのものが破壊(異常)となった場合の影響を調べます。
 
 以上の説明で「故障モード」の考え方を整理することによって、組込みソフトを含むシステムのFMEAの考え方が整理され、容易に実施できることになります。
 
 次回は、システムの構造について解説します。
 

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(はまだ かねお) / 専門家B / 高崎ものづくり技術研究所

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