有害物質管理:新環境経営(その9)

 
CSR
 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、今回から有害物質管理/グリーン調達について紹介します。
 

1. 有害物質管理の経緯

 有害物質管理は、過去の公害等の歴史を踏まえて、有害と疑わしき物質を特定し、使用や廃棄を制限してきました。有害物質管理の仕組みはヨーロッパ主導で始まり、今も管理する物質の種類、管理の方法は欧州連合(EU: European Union )で起案され、それが実質的に世界標準として取引の前提となってきています。
 
 ヨーロッパ大陸では、産業革命がいち早く広まり、地続きのため上流の国の川の汚れが、下流の国に影響を与える等の公害の歴史を経験し、それらへの対応としての有害物質管理は最も進んでいます。日本も本連載の最初のところで紹介した悲惨な公害を経験してきていますが、有害物質管理の仕組みについては、EUで定めた基準を守ってヨーロッパへの輸出を伸ばしてきた中で、管理を充実させてきた歴史があります。1990年頃から、ヨーロッパの国々はそれぞれの独自基準を設けて、適合していない商品、製品を受け入れない方向で規制を整備してきました。輸出立国日本は、各国の基準を調べて、適応させたうえで受け入れてもらうことに努力してきました。
 

2. 有害物質管理の転機

 2001年にオランダで起きたある事件がきっかけとなって、日本の有害物資管理の対応は激変しました。ゲーム機の周辺機器の一部から許容レベルを超えるカドミウムが検出されたとして、オランダの当局に判定されたのです。オランダは灌漑によって国土を作り、花木を輸出する環境先進国です。有害物質の輸入規制をするために、EU全体の規制に先駆けて、取り締まりを強化していました。この判定は日本メーカーを震撼とさせました。日本は、ヨーロッパへの輸出が大きな比重をしめていたため、EUの各種指令をクリアしないと輸出することができません。「日本メーカーたたき」「見せしめ」の声もありましたが、日本の電気電子機器メーカーはソニーを先頭に、RoHS指令への対応を粛々と進めました。
 

3. WEEE指令及びRoHS指令

 欧州では、2003年2月頃に廃電気電子機器リサイクル指令(WEEE指令)及び電気電子機器の有害物質指令(RoHS指令)の骨子がまとまり、RoHS指令が動き出した。それは2006年7月以降市場導入される電気電子機器に対し、「有害6物質(カドミウム化合物、鉛化合物、水銀化合物、六価コロム化合物、ポリ臭化ビフェニール、ポリ臭化ジフェニルエーテル)の非含有」を要求するものでした。それまでは国ごとの規制で、禁止されている物質も少なかったのですが、RoHS指令からEU加盟国共通の規制で、禁止物質も増え、対応が難しくなってきました。それらの物質は、極めて有用な機能を有している物質であることを発見して、機器等を作るにあたって便利に使ってきただけに、それらが使えなくなることは大変なインパクトがありました。そのため、世界中で比較的安全と言われている物質の組み合わせによる機能代替の研究、技術開発が進められ、今もその取り組みは続いています。
 
 次回は、有害物質管理への対応について解説します。
 

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

【経営理念】地球環境に優しい社会を実現すべく、多様な関係者との交流を通じて、地域社会の変革に貢献する。

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