ヒューマンエラー対策を考える(その3)

更新日

投稿日

 

【ヒューマンエラー対策の考察 連載目次】

 

 

1.ヒューマンエラー(ポカミス)オフィス業務の課題

 
 オフィス業務・間接業務でのヒューマンエラーはモノや機械の取り扱いミスの代わりに「情報の受け取り、加工、保管、配付」に関わる場合がほとんどです。人的ミスを減らして、作業効率をアップしていくためにも、業務の様々な問題にメスを入れることが必要です。(図1.参照)
 
                   ヒューマンエラー
図1.間接業務の対策フロー
 
 オフィス業務は、作業が個人に依存したやり方、標準化がされていないため本人しか分からないという業務も多くあります。直接の上司も、担当者がどうやって毎日の仕事を処理しているのか?本人に聞かないと分からないのです。
 

事例1.請求書

 
問題点:会計課のGさんは、取引先から請求書を受け取ったが、後で処理しようと思っている間についつ
    い忘れてしまい、指定された支払日にまで支払処理ができなかった。本人のうっかりミスであり
    ながら、会社の管理レベルが低いと見なされ、信用を傷つけた。
 
対応策:請求書を受け取ったことをトリガーに処理するのではなく、取引が発生した時点で記録してお
    き、たとえ請求書が届かなくても、支払する必要があることを把握できるシステムを導入する。
 

事例2.ダブルチェック

 
問題点:パートで働くWさんは、封筒へ書類を入れる作業中、内容と封筒の宛名の整合確認を怠り内容を
    取り違えて封入してしまった。
 
対応策:封をする前に再度確認する、2人でダブルチェックする、窓あき封筒を採用する、など
 

事例3.公的申請

 
問題点:公的機関に提出するために、ロットごとにサンプルを抜き取って、成分分析データを取得、提出
    書類を作成する担当のKさんは、提出期限に間に合わせるため前回取得データをアレンジして提
    出書類を作成しました。公的機関はほとんどデータの内容はチェックしないため、Kさんは時々
    このようなやり方で、書類を作成しています。ところがある時、市場にて製品のロット不良が発
    生したため、公的機関立会で分析を行ったところ申請データと異なっていることが判明し大きな
    問題となりました。
 
対応策:問題のある書類が作成され、社外へ出てしまうのは、管理が不在であると言えます。管理者は、
    データの妥当性をすべてチェックすることはできませんが...

 

【ヒューマンエラー対策の考察 連載目次】

 

 

1.ヒューマンエラー(ポカミス)オフィス業務の課題

 
 オフィス業務・間接業務でのヒューマンエラーはモノや機械の取り扱いミスの代わりに「情報の受け取り、加工、保管、配付」に関わる場合がほとんどです。人的ミスを減らして、作業効率をアップしていくためにも、業務の様々な問題にメスを入れることが必要です。(図1.参照)
 
                   ヒューマンエラー
図1.間接業務の対策フロー
 
 オフィス業務は、作業が個人に依存したやり方、標準化がされていないため本人しか分からないという業務も多くあります。直接の上司も、担当者がどうやって毎日の仕事を処理しているのか?本人に聞かないと分からないのです。
 

事例1.請求書

 
問題点:会計課のGさんは、取引先から請求書を受け取ったが、後で処理しようと思っている間についつ
    い忘れてしまい、指定された支払日にまで支払処理ができなかった。本人のうっかりミスであり
    ながら、会社の管理レベルが低いと見なされ、信用を傷つけた。
 
対応策:請求書を受け取ったことをトリガーに処理するのではなく、取引が発生した時点で記録してお
    き、たとえ請求書が届かなくても、支払する必要があることを把握できるシステムを導入する。
 

事例2.ダブルチェック

 
問題点:パートで働くWさんは、封筒へ書類を入れる作業中、内容と封筒の宛名の整合確認を怠り内容を
    取り違えて封入してしまった。
 
対応策:封をする前に再度確認する、2人でダブルチェックする、窓あき封筒を採用する、など
 

事例3.公的申請

 
問題点:公的機関に提出するために、ロットごとにサンプルを抜き取って、成分分析データを取得、提出
    書類を作成する担当のKさんは、提出期限に間に合わせるため前回取得データをアレンジして提
    出書類を作成しました。公的機関はほとんどデータの内容はチェックしないため、Kさんは時々
    このようなやり方で、書類を作成しています。ところがある時、市場にて製品のロット不良が発
    生したため、公的機関立会で分析を行ったところ申請データと異なっていることが判明し大きな
    問題となりました。
 
対応策:問題のある書類が作成され、社外へ出てしまうのは、管理が不在であると言えます。管理者は、
    データの妥当性をすべてチェックすることはできませんが、書類作成担当者が、毎日の業務をど
    のような手順で行っているのか把握しておく必要があります。方法はいろいろありますが、時々
    データの妥当性に関するヒヤリングを行うあるいは、成分分析を行っている現場を巡回するなど
    です。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

濱田 金男

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に...


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
見える化のリスキリング【厳選記事紹介】

   見える化が重要と言っても、肝心なことは目で見えないもので、全てが数値化できるものでもありません。   改善を...

   見える化が重要と言っても、肝心なことは目で見えないもので、全てが数値化できるものでもありません。   改善を...


ものづくり工場の日常管理のしくみ(その6)

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...

◆見える管理を進めたいが、どうすればいいか    「見える化」を進めるには、まず目的を明確にします。目的に応じて「見える化」の内容、進め方は...


教育投資のリターンとは 人材育成・組織・マネジメント(その6)

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
汎用3次元CAMの活用 伸びる金型メーカーの秘訣 (その17)

 今回、紹介する機械加工メーカーは、株式会社W精密です。同社は創業して11年目の比較的若い企業であり、主な事業内容は、産業機械・専用機などで用いられる金属...

 今回、紹介する機械加工メーカーは、株式会社W精密です。同社は創業して11年目の比較的若い企業であり、主な事業内容は、産業機械・専用機などで用いられる金属...


現場の改善活動、マネジメントの課題。

       今回は、次のような現場を例に、現場の改善活動について解説します。    工場は約80名の規...

       今回は、次のような現場を例に、現場の改善活動について解説します。    工場は約80名の規...


中国工場、出来高制給与の問題点とは

   以前開催したセミナーで講師の先生から自身が関わった2つの中国工場を比較した結果、中国では従業員の給料は、日給月給制よりも出来高制の方...

   以前開催したセミナーで講師の先生から自身が関わった2つの中国工場を比較した結果、中国では従業員の給料は、日給月給制よりも出来高制の方...