仕組み見直しとグローバル化(その3)

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 前回のその2に続いて解説します。設計のカギを握っているリーダーの振る舞いは、開発のパフォーマンスやメンバー育成に大きな影響を及ぼします。したがって、リーダーに対して、自らの振る舞いにより多くの「気づき」の機会を提供することができれば、製品開発のパフォーマンスを大きく改善するでしょう。開発組織の視点に立つと、リーダーの振る舞いが均質であることは製品開発を見通しやすいことになりますし、仕組みや開発プロセスの改善を実施しやすいことにもなります。つまり、開発マネジメントのレベルアップにつながります。
 
 実際、リーダーの振るまいがバラバラな設計部門に対して、見積もりの仕組みを導入したり、開発プロセス改善活動を実施したりしても、開発現場のリーダーのばらつきが大きいわけですから、一律の仕組みでは期待した効果を上げることは難しいでしょう。程度の議論はありますが、リーダー個々に対して振る舞いのばらつきを小さくすることを考える必要はあるでしょう。また、そのためにはリーダーのばらつきの現状を知る必要もあります。
 
 図18は、ある事業部の設計部門に所属するリーダー(主任クラス)に対して、同様の分析を行った結果です。リーダーは5~6人程度のメンバーを任されているのですが、やはり彼らの振る舞いは大きくばらついています。この組織では、開発する製品数を増やしたいために、以前から対策のひとつとして、プロジェクト管理ができるリーダーを増やす取り組みを行っています。プロジェクト管理のトレーニングを行ったり、プロジェクトにおける役割明確化などを行っており、図18に示す主任クラスは、まさにプロジェクト管理スキルを高めようとしている階層です。しかし現実は、プロジェクト管理に時間を使っている割合は人によって大きく異なりますし、製作や評価などの開発実務に多くの時間を使い、プロジェクト管理どころではないような人も少なくありません。
 
      R&D
            図18.設計部門のリーダー、1年間の開発工程別工数比率

 開発現場のリーダーにこれだけのばらつきがあると、プロジェクト管理の集合教育を行ったり、リーダーの役割定義を行ったり、各種ツールを導入したりしても、現実の業務から考えると、まだその段階ではないリーダーもいれば、すでに活用できる状態のリーダーもいるということになります。したがって、トレーニングや仕組み作りなどの集合的、標準的な対策と並行して、プロジェクト管理業務ができてない、あるいは、製作や評価などの実作業に追われているリーダーに対しては、個別にその原因を明らかにして、必要な対策を行うこと...
 前回のその2に続いて解説します。設計のカギを握っているリーダーの振る舞いは、開発のパフォーマンスやメンバー育成に大きな影響を及ぼします。したがって、リーダーに対して、自らの振る舞いにより多くの「気づき」の機会を提供することができれば、製品開発のパフォーマンスを大きく改善するでしょう。開発組織の視点に立つと、リーダーの振る舞いが均質であることは製品開発を見通しやすいことになりますし、仕組みや開発プロセスの改善を実施しやすいことにもなります。つまり、開発マネジメントのレベルアップにつながります。
 
 実際、リーダーの振るまいがバラバラな設計部門に対して、見積もりの仕組みを導入したり、開発プロセス改善活動を実施したりしても、開発現場のリーダーのばらつきが大きいわけですから、一律の仕組みでは期待した効果を上げることは難しいでしょう。程度の議論はありますが、リーダー個々に対して振る舞いのばらつきを小さくすることを考える必要はあるでしょう。また、そのためにはリーダーのばらつきの現状を知る必要もあります。
 
 図18は、ある事業部の設計部門に所属するリーダー(主任クラス)に対して、同様の分析を行った結果です。リーダーは5~6人程度のメンバーを任されているのですが、やはり彼らの振る舞いは大きくばらついています。この組織では、開発する製品数を増やしたいために、以前から対策のひとつとして、プロジェクト管理ができるリーダーを増やす取り組みを行っています。プロジェクト管理のトレーニングを行ったり、プロジェクトにおける役割明確化などを行っており、図18に示す主任クラスは、まさにプロジェクト管理スキルを高めようとしている階層です。しかし現実は、プロジェクト管理に時間を使っている割合は人によって大きく異なりますし、製作や評価などの開発実務に多くの時間を使い、プロジェクト管理どころではないような人も少なくありません。
 
      R&D
            図18.設計部門のリーダー、1年間の開発工程別工数比率

 開発現場のリーダーにこれだけのばらつきがあると、プロジェクト管理の集合教育を行ったり、リーダーの役割定義を行ったり、各種ツールを導入したりしても、現実の業務から考えると、まだその段階ではないリーダーもいれば、すでに活用できる状態のリーダーもいるということになります。したがって、トレーニングや仕組み作りなどの集合的、標準的な対策と並行して、プロジェクト管理業務ができてない、あるいは、製作や評価などの実作業に追われているリーダーに対しては、個別にその原因を明らかにして、必要な対策を行うことが大切だと考えられます。

 今回は「気づき」の機会を増やす仕組みのひとつとして、個人に自らの振る舞いをフィードバックする方法を紹介しました。「気づき」の仕組み構築とは、実際の製品開発をベースに、このような手法を積み重ねることになると考えています。
 
 さて、数回にわたり「擦り合わせ型」開発と「組み合わせ型」開発という視点から、開発の仕組みについて解説してきましたが、次回からは別の視点から設計・製造の仕組みについて考察したいと思います。
 

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この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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