第1種の誤りと第2種の誤り

 
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「あわて者の誤り」と「ぼんやり者の誤り」をご存知ですか、あわて者の誤りは正式には『第一種の誤り』(Type Ⅰ error)と呼称し、ぼんやり者の誤りは『第二種の誤り』(Type Ⅱ error)と呼称します。第一種の過誤とも言いますが意味は同じです。
 
 これらは基礎統計を学ぶと序盤で必ず出てくるポピュラーな用語です。両者の誤りを簡単に説明すれば、あわて者の誤りは悪化していないのに悪化していると勘違いし、先走って不必要な対策を取ってしまう事で、ぼんやり者の誤りは本当は悪化しているのに問題無いと判断し臨機に対策しない事です。まさに言葉の通り、あわて者とぼんやり者に例えることが出来ます。
 
 例えば管理図で管理限界外れが見られたとします。この時、実際には工程異常では無いのに異常だと判断してしまうのがあわて者の誤りです。要因は様々ありますが、一般的に管理限界が狭すぎる(不適切)場合にタイプⅠエラーが生じやすくなります。
 
 一方、異常が生じているにも関わらず管理限界線に入っていた為見逃してしまうのが、ぼんやり者の誤りです。この場合は逆に管理限界が緩すぎる事で、インコントロールだから大丈夫だと勘違いしてしまうのが典型例です。
 
 因みに、管理限界がタイト過ぎるのは計算に用いたデータ数が少なすぎるか、高めの値を異常値として計算対象から除外したが故に生じます。データが少ないと確率分布から平均値に近いデータが多くなり実際よりも標準偏差が低めに見積もられます。
 
 逆に管理限界がゆるい場合が、何かしらのアクシデントや作業ミスで生じた明らかな異常値(数倍~数百倍)も含めて計算している場合に生じます。統計的仮説検定を行う時、あわて者の誤りを減らす為に有意水準αを厳しくしますが、サンプルデータ数を増やす事も標本誤差を小さくできるので有効です。
 
 またあわて者の誤りは生産者リスク、ぼんやり者の誤りは消費者リスクとも言われます。何故なら前者は適切に生産しているものを異常と判断するわけですから消費者には渡りませんが、生産者側は廃棄や手直しで不要なコストがかかります。
 
 一方後者は不適合品が見過ごされて市場に流れる事になり、購入する消費者がリスクを負う事になるためその様に言われます。第二種の誤りは顧客苦情やクレームを引き起こす可能性もあるので、コントロールリミットを狭めて消費者リスクを下げる設定を取る場合が多いようです。
 
 ただし、大切なのはコントロールリミットの設定で厳しく管理する事では無く、ばらつきそのものを抑制する条件を見出し、継続的改善に努める事です。検査で不適合を検知する機能も重要ではありますが、これは流出防止に過ぎません。当面は検知システムの利用で流出リスクを下げたとしても、ばらつきが小さく安定したプロセスへ改善する事が本来の対策であり結果的には低コストで運用出来ます。
 
 廃棄やリサイクルも少なくて済むので生産計画や在庫調整の負担も軽減します。ここまで管理図の例で述べましたが、これら2種の過誤は情報やデータを参照し、相反する決断をする様なケースでは度々起こりえると言えます。
 
 例えば刑事事件で、誤った捜査と審議で犯罪者を無罪にしてしまうのはぼんやり者の誤り、逆に冤罪で被疑者を有罪にしてしまうのはあわて者の誤りと言えるでしょう。もちろん誤審は『あわて者』という言葉で済まされるべき事ではありませんが。
 

この記事の著者

眞名子 和義

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