エネルギーマネジメント:新環境経営(その12) 

 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、今回からはエネルギーマネジメントについて解説します。
 

1. 3つのE(economy:経済、environment:環境、energy:エネルギー)

CSR
 本連載を始める時点では、企業活動は環境についての配慮を充分に取り込んで経営をしなければならないの意味合いで環境経営をテーマとしました。又、これまでの公害等の後始末のマイナスの対応から、さらに一歩進めて自然環境を改善するプラスの対応も取り入れなければならないの思いで“新”環境経営と位置付け、経営が取り組むべきことを紹介してきました。ところが、東日本大震災による原発事故で電力供給が逼迫、原発前提のエネルギー調達は破綻しました。これまでの二酸化炭素排出量削減による地球温暖化への対応に加え、エネルギーの選択による地球環境への配慮も経営の一部として取り扱うことが求めらました。これからは3つのEを密接に絡ませて経営に当る必要があります。
 

2. エネルギー問題

 日本はエネルギー小国と言われ、現在もエネルギー自給率は4%、96%は輸入に頼っています。燃料は薪から、石炭、石油、天然ガスに移行しました。電力は水力発電、火力発電(石炭、石油、天然ガスを燃料)、原子力発電で作られていますが、その原料のほとんどは輸入で賄われています。東日本大震災による原発事故を受け、原子力発電設備のほとんどが停止しており、エネルギー需要を賄うために火力発電をフル稼動させています。
 
 一方、経済を拡大させるために化石燃料を過剰に消費してきた結果、温暖化効果ガスである二酸化炭素の排出量が増え、地球規模で温暖化が問題となっています。その結果、氷河が融け、海面が上昇、太平洋に浮かぶ美しい珊瑚礁の国ツバル(海抜が最高でも5m)は、国の存在そのものが脅かされています。化石燃料依存からの脱却を目指し、再生可能エネルギー活用の取組みが加速していますが、まだまだエネルギー調達に占める割合は小さく、海底資源のメタンハイドレードなどの資源開発も始まっていますが、商業ベースにのるまでにはまだ少し時間がかかるでしょう。
 

3. エネルギーマネジメント

 地球規模で温暖化効果ガス排出量を削減するため、COP11等で国際的な枠組みが作られ、全てのエネルギーの使用時に発生する二酸化炭素の原単位に基づき、二酸化炭素の排出量を把握した上で、削減目標を設定して、二酸化炭素排出の削減の取組みが行われています。又、先進国と新興国の共同実施(Joint Implementation)による排出量削減や、クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)による排出削減量の獲得、排出量取引(Emission Trading)等の二酸化炭素排出量削減のためのスキームがあります。
 
 このように二酸化炭素の排出量低減が推進されてきていますが、先進国と新興国の立場の違いから、各国の利害が対立し、順調に進んでいるとは言えない状況です。そもそも先進国は、経済を優先とした過剰な化石燃料消費により繁栄を謳歌してきたわけで、大量の温室効果ガスを発生させ地球規模の温暖化を引き起こしてきた責任を負う認識はあるでしょう。一方、新興国は未だ経済発展の途上にあり、二酸化炭素削減よりも、経済成長を優先したい立場にあり、成長の足枷となる枠組みはのめない立場にあるでしょう。20カ国にまで広がったG20国際会議でも、先進国と新興国の利害が対立し、合意形成が難しくなっています。
 

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4. エネルギー政策と、「省」、「創」、「畜」エネ

 東日本大震災の原発事故により、原子力発電を前提に組み立てられてきたエネルギー政策は、抜本的な見直しを迫られており、再生可能エネルギー活用の促進や、地下や海底のエネルギー資源開発も活発になってきています。二酸化炭素削減も、脱原発も、それを実現させる基本は「省」エネルギーであり、これまでの使いたい放題のエネルギー使用からの抜本的な意識変革が求められています。環境経営の観点からも、徹底した「省」エネルギーに取り組み、その上で再生可能エネルギーによる「創」エネルギー、電力使用のピークを下げたり、移動したりの「畜」エネルギーの推進が求められています。
 
 次回は、改正省エネ法について解説します。
 

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

【経営理念】地球環境に優しい社会を実現すべく、多様な関係者との交流を通じて、地域社会の変革に貢献する。

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