競争に勝ち抜く秘訣 物流サイドからの情報発信 (その1)

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1. 競争に勝ち抜く秘訣

 SCM物流業界は比較的おとなしい業界のようで、あまり自己主張を行わない傾向にある気がします。しかし突然「この価格では対応できない」とか「トラックが走れなくなる」といった愚痴めいたことをこぼすことがあります。いくら愚痴をこぼしたところで状況が変わることはありません。他社との競争にさらされ競争力のない会社は苦しくなるのは自然なことです。
 
 そのようなことにならないためにも、従来から筆者は物流業界のために発信しているのです。今まで発信させていただいた内容を着実にこなしてこられた会社では競争力がつき、他社ほどの苦しさはないものと思われます。先ほど「愚痴めいたこと」と書きました。これは状況を不満に思い、かといって荷主と交渉するわけでもなく、自己の中で不平不満を言っているにすぎません。
 
 しかしながら、この「不平不満」の悪い所は自分たちがあたかも被害者であるような論調になることです。自社の経営が厳しくなる一番の要因は、自社にあることだけは間違いありません。一定の条件のもとにビジネスを展開しているのであって、無理やりやらされているのではないと思います。その条件は自社で作ったか、相手の言ってきた条件を飲んだかのどちらかのはずです。
 
 つまり、今の状況の要因は自社で作り出していることになります。仮に経済状況が変わって経営が厳しくなったとしても、それまでに常に改善を行ってきたかどうかで状況は分かれます。改善をとことんやってきたのであれば、他社よりも状況は良いはずですから、一気に経営が傾くことはないと思われます。問題なのは改善もやらずに経営が厳しくなったということで、それを顧客の価格のプレッシャーや燃料費の高騰のせいにする姿勢です。
 

2. 荷主への申し入れ

 ビジネスはすべて契約ごとで成り立っています。お互い合意した内容を契約書に記載します。ここに書かれていることがすべてということになります。この契約ごとをおろそかにしていると、もめごとが発生した段階で苦労することになります。その意味でも契約は慎重に結ぶ必要があります。あいまいな契約となっていると買い側の立場が強くなるのが世の常です。特に供給側である物流サイドは、念には念を入れて契約内容をチェックしておくべきです。もしかしたらこの契約が不備なために業務上苦しくなっているのではないでしょうか。
 
 ある物流会社の話ですが、荷主と輸送契約を結びました。その時に予測していた物量が出れば問題はなかったのですが、その物量が激減してしまったのです。その結果トラックの積載率も下がり、収益的に非常に苦しくなってしまいました。しかし契約書には物量の条件は記載されていません。したがって契約書の上では何ら問題はないことになるのです。
 
 しかし、契約当初にお互い前提とした物量はあるはずです。それから大きく変動した場合には価格を見直すことがフェアではないでしょうか。この時にもし物流会社側が黙って何も...

1. 競争に勝ち抜く秘訣

 SCM物流業界は比較的おとなしい業界のようで、あまり自己主張を行わない傾向にある気がします。しかし突然「この価格では対応できない」とか「トラックが走れなくなる」といった愚痴めいたことをこぼすことがあります。いくら愚痴をこぼしたところで状況が変わることはありません。他社との競争にさらされ競争力のない会社は苦しくなるのは自然なことです。
 
 そのようなことにならないためにも、従来から筆者は物流業界のために発信しているのです。今まで発信させていただいた内容を着実にこなしてこられた会社では競争力がつき、他社ほどの苦しさはないものと思われます。先ほど「愚痴めいたこと」と書きました。これは状況を不満に思い、かといって荷主と交渉するわけでもなく、自己の中で不平不満を言っているにすぎません。
 
 しかしながら、この「不平不満」の悪い所は自分たちがあたかも被害者であるような論調になることです。自社の経営が厳しくなる一番の要因は、自社にあることだけは間違いありません。一定の条件のもとにビジネスを展開しているのであって、無理やりやらされているのではないと思います。その条件は自社で作ったか、相手の言ってきた条件を飲んだかのどちらかのはずです。
 
 つまり、今の状況の要因は自社で作り出していることになります。仮に経済状況が変わって経営が厳しくなったとしても、それまでに常に改善を行ってきたかどうかで状況は分かれます。改善をとことんやってきたのであれば、他社よりも状況は良いはずですから、一気に経営が傾くことはないと思われます。問題なのは改善もやらずに経営が厳しくなったということで、それを顧客の価格のプレッシャーや燃料費の高騰のせいにする姿勢です。
 

2. 荷主への申し入れ

 ビジネスはすべて契約ごとで成り立っています。お互い合意した内容を契約書に記載します。ここに書かれていることがすべてということになります。この契約ごとをおろそかにしていると、もめごとが発生した段階で苦労することになります。その意味でも契約は慎重に結ぶ必要があります。あいまいな契約となっていると買い側の立場が強くなるのが世の常です。特に供給側である物流サイドは、念には念を入れて契約内容をチェックしておくべきです。もしかしたらこの契約が不備なために業務上苦しくなっているのではないでしょうか。
 
 ある物流会社の話ですが、荷主と輸送契約を結びました。その時に予測していた物量が出れば問題はなかったのですが、その物量が激減してしまったのです。その結果トラックの積載率も下がり、収益的に非常に苦しくなってしまいました。しかし契約書には物量の条件は記載されていません。したがって契約書の上では何ら問題はないことになるのです。
 
 しかし、契約当初にお互い前提とした物量はあるはずです。それから大きく変動した場合には価格を見直すことがフェアではないでしょうか。この時にもし物流会社側が黙って何も発信しなければ状況は何も変わりません。しかし、データをきちんと取ったうえで荷主に対して価格見直しの発信を行えば状況に変化が出てくる可能性があります。
 
 ここで言いたいことは「愚痴を言うのではなく、正直に荷主にものを言え」ということなのです。荷主には何も言えないと思っていたり、言う勇気がない、ということであれば状況はまったく変化しないと考えるべきでしょう。荷主は物流会社から何か申し入れがあれば聞く耳は持っています。最初から言っても無駄だと考えるべきではありません。荷主サイドも物流会社さんからいろいろな申し入れがあれば、それに対して一つひとつ改善してくものです。
 
次回は、トラック滞留を改善するから、解説します。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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