管理図、管理限界線の考察

 大手製造業M社の量産工場で製品の特性検査結果を管理図で管理していました。 QCサークル活動の成果の一つとして見える位置に方眼紙を掲示し、毎日作業者が打点していました。

 管理図を観ると打点トレンドは中央線の周りに張り付いていて図1のように管理限界線の大きく内側で推移していました。 正常な管理図であれば中央線を挟んで管理限界線の内側で、点がある程度の振幅をもってばらついているはずです。
 
 打点が中央線に寄りすぎてレンジが小さいのも異常パターンの一つですがこのケースでは管理限界の代わりに顧客スペックをそのまま用いていた為に生じていました。
 
       
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                                図1.管理図の誤用(管理限界線にSLを設定)
 
 管理図は安定した工程の過去データから管理限界線が計算されます。 運用方法の一つとしてスペックラインを通常の管理限界線の外に引く場合もありますが、 このケースではスペックを管理限界線として用いており全く管理図の役目を果たしていません。 管理図は安定状態からの逸脱及び逸脱の兆候ををいち早く読み取るのが目的なので顧客スペックに入っているかを判断するのに管理図を用いる必要は必要は全くありません。
 

 過去データを用いて±3シグマで管理限界線を引いてみた所、管理値外れが2点ある事がわかりました。 既に出荷された後でしたがOOCの原因を調べると測定器の一台が校正不備で高めの値が出ている事がわかりました。図2参照。〔OOC(Out of Control)〕

 
           
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                                   図2.修正した管理図
 
 出荷是非の観点では顧客スペックに入っていれば出荷は可能でしょう。しかし品質管理の観点から言えば明らかに誤った管理図の使い方です。この管理図がQCサークル活動の結果導入された事に大きな驚きを感じると同時に、活動が形骸化していた実態を知る事が出来ました。
 

この記事の著者

眞名子 和義

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