QC7つ道具 (その4) 管理図

1.管理図の概要

 前回のその3、特性要因図に続いて、今回は、管理図を解説します。管理図とは、過去のデータから現在および今後の工程安定度を判断するツールです。管理図では、安定した工程データから計算された管理限界線に対し、未来のデータ推移を予測します。よって外乱により安定していない工程に管理図を適用しても目的を果たすことはできません。仮に適用してもデータのばらつきが大きい為、管理限界幅が広くなり検知すべき異常値を検知できないでしょう。

 例えば50℃狙いで管理している反応液の温度推移を観たとします。普段±5℃程度に収まっているのが60℃になればおかしいと気付くはずです。このおかしいと気付く判断材料として客観的に見るツールが管理図です。管理図を使っていれば60℃になる前に徐々に上昇している時点で異常に気付くことも出来ます。

 管理図は単純で解りやすいツールですが実際の運用は難しく、使いこなせず形骸化してしまう事も珍しくありません。品質管理の場面では異常発生時のトリガーに管理図のOOC(Out of Control)を起点とする場合も多々あります。

管理図の例 説明図

図1.管理図の一例
  

2.管理図の種類 

 管理図にはいくつかの種類があり、管理対象特性が計量値(重量や長さなど連続した値)か、計数値(欠点数や不適合枚数等数えられる値)かによって用いる管理図が異なります。量産工場の様にデータ数nが多い場合は、X-3σやXbar-3σ管理図を主に用います。

表1.管理図の種類と特徴


名称定義特徴・用途
X-Rs管理図 個々の数値を打点したX管理図と移動範囲Rsを組み合わせたチャート サンプル数が少ない為に平均値での管理が困難だったり、群分けが困難な計数値で用いられる。
X-R管理図 群の平均値Xを用いた管理図と郡内のばらつきの変化量Rを組み合わせたチャート 長さ、重量、強度、純度等計量値の管理に有効。変化が均一化されるので母集団に変化があった場合の異常が捉えやすい。
X-S管理図 群の平均値Xを用いた管理図とデータの標準偏差Sを組み合わせたチャート X-Rと同様長さや重量等の計量値に用いられるがRの代わりに標準偏差sを用いて管理します。サンプルデータが多い場合に精度の高い管理が可能。
Me-R管理図 群の中心値Meを使用したMe管理図と郡内のばらつき変化量Rを組み合わせたチャート 中心値Meは計算不要な為現場でのペーパー管理に使いやすい。また突発的な異常値を工程変動と誤認する事が少ない。
X-3σ管理図 管理限界に±3σを設定した管理図 3σの計算により管理限界を求めるので計量値、計数値問わず用いる事が可能。 実用的で量産工場で多用されているチャートです。
np管理図 サンプル数が一定の条件下で不良個数推移を観る管理図 製品ロットから100枚をサンプリングし、その中の不良数を管理する場合に用いられます。
p管理図 サンプル数が都度変わる条件下での不良個数推移を観る管理図 ロットサイズが異なりサンプル数が変化する場合の不良数を管理できます。 不良数の割合を打点するので不良率等を管理する場合に適しています。
c管理図 サンプルの大きさが一定でその中にある欠点数推移を観る管理図 例えば直径30cmの円盤上のキズの個数など、円盤のサイズは同じでその中の欠点数を管理する様な場合に適しています。
u管理図 サンプルの大きさが一定で無い場合に欠点数に対し、単位当たりの欠点数として推移を観る管理図 大きさの異なる製品のキズの個数など、単位面積、長さ、体積における欠点数を管理する様な場合に適しています。

3.管理図でのOOC状態判定

 管理図で以下のような症状が観察された時には、OOC(管理外れ)状態と判定します。

  • 管理限界線外れ    点が管理限界線(UCL、LCL)から外れてしまう状態です。
  • 連の発生       点が連続して上昇や下降のパターンを示す状態です
  • その他特異的パターン 点が一定範囲に偏って分布するような状態です。管理限界線付近を変動したり、CLより上側もしくは下側のみの範囲を変動したりする状態です。

管理図の管理外OOCパターンの例
図2.管理図のOOCパターン
  

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4.管理図運用時の注意点 

 管理図は工程管理に非常に有効なツールですが、実際の運用では、以下のような点に注意しながら利用しましょう。

(1)管理限界線の計算

 管理図は安定工程をベースにして、その後の異常発生の判定基準とするものです。 計算時に分布から大きく外れた跳び値を含んで計算すると管理幅が大きくなってしまい、本来検知すべき点もインコントロールになってしまいます。明らかな異常から発生したデータは計算元から削除して管理線を計算します。
  

(2)正規性の確認

 管理図作成に用いるデータは正規分布に近い分布をしている必要があります。基本的に正規分布に準じる前提で管理限界を計算するからです。元となるデータのヒストグラムを描いて、分布の形状を確認しましょう。もし正規分布から遠い形状であれば、データを対数や平方根等に変換し、変換後のデータが正規性をもっていたならば、その状態で管理限界を計算し逆変換して限界線を決めます。
  

(3)層別管理図の検討

 複数の母集団データを一つの管理図で観ると管理限界幅が広くなり、異常のシグナルを見落す可能性が高くなります。例えば同じ特性値だからと言ってパフォーマンスが異なる装置から出てくる結果を打点すれば、2群に分かれて本来の管理図の意味を成しません。管理図作成時の問題になりますが、このケースでは群間差が解消できるまでは別々の管理図で管理して下さい。
  

(4)規格値の併記

 管理限界線の意味を取り違えて、顧客スペックをOOC発生のトリガーラインとして用いているケースがあります。安定工程から算出した管理限界値と顧客スペックは異なります。規格を併記するのは構いませんが、OOCの判定基準として用いない様にしてください。
  

(5)異常発生時のアクション

 OOCが発生してもラインを止めたくない為に、十分な調査をせず出荷したり、原因不明のままクローズするケースが多々あります。管理図有効活用の為に、OOC発生時の判断や初動調査について現場で対応できるよう、具体的なリアクションフローを作成しておきましょう。


この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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