機能定義 超実践 品質工学 (その3)

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【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】

  1. 未来の品質
  2.  機能性評価
  3.  機能定義
  4.  ばらつき要因、ノイズ因子
  5.  SN比について
  6.  機能性評価の使いどころと効果
 
 

1. 機能定義

 
 機能とは対象に備わっている「働き」や「お客様のニーズ」と考えればよいのでしょう。そして、それを引き出すための入力が何かを考えてみます。例えば電球の場合、お客様のニーズは明るさです。この明るさを自由に変えたい場合、お客様は入力の供給電力を変化させます。このような入力と出力の関係をまず決定するのです。
 
 次にその関係が、どうなっていれば理想的かという理想状態を考えます。理想状態はバーチャルなもので、実製品で実現させる目標とは異なります。電球の場合、図2のように、入力(電力)と出力(光量)の関係は、ロスがなく効率100%というのが理想です。すなわち入力と出力は(単位が同じなら)傾き1の比例直線になります。これが電球などの照明器具の機能の理想状態です。このような入出力の関係と、その理想状態を定義することを「機能定義」といいます。
 
                                   品質工学図2.照明(電球)の機能と理想状態
 

2. 機能定義のコツ

 
 機能はお客様が欲しいと思っている状態を示すので、機能を理想状態に近づけて、ばらつきや変動も小さくするような設計にすることが、お客様のニーズを満たすことにつながるのです。具体的に業務で機能を表現する場合には、以下の文章に当てはめて考えるとよいでしょう。
 
 [①対象]の機能は、お客様が意図した[②入力]に応じて、お客様が欲しい[③出力]を得る。
 
 ①は対象の名称です。今回の例では電球です。そしてまず、③出力を先に考えるほうがよいでしょう。対象の製品において、お客様はどんな出力が欲しいかを考えます。副作用や欲しくないもの(電磁波や発熱など)を出力にしないようにすることが大切です。
 
 次に、②入力を考えます。お客様が欲しいと思っている出力を得るためには、お客様は何か行動を起こす必要があります。車のステアリングを回さなければ車は曲がって行かないですし、電化製品は電力を供給しなければ欲しい出力は得られません。そのような、お客様の欲しい出力を変えられるような、お客様の使用条件である入力を考えるのです。これを信号(Signal)ともいいます。これをまとめると図3のようになります。
 
                                         品質工学
図3.機能定義
 
 機能定義についてのさらに有用なコツとして、二つの機能のパターン(エネルギー変換機能と制御的機能)について筆者著書「これでわかった! 超実践 品質工学」(日本規格協会、2016年)の81~106ページで解説しました。また実際の製品の設計・開発にあたっては、製品の一部分(サブシステム)を選択して実施することも多いと思います。そのような方法(システム分解、スコーピング)についても同書、111~117ページで説明しましたので、さらにご興味のある方はそちらをご覧ください。
 
 

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

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【超実践 品質工学、連載記事へのリンク】

  1. 未来の品質
  2.  機能性評価
  3.  機能定義
  4.  ばらつき要因、ノイズ因子
  5.  SN比について
  6.  機能性評価の使いどころと効果
 
 

1. 機能定義

 
 機能とは対象に備わっている「働き」や「お客様のニーズ」と考えればよいのでしょう。そして、それを引き出すための入力が何かを考えてみます。例えば電球の場合、お客様のニーズは明るさです。この明るさを自由に変えたい場合、お客様は入力の供給電力を変化させます。このような入力と出力の関係をまず決定するのです。
 
 次にその関係が、どうなっていれば理想的かという理想状態を考えます。理想状態はバーチャルなもので、実製品で実現させる目標とは異なります。電球の場合、図2のように、入力(電力)と出力(光量)の関係は、ロスがなく効率100%というのが理想です。すなわち入力と出力は(単位が同じなら)傾き1の比例直線になります。これが電球などの照明器具の機能の理想状態です。このような入出力の関係と、その理想状態を定義することを「機能定義」といいます。
 
                                   品質工学図2.照明(電球)の機能と理想状態
 

2. 機能定義のコツ

 
 機能はお客様が欲しいと思っている状態を示すので、機能を理想状態に近づけて、ばらつきや変動も小さくするような設計にすることが、お客様のニーズを満たすことにつながるのです。具体的に業務で機能を表現する場合には、以下の文章に当てはめて考えるとよいでしょう。
 
 [①対象]の機能は、お客様が意図した[②入力]に応じて、お客様が欲しい[③出力]を得る。
 
 ①は対象の名称です。今回の例では電球です。そしてまず、③出力を先に考えるほうがよいでしょう。対象の製品において、お客様はどんな出力が欲しいかを考えます。副作用や欲しくないもの(電磁波や発熱など)を出力にしないようにすることが大切です。
 
 次に、②入力を考えます。お客様が欲しいと思っている出力を得るためには、お客様は何か行動を起こす必要があります。車のステアリングを回さなければ車は曲がって行かないですし、電化製品は電力を供給しなければ欲しい出力は得られません。そのような、お客様の欲しい出力を変えられるような、お客様の使用条件である入力を考えるのです。これを信号(Signal)ともいいます。これをまとめると図3のようになります。
 
                                         品質工学
図3.機能定義
 
 機能定義についてのさらに有用なコツとして、二つの機能のパターン(エネルギー変換機能と制御的機能)について筆者著書「これでわかった! 超実践 品質工学」(日本規格協会、2016年)の81~106ページで解説しました。また実際の製品の設計・開発にあたっては、製品の一部分(サブシステム)を選択して実施することも多いと思います。そのような方法(システム分解、スコーピング)についても同書、111~117ページで説明しましたので、さらにご興味のある方はそちらをご覧ください。
 
 

◆関連解説『品質工学(タグチメソッド)とは』

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この記事の著者

鶴田 明三

独自の設計品質評価・改善メソッド“超実践品質工学”で、技術者の 成長を重視して徹底支援。大手電機メーカで23年間培った豊富な指導経験 で、御社製品と仕事の進め方の品質・生産性向上をお手伝いします。

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