生産・調達・営業の結果が物流に表れる 物流側からの情報発信の重要性(その4)

投稿日

 
 SCM物流にはすべての活動の結果が表れる傾向があります、というお話を前回させていただきました。たとえば大ロット生産を実施すれば、そこにすぐに使われない「在庫」が発生します。そうなるとその在庫を保管するスペースが必要になり、製品を入れておく容器が必要になり、その在庫を横持ちする工数と機器が必要となり、在庫そのものの管理が必要になります。
 
 営業マンが顧客を獲得したいために必要以上の納入回数を約束してしまうと、その結果として積載率の低いトラックが多数必要になります。購買担当者が資材をまとめて発注することで単価低減を行ったとします。するとその資材の不要在庫が構内に置かれることになります。その結果として先ほど挙げた「大ロット生産」と同様の現象が発生することになります。
 
 大ロット生産を行った部署はその結果として生産性が向上し、良かったと思うことでしょう。営業マンは顧客から喜ばれ、良いサービスを提供できたと満足することでしょう。購買担当者は資材単価を落とすことで会社に貢献できたと考えるものと思います。たしかにこの「メリットのみ」に目を向ければ会社に貢献できたという満足感がクローズアップされます。
 
 しかしその裏には物流における非効率が発生しているのです。では、物流の非効率が発生しているにもかかわらず、メリットがクローズアップされるのはなぜでしょうか。それはその非効率を被るのは物流部門だからです。生産部門にしろ、営業部門にしろ、購買部門にしろ、その非効率を感じることはありません。それ故彼らはお構いなしに自らの道を進んでいくのです。
 
 でもここで少し考えていただきたいのです。これらの非効率を被ってまでも先に挙げた事例を...
 
 SCM物流にはすべての活動の結果が表れる傾向があります、というお話を前回させていただきました。たとえば大ロット生産を実施すれば、そこにすぐに使われない「在庫」が発生します。そうなるとその在庫を保管するスペースが必要になり、製品を入れておく容器が必要になり、その在庫を横持ちする工数と機器が必要となり、在庫そのものの管理が必要になります。
 
 営業マンが顧客を獲得したいために必要以上の納入回数を約束してしまうと、その結果として積載率の低いトラックが多数必要になります。購買担当者が資材をまとめて発注することで単価低減を行ったとします。するとその資材の不要在庫が構内に置かれることになります。その結果として先ほど挙げた「大ロット生産」と同様の現象が発生することになります。
 
 大ロット生産を行った部署はその結果として生産性が向上し、良かったと思うことでしょう。営業マンは顧客から喜ばれ、良いサービスを提供できたと満足することでしょう。購買担当者は資材単価を落とすことで会社に貢献できたと考えるものと思います。たしかにこの「メリットのみ」に目を向ければ会社に貢献できたという満足感がクローズアップされます。
 
 しかしその裏には物流における非効率が発生しているのです。では、物流の非効率が発生しているにもかかわらず、メリットがクローズアップされるのはなぜでしょうか。それはその非効率を被るのは物流部門だからです。生産部門にしろ、営業部門にしろ、購買部門にしろ、その非効率を感じることはありません。それ故彼らはお構いなしに自らの道を進んでいくのです。
 
 でもここで少し考えていただきたいのです。これらの非効率を被ってまでも先に挙げた事例を行う必要があるのか、ということについてです。まず物流部門は物流に表れた現象の要因について関係部門に発信する責任があります。生産ロットや調達ロットの大きさが物流にどのような影響を与えているのか、必要以上の納入回数がどれくらいの輸送コストアップにつながっているのか、この点について関係部門に発信することが重要です。
 
 次回は、情報発信と物流改善について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーン時代の歴史認識と戦略

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...


ビジネスの収益力を決めるサプライチェーンのスピード

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...


面積原価(その1)

 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。 &nbs...

 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。 &nbs...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
褒めるしくみ 物流品質管理(その4)

  ◆ 物流作業者の品質意識  物流品質を維持するには、次のPDCAを回すことです。  第一に品質が保証される仕事のしくみを作ります。...

  ◆ 物流作業者の品質意識  物流品質を維持するには、次のPDCAを回すことです。  第一に品質が保証される仕事のしくみを作ります。...


「今が最低だと思え」という教え 固定観念を捨てて取り組む重要性(その2)

   今回は、物流を物流という単なる点ではなく、サプライチェーンという線で見ていくことについてです。  その1に続いて、例を挙げてみます。その物流部長...

   今回は、物流を物流という単なる点ではなく、サプライチェーンという線で見ていくことについてです。  その1に続いて、例を挙げてみます。その物流部長...


物流の「生まれ」を良くする 究極の物流改善に取り組め(その3)

        究極の物流改善とは物流の「生まれ」を良くすることです。構内物流では工程と工程の間を離さずに設計することで生まれの物流を良くすることが...

        究極の物流改善とは物流の「生まれ」を良くすることです。構内物流では工程と工程の間を離さずに設計することで生まれの物流を良くすることが...