環境経営とは :新環境経営 (その15)

 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状をたどってきました。又、前々回からはエネルギーマネジメントについて紹介してきました。今回から環境経営についてです。
 

1. 環境経営とは

CSR
 環境経営とは、企業と社会が持続可能な発展をしていくために、地球環境と調和した企業経営を行うという考え方です。環境関連規制の対応だけでなく、幅広い環境活動が求められます。それらの活動には、環境マネジメントシステムの導入、事業所内の環境負荷の低減のみならず、提供する製品・サービスのライフサイクル全体、およびサプライチェーン全体の環境負荷低減、環境事業への転換、顧客や市場の環境意識向上の働きかけなどの活動が含まれます。これらの活動を具体化していくためには、ISO14001、環境業績評価、二酸化炭素削減技術、MFCA、ゼロエミッション、リサイクル、グリーン調達、エコデザイン、LCA、エコラベル、環境報告書、環境会計、エコジジネスなど様々な手法の活用が求められます。
 

2. 環境経営が必要な理由

 20世紀は、社会の工業化の進展が著しく、ひたすら経済成長のために大量生産、大量消費を続けてきました。その為に大量の化石エネルギーが消費され、生み出された大量の廃棄物は埋め立てられてきました。しかしながら、既に地球は、人間が使うエネルギーによって排出される二酸化炭素や廃棄物を再生する能力の限界を大幅に超えており、その結果、地球温暖化問題や、環境汚染問題が引き起こされています。地球の資源は長い年月を掛けて、太陽エネルギーによって生み出されたものが蓄積されてきました。又、空気や水は、人間が利用しながら自然界の再生力を活用、循環させることで持続的利用を可能にしてきました。しかるに、近年、企業は水や空気は「只」で使いたい放題、ほっておいても誰かが再生してくれるとばかりに、消費を増やし、経済競争に明けくれてきました。
 
 地球規模の環境汚染問題が明らかになり、地球規模の温暖化問題が明らかになっても、自らの経済的競争優位を保つために、率先して身を切って資源消費を抑える動きは弱いようです。世界が協力して資源消費の削減に取り組もうと、国際会議で決めてもいざ実行の段階になると、経済競争優位を優先し、思い切った資源消費の削減に向かわない現実があります。しかしながら、21世紀に入り、20世紀後半から警鐘が鳴らされてきた地球環境破壊が現実のものになり、このままでは持続不可能であることが明らかになりました。もはや、企業経営において、環境への配慮は付加的な要素ではなく、経営そのものに取り込まなければ企業として存在することすら許されない時代になりました。まさにCSR経営からCSV経営(共通価値経営:経済に貢献することと、社会的課題解決の両方に貢献)に移行しなければならない時代です。CSVは、環境経営を超えた所の“新“環境経営のステージです。
 

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3. 「環境経営はお金がかかる」は見当違いか

 企業経営に環境経営を取り込むことが必要なことは解っても、実際に幅広い環境活動を行うと、お金や人、設備等のリソースが必要になります。これまで水や空気、廃棄物処理を費用負担なしで行ってきたことを基準にすると、プラスアルファのリソースが必要となります。では、水や空気、廃棄物の処理はどこで負担されてきたのでしょうか。水や空気は、農業、林業、漁業の1次産業で作りだされています。森は水を濾過、保水して、2次産業、3次産業に提供しています。又、森は二酸化炭素を吸収し温暖化を防止してきました。企業は水道料を払っているとは云え、森が浄水を作り出す機能に相当する対価は払っていません。又、森が二酸化炭素を吸収することに対しても、林業に対し対価を払っていません。企業の環境対応費用の軽視が温暖化を生んだと言ってもよいでしょう。もはや、企業存続のためにも、環境活動にリソースを投入するのは当たり前で、環境活動のリソースをバランスシートに反映させるのは必須です。更に、環境活動の外部費用も取り込んで収支をバランスさせる経営が求められています。
 
 次回は、環境経営の観点で、「エコを経営に活かす」の解説です。
 

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

【経営理念】地球環境に優しい社会を実現すべく、多様な関係者との交流を通じて、地域社会の変革に貢献する。

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