見込み生産と受注組立(MTSとBTO)の対比

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみようと思います。

 プッシュ型の見込み生産は、過去データの統計的な処理による需要予測にもとづいて事前の計画に従って生産するので、交通機関でいえば過去の乗客数の時間帯別予測でダイヤを計画する電車に喩えることが出来ます。供給する列車の運行サービスすなわち座席数を提供するわけですが、乗客が予測より少なくても売れ残りの在庫(座席)を次のダイヤに繰り越すことはできません。しかし、需要より少ないサービスしか提供できないと他の交通機関に乗客が乗り換えてしまうので、機会損失が発生します。

 一方実需にもとづいて組立を開始する受注生産(BTO)は、乗客がボタン操作をして始めて運行を開始するエレベーターに喩えることが出来ます。エレベーターは、乗客がいないところでは決して動くことはありません。

 下表で示すように、サプライチェーンでの納期に相当するのは、電車の場合は、「ダイヤの待ち時間+移動時間」で、エレベーターの場合は「ボタンを押してからエレベーターが来る時間+移動時間」です。電車の場合は能力が充分ある、すなわち過密ダイヤが組める場合は「納期」が短いものの、田舎の電車のように運行間隔が広いと途端に納期は長くなってしまいます。

表 見込み生産と受注生産(電車とエレベーター)の比較

見込み生産と受注生産

 サプライチェーンはモノの移動の管理で交通システムはサービスであり、全く同じではありませんが、シンクロナイゼーション(同期化)でリードタイムを短縮出来るという関係性において、類比することができます。この喩えから将来の革新につながる発想としては、機会損失と過剰在庫という双方に存在するリスクを避けるために、「エレベーター」方式であるプル型のサプライチェーン構築が、多くの製品で考えられます。その鍵を握るのがERP/SCMといった情報技術の進化と、モデル化の発想なのです。


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

・製品構成・生産・販売の全体のつながりSCM(サプライチェーンマネジメント)の中でキャッシュ収益を改善します。 ・サプライチェーンマネジメントの源流にトヨタ式経営を求め、そのさらに源流としてドラッカー経営に行きました。 ・マネジメント…

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