エネルギーマネジメント(省エネ法):新環境経営(その13) 

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 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状をたどってきました。前回からはエネルギーマネジメントについて紹介しています。今回は省エネルギー法についてです。
 CSR

1. 省エネルギー法の歴史

 資源小国の日本は、エネルギー資源を海外に求めると同時に、如何にエネルギー消費を減らすかに取り組んできました。1973年と1979年の2度に亘り、原油の供給逼迫および価格高騰による石油危機があり、日本は経済の高度成長のために、工業化の推進と併せて、省エネルギーを進める必要がありました。その流れの中で、1979年6月22日に省エネルギー法が制定され、同年10月1日から施行。これに伴い1951年に制定された熱管理法は廃止されました。
 

2. 2008年の省エネルギー法改正

 地球温暖化等の環境の変化に鑑み、エネルギー使用の合理化による燃料資源の有効な利用を確保するため、「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律」(改正省エネ法)が2008年5月30日に公布されました。「住宅・建築物分野の対策の強化」については2009年4月1日に施行、「エネルギー管理の工場単位から事業者単位への変更」については2010年4月1日に施行されました。
 

<住宅・建築物分野の対策の強化>

 住宅・建築物分野の対策の強化を図るため、以下の4項目が追加されました。1.大規模な住宅・建築物の建築主に対し、従来の指示・公表のほか新たに命令規定を導入。2.一定の中小規模の住宅・建築物も届出義務の対象。3.住宅事業建築主が新築する特定住宅の省エネ性能向上を促す措置および省エネ性能の表示の推進。4.登録建築物調査機関および登録講習機関に関する規定。
 

<エネルギー管理の工場単位から事業者単位への変更>

 従来の、一定規模以上の大規模な工場に対する工場単位のエネルギー管理義務制度から、業務・事務部門を含む事業者(企業)単位のエネルギー管理義務制度に変更することとなりました。また、一定の要件を満たすフランチャイズチェーンについても、チェーン全体を一事業者として捉え、事業者単位の規制と同様の規制が導入されることとなりました。このことによって、コンビニエンスストア等の業務部門についても、本法による省エネルギー対策が講じられることになりました。
 

3. 東日本大震災を受けての省エネ法の一部改正

 持続可能な省エネを進めていく観点から、需要サイドの省エネを促進すべく所要の措置が講じられました。
 

<建築材料等に係るトップランナー制度>

 これまでのトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具が対象でした。今般は、自らエネルギーを消費しなくても、住宅・ビルや他の...
 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状をたどってきました。前回からはエネルギーマネジメントについて紹介しています。今回は省エネルギー法についてです。
 CSR

1. 省エネルギー法の歴史

 資源小国の日本は、エネルギー資源を海外に求めると同時に、如何にエネルギー消費を減らすかに取り組んできました。1973年と1979年の2度に亘り、原油の供給逼迫および価格高騰による石油危機があり、日本は経済の高度成長のために、工業化の推進と併せて、省エネルギーを進める必要がありました。その流れの中で、1979年6月22日に省エネルギー法が制定され、同年10月1日から施行。これに伴い1951年に制定された熱管理法は廃止されました。
 

2. 2008年の省エネルギー法改正

 地球温暖化等の環境の変化に鑑み、エネルギー使用の合理化による燃料資源の有効な利用を確保するため、「エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律」(改正省エネ法)が2008年5月30日に公布されました。「住宅・建築物分野の対策の強化」については2009年4月1日に施行、「エネルギー管理の工場単位から事業者単位への変更」については2010年4月1日に施行されました。
 

<住宅・建築物分野の対策の強化>

 住宅・建築物分野の対策の強化を図るため、以下の4項目が追加されました。1.大規模な住宅・建築物の建築主に対し、従来の指示・公表のほか新たに命令規定を導入。2.一定の中小規模の住宅・建築物も届出義務の対象。3.住宅事業建築主が新築する特定住宅の省エネ性能向上を促す措置および省エネ性能の表示の推進。4.登録建築物調査機関および登録講習機関に関する規定。
 

<エネルギー管理の工場単位から事業者単位への変更>

 従来の、一定規模以上の大規模な工場に対する工場単位のエネルギー管理義務制度から、業務・事務部門を含む事業者(企業)単位のエネルギー管理義務制度に変更することとなりました。また、一定の要件を満たすフランチャイズチェーンについても、チェーン全体を一事業者として捉え、事業者単位の規制と同様の規制が導入されることとなりました。このことによって、コンビニエンスストア等の業務部門についても、本法による省エネルギー対策が講じられることになりました。
 

3. 東日本大震災を受けての省エネ法の一部改正

 持続可能な省エネを進めていく観点から、需要サイドの省エネを促進すべく所要の措置が講じられました。
 

<建築材料等に係るトップランナー制度>

 これまでのトップランナー制度は、エネルギーを消費する機械器具が対象でした。今般は、自らエネルギーを消費しなくても、住宅・ビルや他の機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する製品を新たにトップランナー制度の対象に追加されました。具体的には、建築材料等(窓、断熱材等)を想定。企業の技術革新を促し、住宅・建築物の断熱性能の底上げを図ります。
 

<電力ピークの需要家側における対策(工場、輸送等)>

 需要家が、従来の省エネ対策に加え、蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自家発電の活用等により、電力需要ピーク時の系統電力の使用を低減する取組みを行った場合に、これをプラスに評価できる体系にしました。(具体的には、省エネ法の努力目標の算出方法を見直しました)
 
 次回は、I SO50001について解説します。
 

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この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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