製造会社の物流 ものづくりと物流の同期化(その1)

更新日

投稿日

サプライチェーン

◆ 生産開始前の工程設計

 製造会社の中では、まだまだ物流の地位が低いケースが散見されます。とにかく調達したものをラインに運ぶことと、できあがった製品を引き取って輸送することのみが仕事のように思われているところがあります。本来であればサプライチェーン全体の効率化を考えなければならないのですが、物流の部分だけが切り離されている気がしてなりません。

 製造会社の物流は今やサプライチェーンを構成する重要な要素です。それだけに充実したスタッフでしっかりと構築する必要があります。生産工程は担当技術スタッフがとことん効率化を図るはずです。設備投資も行いますから、投資対効果についても入念に計算していくことでしょう。

 一方で工場の中には生産工程がいくつも存在しますので、工程と工程のつなぎの部分についても、きちんとした設計が必要とです。ここが製造会社の弱点かもしれません。工程間については意外と重視されていない場合があります。そうなると工程間が同期化されず余分な在庫が発生する可能性があるのです。

 各工程のレイアウトも重要なのですが、全体最適を考えた工程設計ができていない工場があります。そうなると工場内でムダな運搬が発生する可能性が出てきます。

 いったんレイアウトが決定してしまうと、ずっと運搬が発生し続けてしまいます。在庫も必要になるでしょう。つまり最初に決めるレイアウト次第で工場効率に影響が出てしまうということです。このことを知っておく必要があります。

 工場効率はサプライチェーン効率の重要要素であるため、本来であれば工場の技術スタッフが生産開始前に検討すべき事項であると考えられます。別の考え方をすると「...

サプライチェーン

◆ 生産開始前の工程設計

 製造会社の中では、まだまだ物流の地位が低いケースが散見されます。とにかく調達したものをラインに運ぶことと、できあがった製品を引き取って輸送することのみが仕事のように思われているところがあります。本来であればサプライチェーン全体の効率化を考えなければならないのですが、物流の部分だけが切り離されている気がしてなりません。

 製造会社の物流は今やサプライチェーンを構成する重要な要素です。それだけに充実したスタッフでしっかりと構築する必要があります。生産工程は担当技術スタッフがとことん効率化を図るはずです。設備投資も行いますから、投資対効果についても入念に計算していくことでしょう。

 一方で工場の中には生産工程がいくつも存在しますので、工程と工程のつなぎの部分についても、きちんとした設計が必要とです。ここが製造会社の弱点かもしれません。工程間については意外と重視されていない場合があります。そうなると工程間が同期化されず余分な在庫が発生する可能性があるのです。

 各工程のレイアウトも重要なのですが、全体最適を考えた工程設計ができていない工場があります。そうなると工場内でムダな運搬が発生する可能性が出てきます。

 いったんレイアウトが決定してしまうと、ずっと運搬が発生し続けてしまいます。在庫も必要になるでしょう。つまり最初に決めるレイアウト次第で工場効率に影響が出てしまうということです。このことを知っておく必要があります。

 工場効率はサプライチェーン効率の重要要素であるため、本来であれば工場の技術スタッフが生産開始前に検討すべき事項であると考えられます。別の考え方をすると「工程間は運搬が発生する可能性があるため、物流スタッフが検討すべし」という意見があるかもしれません。生産開始後に発生する運搬作業や在庫管理業務は、物流担当者が実施するケースが多いと思われますので、その意見は正しいかもしれません。

 そこで物流スタッフは最終的なサプライチェーン効率化に向け、何に取り組んでいったら良いかについて考えてみましょう。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCM構築の必要性・目的を明確にすることの重要性 SCM最前線 (その4)

 前回のその3に続いて解説します。    3. SCM構築が進まない最大の理由:SCM構築の必要性と目的が曖昧  ...

 前回のその3に続いて解説します。    3. SCM構築が進まない最大の理由:SCM構築の必要性と目的が曖昧  ...


ROA(対在庫資産運営利益率)によるキャッシュフロー経営

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...


SCMの一環としての輸送とは 儲ける輸送改善 (その3)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流品質向上法 (その1)

  1. 物流品質の5類型    物流品質、これは当たり前のことである一方でなかなか改善されない機能でもあります。私たちは物流のプロとして品質の向...

  1. 物流品質の5類型    物流品質、これは当たり前のことである一方でなかなか改善されない機能でもあります。私たちは物流のプロとして品質の向...


物流収支を知るとは

1. 目標原価をチェックする  物流業務を行う上で、日々気にする必要があるのは収支です。昨日は果たして儲かったのかどうか。予定していた利益が出た...

1. 目標原価をチェックする  物流業務を行う上で、日々気にする必要があるのは収支です。昨日は果たして儲かったのかどうか。予定していた利益が出た...


工場内物流と荷姿:メーカー物流改善の本質(その4)

  ◆ 効率化が物流の顧客へしわ寄せ  よくメーカーで物流改善と称して「まとめ運搬」を行ったり「まとめ輸送」を行ったりしていますが、これ...

  ◆ 効率化が物流の顧客へしわ寄せ  よくメーカーで物流改善と称して「まとめ運搬」を行ったり「まとめ輸送」を行ったりしていますが、これ...