ファブレス小売業の品質保証(その2)

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品質マネジメント

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その1)へのリンク】

特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第2回です。

 

◆製造委託先の選び方

1.どんな製造委託先にお願いすればいいの?

では、ファブレス小売業は、どのようにして開発力、製造力を見極めて、製造委託先を選べばよいのでしょうか。「開発に詳しくなく、製造にも明るくないのに、製造委託先の開発力や製造力の見極めなんてできるわけないよ。」という声が聞こえてきそうです。確かに開発のことがわからないと相手に開発力があるかどうかなんて見極められそうにありませんね。でも、本当にそうでしょうか。

 

私たちは日常生活の中で、いろいろなことを「専門家」に委託しています。病気になれば医者にかかります。髪が伸びれば美容院に行ってカットしてもらいます。自家用車の車検はディーラーや専門の業者にお願いします。では、そんなときにどのようにして委託先を決めているでしょうか。

 

症状や要望に対して真剣に耳を傾けてくれ、その要望に一生懸命に応えようとしてくれ、そして仕上がりや結果が満足のいくものであった。私たちはあまり深く意識せずに、このような「専門家」を選んでいると思います。逆に、私たちの要望にあまり関心が無く、定型的で形式的な手続きをこなし、結果もありふれたものだったら。多分、次は別の「専門家」にお願いしようと思うでしょう。

 

製造委託先選びも同じです。ビジネスとしては小規模だが私たちの商品に興味を持ってくれる。(図面が書けないので)上手く説明できない私たちの要望を実現しようと真剣に耳を傾けてくれる。思い描いていた商品を現実のものとして仕上げてくれる。そんな相手であれば、「また次もお願いしよう」と思い、長期的なパートナーシップを築いていけるのではないでしょうか。

 

ただ、私たちはビジネスとしてお客様への責任を果たさなければいけませんし、委託先は個人商店ではなく企業ですので、もう少し視点を追加して、慎重にパートナー企業選びを行いたいと思います。

 

2.製造委託先を選ぶ3つの視点

①経営トップが前向きであること

工場の経営トップが取引に対して前向きであることが重要です。新しい取引に対する意図や意気込みをトップが現場メンバーに直接説明することで、協力的に対応してもらえる関係構築が可能になります。また、経営者が品質に対してどのように考えているかが、工場の品質意識や取組みにあらわれますので、その点も確認しておきたいポイントです。

 

②担当者とのコミュニケーションが円滑であること

先方の担当者とのコミュニケーションが円滑であることが重要です。早い段階でお互...

品質マネジメント

【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その1)へのリンク】

特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第2回です。

 

◆製造委託先の選び方

1.どんな製造委託先にお願いすればいいの?

では、ファブレス小売業は、どのようにして開発力、製造力を見極めて、製造委託先を選べばよいのでしょうか。「開発に詳しくなく、製造にも明るくないのに、製造委託先の開発力や製造力の見極めなんてできるわけないよ。」という声が聞こえてきそうです。確かに開発のことがわからないと相手に開発力があるかどうかなんて見極められそうにありませんね。でも、本当にそうでしょうか。

 

私たちは日常生活の中で、いろいろなことを「専門家」に委託しています。病気になれば医者にかかります。髪が伸びれば美容院に行ってカットしてもらいます。自家用車の車検はディーラーや専門の業者にお願いします。では、そんなときにどのようにして委託先を決めているでしょうか。

 

症状や要望に対して真剣に耳を傾けてくれ、その要望に一生懸命に応えようとしてくれ、そして仕上がりや結果が満足のいくものであった。私たちはあまり深く意識せずに、このような「専門家」を選んでいると思います。逆に、私たちの要望にあまり関心が無く、定型的で形式的な手続きをこなし、結果もありふれたものだったら。多分、次は別の「専門家」にお願いしようと思うでしょう。

 

製造委託先選びも同じです。ビジネスとしては小規模だが私たちの商品に興味を持ってくれる。(図面が書けないので)上手く説明できない私たちの要望を実現しようと真剣に耳を傾けてくれる。思い描いていた商品を現実のものとして仕上げてくれる。そんな相手であれば、「また次もお願いしよう」と思い、長期的なパートナーシップを築いていけるのではないでしょうか。

 

ただ、私たちはビジネスとしてお客様への責任を果たさなければいけませんし、委託先は個人商店ではなく企業ですので、もう少し視点を追加して、慎重にパートナー企業選びを行いたいと思います。

 

2.製造委託先を選ぶ3つの視点

①経営トップが前向きであること

工場の経営トップが取引に対して前向きであることが重要です。新しい取引に対する意図や意気込みをトップが現場メンバーに直接説明することで、協力的に対応してもらえる関係構築が可能になります。また、経営者が品質に対してどのように考えているかが、工場の品質意識や取組みにあらわれますので、その点も確認しておきたいポイントです。

 

②担当者とのコミュニケーションが円滑であること

先方の担当者とのコミュニケーションが円滑であることが重要です。早い段階でお互いが活発にコミュニケーションできる関係性を構築する事で、仕事がスムーズに進むようになります。メールを送って何日も音沙汰がない場合は、相手にとって私たちの優先度が低かったり、取引に興味がない可能性がありますので注意が必要です。

 

③現場の環境や雰囲気が良いこと

実際に現場に足を運び、自分の目で製造現場の環境や雰囲気を感じ取ることは重要です。従業員を大切にし、働く環境を整えている工場の現場は雰囲気がいいものです。工場を訪れた訪問者に対して、作業者が一瞬手を止めて「こんにちわ」と挨拶できる現場は、決して多くはありません。

 

次回に続きます。

 

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この記事の著者

今澤 尚久

「商品を買う側(小売業)」と「商品を作る側(製造業)」の両方の業界経験をベースに実効性のある経営戦略を策定します。現場・現物・現実の三現主義で現状把握から施策立案・課題解決までの全工程を支援します。

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