機能性評価の使いどころと効果 超実践 品質工学 (その6)

更新日

投稿日

 

【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】

  1. 未来の品質
  2.  機能性評価
  3.  機能定義
  4.  ばらつき要因、ノイズ因子
  5.  SN比について
  6.  機能性評価の使いどころと効果
 
 
 ここまでの解説のように、機能定義・ノイズ因子設定・SN比定義を実験計画段階でしっかり実施しておくことが、評価の手戻りを防ぐために大切なことです。図7のように、これをP-diagramと呼ばれる図に示して、特性要因図等とともに関係者でレビューするとよいでしょう。
 
    機能性評価         
図7. P-diagramの例
 
 機能性評価の主な使いどころは,設計・開発の初期段階における設計の見える化・改善と、購入部品の選定です.筆者が実務で行ったギャードモータ(変速機付きモータ)の直交歯車の改善事例(図8)では、従来の寿命試験(3000時間)に比べて評価時間を1/10とし、迅速に設計改善へのフィードバックを行うことで、短期間で品質・コストに優れる新製品の開発を可能としました。また、 発光素子(購入部品)選定のために行っていた10000時間以上の試験を、従来の1/10以下の時間で評価が行えるようにした事例もあります。
 
       機能性評価
図8. 直交歯車と評価の考え方
 
 さらに直交表を用いたパラメータ設計(機能の安定性の改善)を実施する場合も、ベースは機能性評価であるため、その実験計画の質が重要です。今回は品質工学(機能性評価)において重要となる機能、ノイズ因子、SN比について概説しました。これをきっかけとして、読者の方々のより多くの成果につなげ...

 

【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】

  1. 未来の品質
  2.  機能性評価
  3.  機能定義
  4.  ばらつき要因、ノイズ因子
  5.  SN比について
  6.  機能性評価の使いどころと効果
 
 
 ここまでの解説のように、機能定義・ノイズ因子設定・SN比定義を実験計画段階でしっかり実施しておくことが、評価の手戻りを防ぐために大切なことです。図7のように、これをP-diagramと呼ばれる図に示して、特性要因図等とともに関係者でレビューするとよいでしょう。
 
    機能性評価         
図7. P-diagramの例
 
 機能性評価の主な使いどころは,設計・開発の初期段階における設計の見える化・改善と、購入部品の選定です.筆者が実務で行ったギャードモータ(変速機付きモータ)の直交歯車の改善事例(図8)では、従来の寿命試験(3000時間)に比べて評価時間を1/10とし、迅速に設計改善へのフィードバックを行うことで、短期間で品質・コストに優れる新製品の開発を可能としました。また、 発光素子(購入部品)選定のために行っていた10000時間以上の試験を、従来の1/10以下の時間で評価が行えるようにした事例もあります。
 
       機能性評価
図8. 直交歯車と評価の考え方
 
 さらに直交表を用いたパラメータ設計(機能の安定性の改善)を実施する場合も、ベースは機能性評価であるため、その実験計画の質が重要です。今回は品質工学(機能性評価)において重要となる機能、ノイズ因子、SN比について概説しました。これをきっかけとして、読者の方々のより多くの成果につなげていただければ幸いです。 

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

鶴田 明三

独自の設計品質評価・改善メソッド“超実践品質工学”で、技術者の 成長を重視して徹底支援。大手電機メーカで23年間培った豊富な指導経験 で、御社製品と仕事の進め方の品質・生産性向上をお手伝いします。

独自の設計品質評価・改善メソッド“超実践品質工学”で、技術者の 成長を重視して徹底支援。大手電機メーカで23年間培った豊富な指導経験 で、御社製品と仕事の...


「機能性評価」の他のキーワード解説記事

もっと見る
信頼性テストは卒業試験 -品質工学の考え方-

   新製品開発の際に行われる信頼性テストは、ちょうど卒業試験のようなものです。日本の大学は「入学は難しいが、卒業は易しい」のでピンと来な...

   新製品開発の際に行われる信頼性テストは、ちょうど卒業試験のようなものです。日本の大学は「入学は難しいが、卒業は易しい」のでピンと来な...


未来の品質 超実践 品質工学  (その1)

 未来の品質の見える化のための方法論として、品質工学の「機能性評価(機能の安定性評価)」があります。今回の連載では、難しいと思われがちな機能性評価の概要と...

 未来の品質の見える化のための方法論として、品質工学の「機能性評価(機能の安定性評価)」があります。今回の連載では、難しいと思われがちな機能性評価の概要と...


ばらつき要因、ノイズ因子 超実践 品質工学  (その4)

  【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】 未来の品質  機能性評価  機能定義  ばらつき要因、...

  【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】 未来の品質  機能性評価  機能定義  ばらつき要因、...


「機能性評価」の活用事例

もっと見る
品質工学で寿命信頼性を確保した事例(自動止水栓)

 風呂の水を設定量で自動的に止める止水栓を開発して、1億回の寿命試験をして 出荷したところ、市場では半年足らず(約200 回)で故障してしまいました。 原...

 風呂の水を設定量で自動的に止める止水栓を開発して、1億回の寿命試験をして 出荷したところ、市場では半年足らず(約200 回)で故障してしまいました。 原...


フォトカプラのコストダウンと市場トラブル防止を同時に達成した事例

2007年の品質工学会研究発表大会で株式会社ナナオの中西貴志さんが発表した「フォトカプラの機能性評価」の概要を掲載します。   1.はじめに  電子...

2007年の品質工学会研究発表大会で株式会社ナナオの中西貴志さんが発表した「フォトカプラの機能性評価」の概要を掲載します。   1.はじめに  電子...


フォトカプラの新規品を合理的に判定した安川電機の事例

2012年の品質工学会研究発表大会で株式会社安川電機の平林和也さんが発表した「フォトカプラの機能性評価」の概要を掲載します。   1.はじめに  電...

2012年の品質工学会研究発表大会で株式会社安川電機の平林和也さんが発表した「フォトカプラの機能性評価」の概要を掲載します。   1.はじめに  電...