~固有技術と管理技術~ ファブレス小売業の品質保証(その6)

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品質マネジメント

 

特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第6回です。

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その5)へのリンク】

 

技術とは、開発された科学を実際に応用する手段、物事を巧みになしとげるわざ(大辞林)とあります。ものづくりに技術が必要なことは言うまでもありませんが、ものづくりに必要な技術は「固有技術」と「管理技術」に分けられます。固有技術が無ければモノが作れませんので、固有技術はものづくりを行う上で必須の技術と言えますが、管理技術が伴わないと「ただ作っただけ」になってしまい、経営が成り立ちません。ものづくりを行う上では、固有技術、管理技術の両方を高いレベルで揃える必要があります。

 

【目次】
1.固有技術
2.管理技術

 

1.固有技術

固有技術とは、原料や装置、工法、技能を駆使して製品を作る知識体系を持っていることをいいます。研究所やメーカーが持つサイエンス(科学)の分野であり、ものづくりをするための専門知識と手段です。ファブレス小売業には知見の無い分野であり、確かなパートナーと組むことによって確保するべき技術です。

 

2.管理技術

管理技術とは、ルールや仕組みを構築して全体を統制する能力のことをいいます。こちらは研究所やメーカーに限らずあらゆる組織に必要なマネジメント(経営)の分野であり、より良い結果を出すための専門知識と手段です。定められたルールの無い職場では何が起きても不思議はありませんし、ルールは存在していても担当者がそれを守らなければトラブルが発生します。これを防ぐために、適切なルールを定め、担当者を教育し、職場風土を形成していくことが必要になります。これは、も...

品質マネジメント

 

特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第6回です。

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その5)へのリンク】

 

技術とは、開発された科学を実際に応用する手段、物事を巧みになしとげるわざ(大辞林)とあります。ものづくりに技術が必要なことは言うまでもありませんが、ものづくりに必要な技術は「固有技術」と「管理技術」に分けられます。固有技術が無ければモノが作れませんので、固有技術はものづくりを行う上で必須の技術と言えますが、管理技術が伴わないと「ただ作っただけ」になってしまい、経営が成り立ちません。ものづくりを行う上では、固有技術、管理技術の両方を高いレベルで揃える必要があります。

 

【目次】
1.固有技術
2.管理技術

 

1.固有技術

固有技術とは、原料や装置、工法、技能を駆使して製品を作る知識体系を持っていることをいいます。研究所やメーカーが持つサイエンス(科学)の分野であり、ものづくりをするための専門知識と手段です。ファブレス小売業には知見の無い分野であり、確かなパートナーと組むことによって確保するべき技術です。

 

2.管理技術

管理技術とは、ルールや仕組みを構築して全体を統制する能力のことをいいます。こちらは研究所やメーカーに限らずあらゆる組織に必要なマネジメント(経営)の分野であり、より良い結果を出すための専門知識と手段です。定められたルールの無い職場では何が起きても不思議はありませんし、ルールは存在していても担当者がそれを守らなければトラブルが発生します。これを防ぐために、適切なルールを定め、担当者を教育し、職場風土を形成していくことが必要になります。これは、ものづくりの現場に限らず、あらゆる組織、あらゆる場面でマネージャーが求められることだと思います。

 

ファブレス小売業が、ものづくりを行う上で品質(Q:Quality)、コスト(C:Cost)、納期(D:Deliverly)において、より良い結果を出そうとするのであれば、管理技術の分野からアプローチしていくのが現実的な方法だと思います。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

今澤 尚久

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