整頓の標準化:ジャスト・イン・タイム生産(その21)

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jit

 

 【実践編 目次】

第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する←今回の記事
   使いやすく、わかりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤わかりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる
   

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する

 モノの置き場と置き方のルールを決め、分かりやすい表示で現場を整頓する。

◆ 使いやすく、分かりやすぐ

 整頓とは、単にモノのタテ・ヨコを揃(そろ)えることではありません。「要るモノを、使いやすいように置き、誰にでも分かりように明示すること」です。いらないモノを処分したあとで、残った必要なモノが使いやすいように置き場を見直します。整頓とは、あちこちに点在しているモノの「屯(たむろ)いを整える」ことです。

◆ 整頓①田の字レイアウト

JIT

図.田の字レイアウト

 はじめに、作業しやすい職場・現場に整頓する方法をご紹介します。

 職場・現場では、いらないモノは隅へ隅へと追いやられます。以前お話した「整理」のために、不要なモノをオモテ化する「赤札作戦」によって、隅にあったいらないモノが取り除かれると、壁回りにスペースが生まれますので、この機を逃さず、壁伝いに人が通れるくらいの通路を設けるようにしましょう。これまでは、作業者の動きは、通路から作業区に入り、また通路へ戻るという、行って・戻る動きしかありませんでした。それが、壁伝いに通路ができると、その通路を通って、作業区をぐるりと一周できるようになり、機械設備の裏側にも回れるようになります。

 作...

jit

 

 【実践編 目次】

第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する←今回の記事
   使いやすく、わかりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤わかりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる
   

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する

 モノの置き場と置き方のルールを決め、分かりやすい表示で現場を整頓する。

◆ 使いやすく、分かりやすぐ

 整頓とは、単にモノのタテ・ヨコを揃(そろ)えることではありません。「要るモノを、使いやすいように置き、誰にでも分かりように明示すること」です。いらないモノを処分したあとで、残った必要なモノが使いやすいように置き場を見直します。整頓とは、あちこちに点在しているモノの「屯(たむろ)いを整える」ことです。

◆ 整頓①田の字レイアウト

JIT

図.田の字レイアウト

 はじめに、作業しやすい職場・現場に整頓する方法をご紹介します。

 職場・現場では、いらないモノは隅へ隅へと追いやられます。以前お話した「整理」のために、不要なモノをオモテ化する「赤札作戦」によって、隅にあったいらないモノが取り除かれると、壁回りにスペースが生まれますので、この機を逃さず、壁伝いに人が通れるくらいの通路を設けるようにしましょう。これまでは、作業者の動きは、通路から作業区に入り、また通路へ戻るという、行って・戻る動きしかありませんでした。それが、壁伝いに通路ができると、その通路を通って、作業区をぐるりと一周できるようになり、機械設備の裏側にも回れるようになります。

 作業区を一周できるようになると、材料の供給や完成品の運搬の仕方にもさまざまなル-卜がとれるようになり、より柔軟な作業動線を想定できるようになります。さらに、機械設備の保全もしやすくなります。このように、建屋の中央にあるメインの縦横の通路のほか、壁伝いの通路を設定すると、ちょうど漢字の「田」の字になります。これが「田の字レイアウト」で、不要なモノがたまりにくく、風通しのよいレイアウトになります。

 

 次回に続きます。

 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

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この記事の著者

古谷 誠

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!

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