「安全工学」とは、キーワードからわかりやすく解説
1. 「安全工学」とは
安全工学とは、製品が使用者に対する危害と、生産において作業者が受ける危害の両方に対して、人間の安全を確保したり評価する技術です。特に原子力発電、航空機、輸送機械など大きな危害を与える危険性のあるものでは、重要性が大きいと言えます。
『安全な物は見えない』という名言があります。人は製品が安全であるが故に、意識することなく使うことができるということを表現した言葉です。言い替えてみれば、安全なものでも、ある時いきなり豹変して危険なものになります。危険な現象(ハザード)はその製品ごとに様々ですが、割れて尖る、ショートして発煙発火する、剥離して落下する、などの危険な現象が起きて、初めてそこにその物の存在が見えることになっては遅いのです。
メーカーが意図した使い方以外は誤使用と呼ばれますが、果たして、安全対策上、有益な呼び方でしょうか。誤使用情報を有益に転化するには、いわゆる誤使用を3段階に分けてみるべきです。メーカーは意図しなかったがこの方が優れて使い易いという「異使用」、使用者にも製品にも良くない「誤使用」、何でこんなことをするの、という「不思議使用」とする分類案です。特に異使用は、設計者がデスクの上で考えた以外の製品情報として、収集、分析してこれからの製品改良に生かしてゆく度量が企業に欲しいと思っています。見方を変えてみれば交通信号でさえ逆の結論を得られます。赤信号が安全、青信号が危険という考え方があります。赤信号であれば車はすべて止まっている。止まっている車は事故を起さない。事故を起す車は走っている車であるから青信号は危険という考え方です。
2. 機能安全とは
機能安全(Functional Safety)とは「監視装置や防護装置などの付加機能によるリスク低減策」であり、安全を確保する為の考え方の1つです。人間、財産、環境などに危害を及ぼすリスクを、機能や装置の働きにより、許容可能な程度にまで低減するというアプローチを指します。日本の産業界では実はあまりなじみのないコトバだったのですが、欧米特に欧州市場での自動車、鉄道などの事業展開の際に、この考え方に沿ったものづくりをすることを要請されるようになって注目を集めるようになりました。
「安全工学一般」のキーワード解説記事
もっと見る予知保全とは?予知保全の新時代と安全工学の最前線を分かりやすく解説
【目次】 「予知保全」とは、設備や機械の故障を未然に防ぐための手法であり、近年、技術の進化とともにその重要性が増しています。従来の保...
【目次】 「予知保全」とは、設備や機械の故障を未然に防ぐための手法であり、近年、技術の進化とともにその重要性が増しています。従来の保...
心理学で変える安全・効率の工場現場、声かけで劇的改善
【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「安全工学」に関するセミナーはこちら! 先日、ある作業場で、先輩が新人に「解った返事をしようか。」...
【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「安全工学」に関するセミナーはこちら! 先日、ある作業場で、先輩が新人に「解った返事をしようか。」...
労働安全対策を講じる際に用いる言葉の選び方、肯定的な言葉がもたらす効果とは
【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「労働安全」に関するセミナーはこちら! 労働安全に関する取り組みは、職場環...
【目次】 ▼さらに深く学ぶなら!「労働安全」に関するセミナーはこちら! 労働安全に関する取り組みは、職場環...
「安全工学一般」の活用事例
もっと見る化学物質による事故・汚染、化学物質の危険性、有害性、取扱い事例
私の所属している化学物質管理士協会が行う化学物質管理試験科目の一つである化学物質による事故・汚染、化学物質の危険性、有害性、取扱い方について取り上げ...
私の所属している化学物質管理士協会が行う化学物質管理試験科目の一つである化学物質による事故・汚染、化学物質の危険性、有害性、取扱い方について取り上げ...
静電気事故に学ぶリスクコミュニケーション
♦リスクコミュニケーションの目的と必要性 化学工場の事故の大半は静電気爆発・静電気着火によるものです。各社静電気事故防...
♦リスクコミュニケーションの目的と必要性 化学工場の事故の大半は静電気爆発・静電気着火によるものです。各社静電気事故防...
静電気事故が減らない理由、異物不良が減らない理由
化学工場でその行為が事故につながる可能性の有無について、リスク見積もりができるかどうかは従業員のセンスに依存する場合が多いようです。 ここでいう...
化学工場でその行為が事故につながる可能性の有無について、リスク見積もりができるかどうかは従業員のセンスに依存する場合が多いようです。 ここでいう...
「安全工学一般」に関するセミナー
もっと見る静電気の基礎と事例から学ぶ 静電気事故未然防止策
「場当たり的な対策で再発を繰り返さないために実務上の重要管理ポイントを網羅的・具体的に解説 !」 受講可能な形式:【Live配信】or【アーカイブ配信】のみ ◎化学薬品メー...
開催日: 2026-01-14
品質トラブルの未然防止セミナー
「組織的に品質トラブルを未然防止する『しくみづくり』」を主眼としたセミナーです。再発防止・未然防止の重要性は理解しているものの、自己流で解釈して取り組んでいる企業も少なくあり...
開催日: 2025-11-17
設計・開発における再発防止実践セミナー
~ツール活用、プロセス構築、マインド醸成から学ぶ実践的再発防止手法~ 製品の安全・品質問題を引き起こす要因は多種多様です。開発段階でそれらを予見して未然に防止す...
開催日: 2025-11-11
技術者・スタッフのための製造物責任法(PL法)解説セミナー
1995年の製造物責任法(PL法)施行以来、製品供給者にとって、より厳しい製品安全への法的責務が問われています。それにもかかわらず、多くの企業では安全性確保への対応が遅れたま...
開催日: 2025-11-10
製品開発におけるリスクアセスメント手法実践コース
製品の安全性で優位に立つためには、ただリスクアセスメントを行えばよいというものではありません。 当コースでは、事故の未然防止から市場措置の判断にまで広く使用されている実践的な...
開催日: 2025-10-30
リチウム二次電池の健全度診断
~インピーダンス、高速パルス測定と機械学習の活用~ ★ 各種電気化学的応答スペクトルを擬似等価回路を用いてじっくり解説!★ LIBの入荷・出荷時検査、リユ...
開催日: 2025-09-26
「安全工学一般」の教材
もっと見る「安全工学一般」の専門家
もっと見る森内 眞
専門家A アルテム・イノベーション技術士事務所
ものづくりにおいて解決できない課題はありません。真摯に課題に取り組むことで必ず解決の糸口は見えてきます。 技術士としての専門知識、技術、経験、独自のネット...
ものづくりにおいて解決できない課題はありません。真摯に課題に取り組むことで必ず解決の糸口は見えてきます。 技術士としての専門知識、技術、経験、独自のネット...
ISO、IATFなどマネジメントシステムの構築・改善及びヒューマンエラー防止・対策のコンサルタント
遠山 純夫
専門家A 遠山コンサルオフィス
ものづくり企業の経営・技術課題をワンストップで解決・支援します。商品開発・工場経営革新・海外進出はもとより、知財・販路開拓・M&Aまでコンサルファームによ...
ものづくり企業の経営・技術課題をワンストップで解決・支援します。商品開発・工場経営革新・海外進出はもとより、知財・販路開拓・M&Aまでコンサルファームによ...