4M変更とは? 製造業の品質管理法について解説

更新日

投稿日

 
 今回は、4M変動管理(4M変化点管理/4M変更管理)について体系的に説明します。
 

1. 4Mとは

 4Mとは、製造工程を構成する主要な要素、MAN(人)MACHINE(機械)MATERIAL(材料)METHOD(方法)のことです。これにMESURMENT(測定)を加え、5Mと表現する場合もあります。
 
 4M変化点管理は「取引先から要求されたから」ではなく、自らが管理の目的・位置づけを明確にして取り入れなければ、手間が掛かるだけで何の効果も得られません。4M変更管理の中心となる手法は、日常業務における未然防止のための「重点管理」と「先手管理」です。日常業務において、この2つの管理を取り入れることで、不良発生が防げるようになるのです。
 
 

2. 4M変動管理の種類

 
 4M変更管理は、その発生する性質によって大きく2種類に分かれます。一つは、4Mの変化が予期しない時に突発的に発生する「4M変動発生時の管理」とあらかじめ4M変更が予測される場合の「4M変更管理」です。一方、ISO9000では「プロセスの監視・測定」を通じて得られた危険情報に基づいて対策を講ずる、一種の「予防処置活動」を求めています。 

3. 4M変更管理の体系化

 
 4M変更管理の全体イメージを下図に示します。
 
4M変更管理
 
 生産が始まる前に、事前に未然防止対策を講ずるのが本来の「予防処置」です。ところが、万全な予防策を講じたと思っても、不具合は発生します。工程設計の不備、また様々な外部要因(設計変更、材料変更など)や、内部要因(機械の故障ルール違反)などによって、決められた工程設計通りの作業が行えない状況が生じます。そこで、日常管理の中で、4M(実際は5M)の「変化点」に注目した管理が必要になって来ます。
 

4. 4M変動管理 : QC工程図の作成、重要要因、重要特性の管理

 
 重要要因として、5Mの管理手順、管理点を明確にし(QC工程図)実績を記録します。同時に重要特性(QCD)の推移を記録し異常発生の有無の監視を行います。変化点の把握は、管理図・推移グラフでの異常や日常点検での異常、またいつもと違うと感じる状況の把握などです。
 
 4M変更管理
 

5. 4M変動管理 : 先手管...

 
 今回は、4M変動管理(4M変化点管理/4M変更管理)について体系的に説明します。
 

1. 4Mとは

 4Mとは、製造工程を構成する主要な要素、MAN(人)MACHINE(機械)MATERIAL(材料)METHOD(方法)のことです。これにMESURMENT(測定)を加え、5Mと表現する場合もあります。
 
 4M変化点管理は「取引先から要求されたから」ではなく、自らが管理の目的・位置づけを明確にして取り入れなければ、手間が掛かるだけで何の効果も得られません。4M変更管理の中心となる手法は、日常業務における未然防止のための「重点管理」と「先手管理」です。日常業務において、この2つの管理を取り入れることで、不良発生が防げるようになるのです。
 
 

2. 4M変動管理の種類

 
 4M変更管理は、その発生する性質によって大きく2種類に分かれます。一つは、4Mの変化が予期しない時に突発的に発生する「4M変動発生時の管理」とあらかじめ4M変更が予測される場合の「4M変更管理」です。一方、ISO9000では「プロセスの監視・測定」を通じて得られた危険情報に基づいて対策を講ずる、一種の「予防処置活動」を求めています。 

3. 4M変更管理の体系化

 
 4M変更管理の全体イメージを下図に示します。
 
4M変更管理
 
 生産が始まる前に、事前に未然防止対策を講ずるのが本来の「予防処置」です。ところが、万全な予防策を講じたと思っても、不具合は発生します。工程設計の不備、また様々な外部要因(設計変更、材料変更など)や、内部要因(機械の故障ルール違反)などによって、決められた工程設計通りの作業が行えない状況が生じます。そこで、日常管理の中で、4M(実際は5M)の「変化点」に注目した管理が必要になって来ます。
 

4. 4M変動管理 : QC工程図の作成、重要要因、重要特性の管理

 
 重要要因として、5Mの管理手順、管理点を明確にし(QC工程図)実績を記録します。同時に重要特性(QCD)の推移を記録し異常発生の有無の監視を行います。変化点の把握は、管理図・推移グラフでの異常や日常点検での異常、またいつもと違うと感じる状況の把握などです。
 
 4M変更管理
 

5. 4M変動管理 : 先手管理とは

 
 先手管理とは、不良が発生する前に異常状態(予兆)を検出して、先手対策を講じます。管理図において、UCL/LCL(上限、下限の限界線)を設けるのもそのためです。さらに、ヒヤリハット報告を基に、ヒューマンエラー予防評価シートを作成しエラーを未然に防止する仕組みの構築も非常に有効な手段です。
 
 4M変更管理
  
4M変更管理
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
品質管理:ロットから個別管理へ

    日本の多くの中小製造業は、「多品種少量、受注加工生産型企業」です。しかし、品質管理の考え方は、大量生産時代に欧米から学んだ「...

    日本の多くの中小製造業は、「多品種少量、受注加工生産型企業」です。しかし、品質管理の考え方は、大量生産時代に欧米から学んだ「...


ファブレス小売業の品質保証(その2)

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その1)へのリンク】 特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業で...

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その1)へのリンク】 特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業で...


【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)

       前回の【快年童子の豆鉄砲】(その114)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(1)からの続きで...

       前回の【快年童子の豆鉄砲】(その114)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(1)からの続きで...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
ISO-9001社内監査とリーンシックスシグマ

   新年度になると、コスト削減やリードタイムの短縮など、新しい生産性向上のための目標が与えられます。その目標に向かってリーンシックスシグマ・...

   新年度になると、コスト削減やリードタイムの短縮など、新しい生産性向上のための目標が与えられます。その目標に向かってリーンシックスシグマ・...


QCサークル活動 生産現場の悩みとは

 「忙しいから」「人がいないから」これは、どこの企業も条件は同じです。工夫して時間を捻出している企業が勝ち組となります。つまり、生産性を上げる &rArr...

 「忙しいから」「人がいないから」これは、どこの企業も条件は同じです。工夫して時間を捻出している企業が勝ち組となります。つまり、生産性を上げる &rArr...


中国進出の品質リスク、自社には関係ない 中国企業の壁(その7)

1. 中国進出の品質リスク、自社には関係ない  ある日系企業の方と話をしていたところ、中国工場進出についての話になりました。これから中国に進出するこ...

1. 中国進出の品質リスク、自社には関係ない  ある日系企業の方と話をしていたところ、中国工場進出についての話になりました。これから中国に進出するこ...