トラック合わせ生産 SCMの本質(その2)

更新日

投稿日

SCM1.同期生産

 
 前回のその1に続いて解説します。サプライチェーンの全体リードタイムを短縮するために必要となるのが同期生産です。すべての工程が同じスピードで動いていくことで、途中の余分な滞留を防ぐことができます。
 
 前後工程を同期化していくことはサプライチェーン効率化にとっては必須条件となるわけです。工場の中の工程にとどまることなく、会社間をまたがっての同期化も必要です。
 
 この会社間をまたがる同期化とは、すべての工程が同じ情報で動くということです。つまり予測で生産計画をつくるのではなく、確定情報で生産計画を立案し、それに従ってモノづくりを行うということになるのです。会社間をまたがって同期化することは簡単なことではありません。なぜなら途中に「輸送」という工程が入るからです。
 

2.トラック合わせ生産

 
 輸送工程は大抵トラックにて行われると思います。トラックは一定のサイズがありますから、その大きさを無視してスカスカで走らせることはムダを生じさせます。そこで発想を変えて、トラックに合わせた生産を行うということを考えてみてはいかがでしょうか。今まで輸送は生産を行った結果の荷物を運ぶという姿勢だったと思います。これをあらかじめトラック満載になるように、そしてトラック出発時刻の少し前に生産が終わるように計画をつくるのです。
 
 これを行うことで、トラックの積載率をキープできますし、トラックの出発時刻を常に気にすることで、トラックを待たせることも少なくなると考えられます。もしトラック一杯になる荷量があるのであれば、この考え方で生産計画を組んでみてはいかがでしょうか。これも同期生産の一つです。それはトラックに同期しているからです。
 
 次にモノの調達について考えてみましょう。生産用部品は協力会社から調達することになりますよね。この調達の仕方もSCMの重要な機能になります。サプライチェーンの上流工程が...

SCM1.同期生産

 
 前回のその1に続いて解説します。サプライチェーンの全体リードタイムを短縮するために必要となるのが同期生産です。すべての工程が同じスピードで動いていくことで、途中の余分な滞留を防ぐことができます。
 
 前後工程を同期化していくことはサプライチェーン効率化にとっては必須条件となるわけです。工場の中の工程にとどまることなく、会社間をまたがっての同期化も必要です。
 
 この会社間をまたがる同期化とは、すべての工程が同じ情報で動くということです。つまり予測で生産計画をつくるのではなく、確定情報で生産計画を立案し、それに従ってモノづくりを行うということになるのです。会社間をまたがって同期化することは簡単なことではありません。なぜなら途中に「輸送」という工程が入るからです。
 

2.トラック合わせ生産

 
 輸送工程は大抵トラックにて行われると思います。トラックは一定のサイズがありますから、その大きさを無視してスカスカで走らせることはムダを生じさせます。そこで発想を変えて、トラックに合わせた生産を行うということを考えてみてはいかがでしょうか。今まで輸送は生産を行った結果の荷物を運ぶという姿勢だったと思います。これをあらかじめトラック満載になるように、そしてトラック出発時刻の少し前に生産が終わるように計画をつくるのです。
 
 これを行うことで、トラックの積載率をキープできますし、トラックの出発時刻を常に気にすることで、トラックを待たせることも少なくなると考えられます。もしトラック一杯になる荷量があるのであれば、この考え方で生産計画を組んでみてはいかがでしょうか。これも同期生産の一つです。それはトラックに同期しているからです。
 
 次にモノの調達について考えてみましょう。生産用部品は協力会社から調達することになりますよね。この調達の仕方もSCMの重要な機能になります。サプライチェーンの上流工程がこの部品調達なのです。
 
 前工程はサプライヤーですから、SCMの原則からいえばサプライヤーにも同期してもらうということになります。先ほどのトラック合わせ生産をサプライヤーに行ってもらい、自社がトラックを仕立てて引き取りに行くという方法が考えられます。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
供給を考える。 物流改善ネタ出し講座 (その6)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


SCM構築の必要性・目的を明確にすることの重要性 SCM最前線 (その3)

1. SCM構築の必要性・目的を明確化する重要性を取り上げる意味     読者の皆様にとって、「SCM構築の必要性・目的を明確化の...

1. SCM構築の必要性・目的を明確化する重要性を取り上げる意味     読者の皆様にとって、「SCM構築の必要性・目的を明確化の...


生残りの手段としてのサプライチェーンとは

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
予想物量の提示:物流顧客のニーズを知る(その2)

  ◆ 予想物量の提示  物流顧客は単純に点から点の間を運んで欲しいだけなのか、何かしらの管理をして欲しいと思っているのか常に情報を入手...

  ◆ 予想物量の提示  物流顧客は単純に点から点の間を運んで欲しいだけなのか、何かしらの管理をして欲しいと思っているのか常に情報を入手...


運賃と賃金水準の影響 輸送能力確保に向けての取り組み(その1)

◆ トラックドライバーの高齢化  最近、トラックはあるもののドライバーがいないため顧客のニーズに応えられないという現象が起き始めています。これでは日...

◆ トラックドライバーの高齢化  最近、トラックはあるもののドライバーがいないため顧客のニーズに応えられないという現象が起き始めています。これでは日...


永続的な改善活動 物流業センター長の役割(その2)

  ◆ 役割に応じた給与体系  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになります...

  ◆ 役割に応じた給与体系  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになります...