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QUESTION 質問No.153

震災復興のプロジェクト運営(地震被災仮想質問)

全体/その他 プロジェクトマネジメント | 投稿日時:
事業所が被災したことによって、工場の修理、破損した設備の搬出、新規設備の検討、購入、設置など多くのプロジェクトを短期間に効率よく並行して進めていく必要があります。このような場合のプロジェクトマネジメントに関する注意点があれば教えてください。

〔これは事務局が考えた仮想の質問です〕


ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

複数(異分野)連携プロジェクトでは、単独プロジェクト以上に計画の良し悪しが重要になります。複雑さが増すぶん、機器設置に行ったが建屋のスペースが不適で設置できないなど、不測のトラブルが懸念されます。ですから、急がば回れで良い計画を作る必要がありますが、複数(異分野)連携では以下のような要因で計画立案の難度が高いと言えます。

A) 各プロジェクトの遂行にはそれぞれの分野の専門知識が必要である(土木工事、建屋修理、電気工事、水道工事、機器設置etc.)
B) 異分野プロジェクトを束ねるPMO(Project Management Office)が良い計画を作る必要があるが、全ての分野の知識を持つスーパーPM(Project Manager)はいない。
C) そのため、計画時に異分野連携タスクの依存関係を見落としやすく、不測のトラブルや手戻り作業が懸念される。

 以下に、スーパーPMがいなくても衆知を集めて良い計画を作る手順を示しますので参考にしてください。PMBOKなどの教科書ではあまりコメントされませんが、3.が重要です。

1. 各プロジェクトのWBS(Work Breakdown Structure)を各専門家が作成し、作業をタスクに分解する。
2. 各タスクの成果物名(物、情報、XXの完成 など)=Outputを各専門家が定義する。
3. 全タスクのタスク実施の前提成果物名=Inputを2.から選択して明確にする。ここで、分野内外のタスクを繋ぐ成果物の言葉合わせと、内容の確認・合意をします。これがアイマイだと、後々のトラブルの種となります。部署による言葉の違いで無用なトラブルを招く事もあります。私の在籍していた外資系IT企業では、対策として社内用語辞典が発行されていました。
4. 3.に基づいてタスク間の依存関係を把握し、ガントチャートを作成する。これによりC)のリスクを下げられる。1.からいきなりガントチャートを描いてはいけません。
5. 大規模・複雑なプロジェクトでは、3.に基づくタスク依存関係が上流から下流に流れず、渦を巻くように見合いや3すくみ、4すくみのループ構造があちこちに出現する事があります。ここが、並行作業(すり合わせ)を余儀なくされる所かつ先々のトラブル危険地帯なので、計画および実施段階でループ関係者の十分な協議が必要です。事前に危険地帯=重要管理ポイントを予測できるのが、3.4.の効用です。

プロジェクト状況が5.の場合、タスク数がある程度(数十)までならガントチャートやフローチャートでもループ構造を把握できますが、タスクが多数の場合やプロジェクト変更に伴い依存関係が変化する場合は、チャート矢印線が錯綜してループ構造の把握が困難になります。

このように複雑さが増した場合には、DSM (Design Structure Matrix)が有用です。タスクの流れ・依存関係をマトリクスで表現・演算する手法で、ループ構造の抽出やプロセス全体の最適化検討が可能です。複雑プロセス用のCAE(DSM)と言えます。複雑形状の強度計算が手計算では難しく、CAE(FEM)が有用なのと同様です。

DSMは1990年代から(米)MITを中心に推進されていますが、日本では機械工学便覧で2007年に紹介された比較的新しい手法です。複雑化するプロセス・システムの可視化とマネジメントに、多方面で応用されています。詳しくは、私の解説記事を参照ください。

プロセス設計塾 西本明弘   2016年5月2日