プロジェクト管理:プロジェクトを可視化する重要性(その9)

 
 前回までは、メトリクスを利用したプロジェクトの進ちょく管理の仕組みを構築する方法を解説しました。今回は、ここから少し範囲を広げたメトリクスの仕組みとして、1.マトリクス組織における開発進ちょく管理、2.個人の行動(振る舞い)へのフィードバックの、二つを解説します。
 

11.マトリクス組織での仕組み

(2)進ちょく管理、(1)はその8に記載。

 プロジェクト単位の進ちょく管理に加えて、技術要素単位の進ちょく管理を実施します。具体的には、技術要素グループごとのリソースについて管理することになります。ある開発組織における予実差グラフを示したのが図2です。グループごとに毎週のメンバー全員の工数(a)と毎月の開発費執行状況(b)を予実差として表現しました。工数予実差では、ほとんどのグループで実績が予定を上回っていることからオーバーワークな状態であることが分かります。ただし、グループC だけが定常的に予定工数を投入できておらず、異常な状態です。原因を特定した上で、今後の対策を計画することが必要です。開発費予実差では、全体的に予定通りに開発費を使えていない傾向が分かります。このような場合、上位方針などさまざまな理由から予算執行を止められ、今後開発遅れとなって問題が顕在化するケースが多いようです。
 
 
プロジェクト
                 図2.技術要素単位の進ちょく管理
 
 このように技術要素グループごとに抱えている技術者の工数や開発予算の投入について予実差を見るのは重要です。予実差は予定と実績の比(除算)ではなく差(減算)にしています。これは、リソース管理では工数にしてもコストにしても絶対値が重要だからです。組織全体で見たときにどのグループに問題があるのかが明白になります。
 
  
プロジェクトマネジメント
              図3.グループに着目した開発コストの予実差
 
 図3には、あるグループにおけるプロジェクト別の工数と開発費の予実差を表示しました。技術者の1人月当たりの費用を100万円とすることで、工数と開発費の合計を同じスケールで見ています。GM/GL が適切に対応できていれば、グラフ上のすべてのプロジェクトについてその予実差が減少します。
 

(3)予定の更新

 マトリクス組織での進ちょく管理では、プロジェクト軸でも技術要素軸でも予定を常に更新することが重要となります。開発の最中は、日々のトラブル対応に時間も意識も取られがちで、日々のトラブルを解決できていたとしても、これはリアクティブ(受け身)な管理であり、管理レベルは低いです。常に現状をベースに最新の見通しを立て、それを関係者と共有し、事前調整するスタイルに変えることが大切です。これがプロアクティブ(前向き)な進ちょく管理であり、トラブルによる手戻りや調整作業を減らし開発効率向上につながるマネジメントです。事前調整するための具体的なアクションの一つが、可視化された予定を常に更新することです。あるプロジェクトについて予定工数が四半期ごとに更新されている例を図4に示します。
 
  
プロジェクトマネジメント
                      図4.予定の変化
 
 工数以外についても同様です。また、技術要素軸でも同様に予定を更新します。予定を常に更新することで、今後の見通しのギャップが客観的・定量的に把握でき、議論できるようになります。今後の見通しについて議論できれば、プロアクティブなプロジェクト管理実現の第一歩です。
 
 次回、その10:最終回は、11項(4)進ちょく管理スキルの評価から解説をはじめます。
 

この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

社会や生活を変える「ものづくり」と、そんな製品やサービスを開発する「ひとづくり」を行う組織づくりのために、日科技連石川賞を受賞した仕組み改革の実績や、オリンピック金メダルを生んだコーチング技術を活用した意識改革の実績など、持っているリソー…

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