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機能性評価」の技法解説記事


「目的機能」と「基本機能」の機能性評価

 品質工学での機能性評価は、消費者の期待する「目的機能」と技術手段の「基本機能」に分けることができます。目的機能は消費者が欲しいものだけでなく、欲しくないものまで含まれた機能ですが、欲しい機能は評価できても欲しくない機能は評価できません。

 たとえば、成型加工の目的機能は、金型寸法と成形寸法の「転写性」で評価するのが一般的ですが、これによれば「ひけ」や「そり」などを含んで評価できます。しかし転写性は静的な寸法変化ですから、成型品の中の巣の有無などは評価できません。フックの法則を基本機能として、荷重と変位の関係でも評価できますが十分妥当とは言えません。

 基本機能は成型材料の流動性ですから、充填性を時間的な変化で評価すべきですが、実物では計測技術に問題があるため、CAEシミュレーションで評価することが適切でしょう。この場合の基本機能は、重合反応の化学反応のような過渡特性による時間的な変化で、短期間に評価することがポイントです。 

 電気回路の場合でも、入出力が電圧と電流の比例関係で評価するのがパワーの評価ですが、インパルス応答や交流波形の周波数特性の過渡特性で評価するのが基本機能です。電気回路では、パワーの評価だけでなく、周波数機能や位相機能の機能性を評価することも大切です。機械系でも熱伝達系でも、過渡特性で信号が時間で立ち上がる瞬間で評価することが大切です。

 田口先生も最初は静的動特性の評価が多かったのですが、後には過渡特性を機能とした動的動特性を主流に考えるように変わっていきました。たとえば自動車のエンジンの目的機能は、燃料消費量と出力トルクで評価していましたが、基本機能はエンジンの爆発現象の化学的変化ですから、目的特性(CO2とH2O)と副作用(NOx)を同時に評価できる「一石全鳥」の評価に変えられたのです。

 基本機能の機能性評価は入出力がエネルギーの変換ですが、モータの評価のような電力とトルクの機能性評価も全体の評価にはならず、「一石全鳥」にならないのです。


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原 和彦(はら かずひこ) / 
品質工学を通して製品開発、設計の真髄を伝えます


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