海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その5)

更新日

投稿日

第5回 道具4「物流会社選定ツール」(中)

 

【選定ステップ3】候補会社評価表の作成

 
 前回説明させていただいたRFI、物流現場確認、経営者面談を実施した結果をまとめ、自社の要求に合致しているかどうかについて図1のような採点表(候補会社評価表)を作成して最終候補になり得るかどうかをチェックします。最終候補会社への絞り込みができたところでその結果を候補会社一覧リストにまとめましょう。このリストが今後自社としてつきあっていく物流会社(3PL)を示していることになります。また、このリストは定期的に見直しをかけ、常に候補会社について最新の情報にアップデートしておくことを忘れないで下さい。ここまで出来たら次のステップである物流会社選定プロセスへ移行することになります。
 
  物流
 

【選定ステップ4】仕様書の作成

 
 いよいよ物流会社の選定プロセスに入りますが、海外では特に相手との契約内容が重視されるのでしっかりとした仕様書を作成し、見積をもらうことがポイントです。日本のように契約内容を曖昧にしたまま業務をスタートすることは危険です。足元をすくわれないようにこのプロセスはきちんとやって下さい。
 
         物流
 
 図2をご覧いただきたい。これらの項目を仕様書に織り込む必要があります。物流仕様を提示する際には以下の二つのパターンがあります。
 
(1)物流条件を荷主(工場)側ですべて決定する方式
(2)キー項目は指定するが、3PLに提案の余地を残す方式
 
 前者では物流ルートから荷の積み方まで厳格に荷主(工場)が指示するパターンであり、その変更も荷主(工場)が決めることになります。一方後者ではキー項目だけ指定し、後は3PLに判断の余地を残しているため、ある程度3PLの提案で仕事を組み立てられることになります。ただし、荷主(工場)がすべての項目を決めるには相当その地の物流について熟知していなければならないため、ほとんどのケースでキー項目だけの提示になると思われます。
 

【選定ステップ5】仕様説明会兼入札説明会の実施

 
 仕様書の作成が出来たところで仕様説明会を実施します。公平を期すためにも、すべての候補会社に一堂に集まってもらい、その場で物流仕様について説明を行います。この説明会は仕様説明会であるとともに入札説明会も兼ねることになります。この説明会でのポイントは委託する物流契約の条件を明確に伝えることです。図3をご覧下さい。これは輸送を業務委託するケースです。このように基本的な物流条件を見積依頼書として各社に提示し、そ...

第5回 道具4「物流会社選定ツール」(中)

 

【選定ステップ3】候補会社評価表の作成

 
 前回説明させていただいたRFI、物流現場確認、経営者面談を実施した結果をまとめ、自社の要求に合致しているかどうかについて図1のような採点表(候補会社評価表)を作成して最終候補になり得るかどうかをチェックします。最終候補会社への絞り込みができたところでその結果を候補会社一覧リストにまとめましょう。このリストが今後自社としてつきあっていく物流会社(3PL)を示していることになります。また、このリストは定期的に見直しをかけ、常に候補会社について最新の情報にアップデートしておくことを忘れないで下さい。ここまで出来たら次のステップである物流会社選定プロセスへ移行することになります。
 
  物流
 

【選定ステップ4】仕様書の作成

 
 いよいよ物流会社の選定プロセスに入りますが、海外では特に相手との契約内容が重視されるのでしっかりとした仕様書を作成し、見積をもらうことがポイントです。日本のように契約内容を曖昧にしたまま業務をスタートすることは危険です。足元をすくわれないようにこのプロセスはきちんとやって下さい。
 
         物流
 
 図2をご覧いただきたい。これらの項目を仕様書に織り込む必要があります。物流仕様を提示する際には以下の二つのパターンがあります。
 
(1)物流条件を荷主(工場)側ですべて決定する方式
(2)キー項目は指定するが、3PLに提案の余地を残す方式
 
 前者では物流ルートから荷の積み方まで厳格に荷主(工場)が指示するパターンであり、その変更も荷主(工場)が決めることになります。一方後者ではキー項目だけ指定し、後は3PLに判断の余地を残しているため、ある程度3PLの提案で仕事を組み立てられることになります。ただし、荷主(工場)がすべての項目を決めるには相当その地の物流について熟知していなければならないため、ほとんどのケースでキー項目だけの提示になると思われます。
 

【選定ステップ5】仕様説明会兼入札説明会の実施

 
 仕様書の作成が出来たところで仕様説明会を実施します。公平を期すためにも、すべての候補会社に一堂に集まってもらい、その場で物流仕様について説明を行います。この説明会は仕様説明会であるとともに入札説明会も兼ねることになります。この説明会でのポイントは委託する物流契約の条件を明確に伝えることです。図3をご覧下さい。これは輸送を業務委託するケースです。このように基本的な物流条件を見積依頼書として各社に提示し、それに対する回答をもらうようにするのです。この例では11番以降(図4)に相手からの提案を要請することにしている。さらに正確な見積もりをもらうために、図5のように発着地、輸送物量と荷姿条件などのデータを示すことが重要です。
 
         物流
         物流
    物流
 
   この文書は、『日刊工業新聞社発行 月刊「工場管理」掲載』の記事を筆者により改変したものです。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや注目される背景を簡単に解説

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...


物流不良撲滅 物流品質の向上 (その3)

1.製造品質に影響を与える供給品質不良を撲滅する  前回の第2回に続いて解説します。工場における物流の使命として、生産ラインに「安心して製造作業に専...

1.製造品質に影響を与える供給品質不良を撲滅する  前回の第2回に続いて解説します。工場における物流の使命として、生産ラインに「安心して製造作業に専...


配送のジャストインタイム、クロスドッキングとは

   物流は、メーカーの工場から小売店への小口配送までの間に、卸またはメーカーの物流倉庫という大口の配送・保管工程が介在するのが一般的です...

   物流は、メーカーの工場から小売店への小口配送までの間に、卸またはメーカーの物流倉庫という大口の配送・保管工程が介在するのが一般的です...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流4Mの「もの」 物流4M管理の重要性(その4)

 前回の事例、その3に続いて解説します。物流4Mの中で「もの」について考えてみましょう。物流工程で良く使われる代表的なものといえば段ボールや容器、パレット...

 前回の事例、その3に続いて解説します。物流4Mの中で「もの」について考えてみましょう。物流工程で良く使われる代表的なものといえば段ボールや容器、パレット...


ラストワンマイルの行方、今後の個別配送のあり方

    1. 宅配環境の変化 最終ユーザーへの配送:ラストワンマイルという言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか。通信販...

    1. 宅配環境の変化 最終ユーザーへの配送:ラストワンマイルという言葉をお聞きになられたことはありますでしょうか。通信販...


モチベーション向上の取組とは

  1. モチベーション向上: マズローの定義に学ぶ  物流現場は人による作業に頼るところが大きい傾向にあります。ということは従業員のモチベーショ...

  1. モチベーション向上: マズローの定義に学ぶ  物流現場は人による作業に頼るところが大きい傾向にあります。ということは従業員のモチベーショ...