問題解決の基本「三現主義」

更新日

投稿日

 問題解決のために最も基本となる「三現主義」について解説します。三現主義とは、現場・現物・現実の3つの『現』を重視し、机上ではなく、実際に現場で 現物を観察して現実を認識した上で、問題の解決を図らなければならないという考え方のことです。
 
 不良の発生した原因を、その現場の責任者に聞くと、「作業ミス」が原因と答えが返ってくる場合が多いのですが、なぜ作業ミスが起こるのか聞くと「作業に慣れていない新人が作業したから」と答えます。対策を聞くと「新人教育を徹底します」と答えが返ってきます。これは、三現主義に基づいてしっかりと現状を把握していないから、原因追及も対策も的を外れてしまいます。では、三現主義に基づいて、現状を正しく把握するにはどうしたらよいでしょうか。
    
    三現主義・「現場」に足を運び、場を確認する
    ・「現物」を手に取り、物を確認する
    ・「現実」をこの目で見て、事実を知る
 
 作業ミスを事例として3現主義を考えてみましょう。現場の責任者は、照明は暗くないか、暑くないか、作業場所が狭くないか、など現場に何らかの作業ミスを誘発する要因がないか、よく調べることが必要でしょう。
 
 次に、「作業ミス」を起こして不良になった「現物」をよく見て、じっくり時間をかけて観察することです。不良は、何個発生しているのか、不良はみな特定の箇所で発生しているなどの、同じような傾向があるのか、いのか、などとにかく目を大きく開いて、感を働かせ神経を集中してよく見ることが大切です。そして、最後に実際に作業をしているところから少し離れて、作業をしている様子をよく観察します。適切な治具や工具は使用しているか、作業の手順は正しいか、作業のやりにくい部分はないか、自主検査をして作業に間違いがないか確認しているか、などを細かくチェックします。そうすると、新人教育だけでは解決しない問題がいくつも発見される場合が多いのです。
 
・作業するときの固定治具が不足しているために、一部の作業者は、片手で品物を抑えながら片手で工具
 を使用していた。
・正しい作業手順で作業を行うと、最後の部品を取り付ける作業が非常にやりずらいことが分かった。
 中には、正しい作業手順で行わない作業者もいた。
・一部の作業台のねじが緩んでおり、作業台がぐらぐら揺れていた。
・不良でラインアウトした部品の置き場所がなく、良品として混入してしまう危険性がある。などなど。
 
 以上、当たり前のことを解説しましたが、実はこの当たり前のことができないためにいろいろな問題が発生しています。データのねつ造や改ざんは今や日常茶飯事。役所の検査官、企業の責任ある立場の人は三現主義をどの...
 問題解決のために最も基本となる「三現主義」について解説します。三現主義とは、現場・現物・現実の3つの『現』を重視し、机上ではなく、実際に現場で 現物を観察して現実を認識した上で、問題の解決を図らなければならないという考え方のことです。
 
 不良の発生した原因を、その現場の責任者に聞くと、「作業ミス」が原因と答えが返ってくる場合が多いのですが、なぜ作業ミスが起こるのか聞くと「作業に慣れていない新人が作業したから」と答えます。対策を聞くと「新人教育を徹底します」と答えが返ってきます。これは、三現主義に基づいてしっかりと現状を把握していないから、原因追及も対策も的を外れてしまいます。では、三現主義に基づいて、現状を正しく把握するにはどうしたらよいでしょうか。
    
    三現主義・「現場」に足を運び、場を確認する
    ・「現物」を手に取り、物を確認する
    ・「現実」をこの目で見て、事実を知る
 
 作業ミスを事例として3現主義を考えてみましょう。現場の責任者は、照明は暗くないか、暑くないか、作業場所が狭くないか、など現場に何らかの作業ミスを誘発する要因がないか、よく調べることが必要でしょう。
 
 次に、「作業ミス」を起こして不良になった「現物」をよく見て、じっくり時間をかけて観察することです。不良は、何個発生しているのか、不良はみな特定の箇所で発生しているなどの、同じような傾向があるのか、いのか、などとにかく目を大きく開いて、感を働かせ神経を集中してよく見ることが大切です。そして、最後に実際に作業をしているところから少し離れて、作業をしている様子をよく観察します。適切な治具や工具は使用しているか、作業の手順は正しいか、作業のやりにくい部分はないか、自主検査をして作業に間違いがないか確認しているか、などを細かくチェックします。そうすると、新人教育だけでは解決しない問題がいくつも発見される場合が多いのです。
 
・作業するときの固定治具が不足しているために、一部の作業者は、片手で品物を抑えながら片手で工具
 を使用していた。
・正しい作業手順で作業を行うと、最後の部品を取り付ける作業が非常にやりずらいことが分かった。
 中には、正しい作業手順で行わない作業者もいた。
・一部の作業台のねじが緩んでおり、作業台がぐらぐら揺れていた。
・不良でラインアウトした部品の置き場所がなく、良品として混入してしまう危険性がある。などなど。
 
 以上、当たり前のことを解説しましたが、実はこの当たり前のことができないためにいろいろな問題が発生しています。データのねつ造や改ざんは今や日常茶飯事。役所の検査官、企業の責任ある立場の人は三現主義をどのように考えているでしょうか。
 
 「いちいち現場の細かいところまでは把握できないし、現場に直ぐに行くことも物理的に無理」
 「逐次報告を受けていたので」「書類審査だけではデーターのねつ造は分からないので」
 
 これでは、管理する立場の人の「三現主義の放棄」で、現場を熟知したプロの知見が必要と言うことを意味します。感性、洞察力を磨くことが重要であり、また関連会社などへ管理の丸投げは、責任放棄となります。経験、知識、洞察力のない「素人」集団では「三現主義」は定着しません。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ものづくり工場の日常管理のしくみ(その6)

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...


中国工場の実状を知る 中国工場の品質改善(その41)

 前回のその40に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.9 必要なデータは取れているか、活用出来ているか】  ...

 前回のその40に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.9 必要なデータは取れているか、活用出来ているか】  ...


伸びる金型メーカーの秘訣【連載記事紹介】

    伸びる金型メーカーの秘訣が無料でお読みいただけます!   ◆ ITリテラシーと金型技術の共存 金型製作を行...

    伸びる金型メーカーの秘訣が無料でお読みいただけます!   ◆ ITリテラシーと金型技術の共存 金型製作を行...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
中国製設備購入時のチェックポイントとは 中国企業の壁(その53)

        中国工場・品質管理関連のセミナーを継続して実施していますが、受講者の方からの質問で最近多いと感じるのが、「中国メーカーの設備を購入す...

        中国工場・品質管理関連のセミナーを継続して実施していますが、受講者の方からの質問で最近多いと感じるのが、「中国メーカーの設備を購入す...


金型メーカーマシニング加工工程の業務診断事例(その2)

   前回のその1に続いて解説します。 ◆ マシニング加工工程の診断内容 1、過度なCAM&マシニング依存にならず、適宜ハンドワー...

   前回のその1に続いて解説します。 ◆ マシニング加工工程の診断内容 1、過度なCAM&マシニング依存にならず、適宜ハンドワー...


業者の規模による評価の違いとは 中国企業の壁(その51)

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...

        日本品質を目指している中国企業A社では、前年の製品品質データをまとめたところ、大きな損失を出した3件の顧客クレームの主要因が外部から...