プラスチック製品の不具合事例 (その2)

更新日

投稿日

プラスチック製品の不具合事例 を解説します。

【プラスチック製品の不具合事例 連載記事】

 

(3)プラスチック製品の不具合事例 (その2)

 
事例② 【玩具の破片(2)】
 
              製品安全
図3 玩具の破片(2)出所:国民生活センターHP
 
<不具合内容>
 
 回転させて遊ぶ玩具を使用したところ、ポリスチレン製部品が破損し、破片が右目に当たり負傷した。事業者は販売を中止し、国民生活センターはキズやひび割れのある当該品の使用中止を呼びかけた。
 
<事例から学べること>
 
 ・製品が欠けると目に入る可能性のある製品(高い位置に設置する製品/衝撃を伴うような使い方をす
  る製品など)は、耐衝撃性のある材料を使用する、衝撃に対する十分な強度を持つように設計するな
  どの対応が必要。
 
事例③ 【プラスチックメッキの剥がれ】
 
 水栓金具、デジタルカメラのプラスチックメッキが剥がれて怪我をするリスクが生じた。日本バルブ工業会は注意喚起チラシを公開、ソニー株式会社はリコールを実施した。
 
 メッキ表面の金属とプラスチックは化学的に結合しているのではなく、ABSなどの表面をエッチングして作った小穴に金属が入り込み、アンカー効果により付着している。したがって、密着強度はあまり強くなく、強い荷重や製造管理不良などにより剥がれることがある。剥がれたメッキは刃物のように鋭くなることもある。
 
              製品安全
  図4 水栓金具のプラスチックメッキ剥がれ 出所:日本バルブ工業会HP
 
                            製品安全
  図5 レンズ周辺部品のプラスチックメッキ剥がれ 出所:ソニー株式会社HP
 
<事例から学べること>
 
 ・体に直接触れる可能性が高い部分に、プラスチックメッキを使うことはできるだけ避ける。
 
 ・強い荷重、繰り返し荷重、熱冷サイクル、衝撃などが加わる部分には、プラスチックメッキを使うこ
  とはできるだけ避ける。
 
 ・どうしてもプラスチックメッキが必要な場合は、適切な材料選定や膜厚設定、耐久性評価、製造管理
  などを十分に実施する。
 
 
...
プラスチック製品の不具合事例 を解説します。

【プラスチック製品の不具合事例 連載記事】

 

(3)プラスチック製品の不具合事例 (その2)

 
事例② 【玩具の破片(2)】
 
              製品安全
図3 玩具の破片(2)出所:国民生活センターHP
 
<不具合内容>
 
 回転させて遊ぶ玩具を使用したところ、ポリスチレン製部品が破損し、破片が右目に当たり負傷した。事業者は販売を中止し、国民生活センターはキズやひび割れのある当該品の使用中止を呼びかけた。
 
<事例から学べること>
 
 ・製品が欠けると目に入る可能性のある製品(高い位置に設置する製品/衝撃を伴うような使い方をす
  る製品など)は、耐衝撃性のある材料を使用する、衝撃に対する十分な強度を持つように設計するな
  どの対応が必要。
 
事例③ 【プラスチックメッキの剥がれ】
 
 水栓金具、デジタルカメラのプラスチックメッキが剥がれて怪我をするリスクが生じた。日本バルブ工業会は注意喚起チラシを公開、ソニー株式会社はリコールを実施した。
 
 メッキ表面の金属とプラスチックは化学的に結合しているのではなく、ABSなどの表面をエッチングして作った小穴に金属が入り込み、アンカー効果により付着している。したがって、密着強度はあまり強くなく、強い荷重や製造管理不良などにより剥がれることがある。剥がれたメッキは刃物のように鋭くなることもある。
 
              製品安全
  図4 水栓金具のプラスチックメッキ剥がれ 出所:日本バルブ工業会HP
 
                            製品安全
  図5 レンズ周辺部品のプラスチックメッキ剥がれ 出所:ソニー株式会社HP
 
<事例から学べること>
 
 ・体に直接触れる可能性が高い部分に、プラスチックメッキを使うことはできるだけ避ける。
 
 ・強い荷重、繰り返し荷重、熱冷サイクル、衝撃などが加わる部分には、プラスチックメッキを使うこ
  とはできるだけ避ける。
 
 ・どうしてもプラスチックメッキが必要な場合は、適切な材料選定や膜厚設定、耐久性評価、製造管理
  などを十分に実施する。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

田口 宏之

中小製造業の製品設計の仕組み作りをお手伝いします!これからの時代、製品設計力強化が中小製造業の勝ち残る数少ない選択肢の一つです。

中小製造業の製品設計の仕組み作りをお手伝いします!これからの時代、製品設計力強化が中小製造業の勝ち残る数少ない選択肢の一つです。


「安全工学一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
安全文化と技術者倫理 ~安全で問題を起こさないために~

1. 安全文化と技術者倫理  自動車業界のリコール問題ですが、このような問題は会社の経営基盤を脅かすこととなる可能性を秘めています。米国ではNHTS...

1. 安全文化と技術者倫理  自動車業界のリコール問題ですが、このような問題は会社の経営基盤を脅かすこととなる可能性を秘めています。米国ではNHTS...


リスクアセスメントの進め方 リスクアセスメント(その3)

 今回は、前回のその2に続いて「危険源の特定」について解説します。                                  「①使われ...

 今回は、前回のその2に続いて「危険源の特定」について解説します。                                  「①使われ...


機能安全とは【連載記事紹介】

  機能安全の連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆機能安全とは何か 機能安全(Functional Safety)...

  機能安全の連載記事が無料でお読みいただけます!   ◆機能安全とは何か 機能安全(Functional Safety)...


「安全工学一般」の活用事例

もっと見る
プラスチック製品の不具合事例 (その1)

 不具合事例を見る前に、設計者が担保すべき製品の安全性について説明したいと思います。製造物責任法においては、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係...

 不具合事例を見る前に、設計者が担保すべき製品の安全性について説明したいと思います。製造物責任法においては、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係...


静電気事故が減らない理由、異物不良が減らない理由

 化学工場でその行為が事故につながる可能性の有無について、リスク見積もりができるかどうかは従業員のセンスに依存する場合が多いようです。  ここでいう...

 化学工場でその行為が事故につながる可能性の有無について、リスク見積もりができるかどうかは従業員のセンスに依存する場合が多いようです。  ここでいう...


製品安全で急浮上の課題『サイレントチェンジ』の事例

 ◆ サイレントチェンジ多発の背景  2017年10月経産省・製品安全課から次のような文章が公開されました。「製造事業者は電気用品安全やRoHS規制等の...

 ◆ サイレントチェンジ多発の背景  2017年10月経産省・製品安全課から次のような文章が公開されました。「製造事業者は電気用品安全やRoHS規制等の...