ものづくり工場の日常管理のしくみ(その5)

更新日

投稿日

◆信賞必罰制度を導入するには(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

 
 信賞必罰信賞必罰とは、手柄のあった者には必ず賞を与え、あやまちを犯した者は必ず罰すること。情実にとらわれず賞罰を厳正に行うことをいいます。人を動かすためには信賞必罰が必要です。信賞必罰とは、成果を出した人間を手厚く処遇し、そうでない人間に対しては少なく処遇する(罪を犯した者は罰する)ことです。信賞必罰は、紀元前11世紀頃に太公望によって説かれています。3000年以上前ですからすごいことです。
 

1.信賞必罰の歴史背景

 
 この考え方は、中国において、人を使うときに最も有効であることが立証されます。特に、韓非子、李斯らの法家に多大なる影響を与え、三国時代の曹操、諸葛亮、唐の李世民にも影響を与えています。戦国時代末期に、秦国が六国に対して圧倒的に優位に立っていたのは、信賞必罰主義が確立した強力な軍隊を有していたことが大きな要因と言われています。

 この『信賞必罰』は、中国における人を治める最もベースとなる考えになっていると思われます。ちなみに、日本でも、織田信長は、信賞必罰を徹底させていました。その結果、羽柴秀吉や明智光秀が登場することになっていきます。
 

2.信賞必罰の必要性

 
 この『信賞必罰』は、もともと中国大陸の考え方ですので、日本国内ではあまり徹底させていません。どちらかというと責任をあいまいにし、成果を出しても、出さなくてもそれほど給料や待遇に差をつけることはありません。しかし、中国で『信賞必罰』ができていない企業は、かなりめちゃくちゃになっています。中国人や中国企業を相手にするには、中国の歴史から学ぶべきだと思います。
 
 一般の会社は、「信賞必罰」と口ではいいつつも、何を賞するか、何を罰するかは明文化していません。極端に言うとすべて社長の胸先三寸です。そして、賞のない会社は暗いです。仕事に対するモチベーションがなくなるからです。罰のない会社はもっと暗いです。不公平感がはびこるからです。
 

3.信賞必罰の仕組みを作る

 
 信賞必罰でメリハリをつけるために、信賞必罰制度を運用する仕組みを考えてみます。
 
 Plan:
  ① 表彰する項目、罰則にする項目のリストアップ
  ② 表彰制度や罰則制度など運用の仕組みの決定

 Do:
  ① 週に一度、月に一度、年に一度など表彰する周期を決める
  ② 評価基準を決め、上記の計画に従って表彰する(全社朝礼等で)
  ③ 罰...

◆信賞必罰制度を導入するには(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

 
 信賞必罰信賞必罰とは、手柄のあった者には必ず賞を与え、あやまちを犯した者は必ず罰すること。情実にとらわれず賞罰を厳正に行うことをいいます。人を動かすためには信賞必罰が必要です。信賞必罰とは、成果を出した人間を手厚く処遇し、そうでない人間に対しては少なく処遇する(罪を犯した者は罰する)ことです。信賞必罰は、紀元前11世紀頃に太公望によって説かれています。3000年以上前ですからすごいことです。
 

1.信賞必罰の歴史背景

 
 この考え方は、中国において、人を使うときに最も有効であることが立証されます。特に、韓非子、李斯らの法家に多大なる影響を与え、三国時代の曹操、諸葛亮、唐の李世民にも影響を与えています。戦国時代末期に、秦国が六国に対して圧倒的に優位に立っていたのは、信賞必罰主義が確立した強力な軍隊を有していたことが大きな要因と言われています。

 この『信賞必罰』は、中国における人を治める最もベースとなる考えになっていると思われます。ちなみに、日本でも、織田信長は、信賞必罰を徹底させていました。その結果、羽柴秀吉や明智光秀が登場することになっていきます。
 

2.信賞必罰の必要性

 
 この『信賞必罰』は、もともと中国大陸の考え方ですので、日本国内ではあまり徹底させていません。どちらかというと責任をあいまいにし、成果を出しても、出さなくてもそれほど給料や待遇に差をつけることはありません。しかし、中国で『信賞必罰』ができていない企業は、かなりめちゃくちゃになっています。中国人や中国企業を相手にするには、中国の歴史から学ぶべきだと思います。
 
 一般の会社は、「信賞必罰」と口ではいいつつも、何を賞するか、何を罰するかは明文化していません。極端に言うとすべて社長の胸先三寸です。そして、賞のない会社は暗いです。仕事に対するモチベーションがなくなるからです。罰のない会社はもっと暗いです。不公平感がはびこるからです。
 

3.信賞必罰の仕組みを作る

 
 信賞必罰でメリハリをつけるために、信賞必罰制度を運用する仕組みを考えてみます。
 
 Plan:
  ① 表彰する項目、罰則にする項目のリストアップ
  ② 表彰制度や罰則制度など運用の仕組みの決定

 Do:
  ① 週に一度、月に一度、年に一度など表彰する周期を決める
  ② 評価基準を決め、上記の計画に従って表彰する(全社朝礼等で)
  ③ 罰則制度については、やはり評価基準により罰則(罰金)を課す
  ④ 表彰や罰則の記録を残す

 Check:
  ① 表彰や、罰則制度の運用結果の記録を見て、問題点がないか問題点があれば、何が問題だったの
    か、原因追及と対策案の立案を行う。

 Action:
  ① 問題点や課題に対する対策を講ずる
  ② 仕組みに反映させる
 
 以上のステップを規定化し、半年、または1年の周期で規定の見直しを実施します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
棚卸精度のカイゼンとは

1. 資材倉庫の管理  ものづくり企業の在庫は、原材料、中間仕掛品、完成品3つに大別されます。今回は、資材倉庫で管理される原材料の棚卸について解説し...

1. 資材倉庫の管理  ものづくり企業の在庫は、原材料、中間仕掛品、完成品3つに大別されます。今回は、資材倉庫で管理される原材料の棚卸について解説し...


特注品・受注生産に適した生産方式とは

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...

        今回は、次のような、家具工場を想定して、特注品・受注生産に適した生産方式について解説します。   1. 想定する特注品・受注生産...


現場から人を抜く:現場改善のヒント(その3)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
マシニング加工:リーマの下穴加工について

        普段当たり前に加工されているリーマの下穴加工ですが、いろんな会社さんを回っておりますと、実は...

        普段当たり前に加工されているリーマの下穴加工ですが、いろんな会社さんを回っておりますと、実は...


生産性向上は生産平準化でめざせ

 前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...

 前回の『業務効率化による生産性革命の危険性』で解説した生産性を高めるにはどうすれば良いかですが、前回も書きましたようにこの「生産性」は、いかにたくさんの...


新事業開拓 伸びる金型メーカーの秘訣 (その18)

 今回、紹介する機械加工メーカーは、Y工業です。同社は、プリント基板への微細穴あけ加工の事業において40年の歴史があり、その専門技術の高さにより、これまで...

 今回、紹介する機械加工メーカーは、Y工業です。同社は、プリント基板への微細穴あけ加工の事業において40年の歴史があり、その専門技術の高さにより、これまで...