生残りの手段としてのサプライチェーンとは

更新日

投稿日

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある専門家や、日本語の読める海外の専門家とも親交をとることができ、サプライチェーンマネジメントのもっている可能性の広がりに新たに認識を深めることができました。

 ロジスティクスはそもそも兵站という戦争用語で兵器・食料を前線に補給するサプライチェーンマネジメントです。その目的は競合相手に対して優位になるように戦争資源、経営資源をスピーデイに補給(サプライ)することです。 販売の前線に需要と同期化している販売力があって製品が供給されていなければビジネス戦争には勝てません。戦場において動く敵に対して戦力的に優位な状況を素早く作るためには、兵力だけでなく武器弾薬、食料などの戦争資源の調達が戦場のオペレーション(作戦)とシンクロナイズして素早く動員できなければなりません。兵士がいても武器がなければ、武器があっても食料がなければ戦力にならないのは、販売力があっても製品がなければ、製品があっても競合に比べて優位となる鮮度がなければキャッシュフローにならないのと同じです。

 戦争で勝ち残るには、大本営にいて現場を見ない参謀が作る机上での作戦ではなく、現実の敵情にもとずく戦争資源の同期化が必要です。ビジネスでは供給者側の勝手な都合ではなく、サプライチェーンの最終顧客を起点にした需要に同期化するサプライチェーンのオペレーションが企業の生き残りの条件です。

 図1に示したように、日本を含む欧米での経営戦略論、古典的な戦略論の考えが背景にあって、現...

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある専門家や、日本語の読める海外の専門家とも親交をとることができ、サプライチェーンマネジメントのもっている可能性の広がりに新たに認識を深めることができました。

 ロジスティクスはそもそも兵站という戦争用語で兵器・食料を前線に補給するサプライチェーンマネジメントです。その目的は競合相手に対して優位になるように戦争資源、経営資源をスピーデイに補給(サプライ)することです。 販売の前線に需要と同期化している販売力があって製品が供給されていなければビジネス戦争には勝てません。戦場において動く敵に対して戦力的に優位な状況を素早く作るためには、兵力だけでなく武器弾薬、食料などの戦争資源の調達が戦場のオペレーション(作戦)とシンクロナイズして素早く動員できなければなりません。兵士がいても武器がなければ、武器があっても食料がなければ戦力にならないのは、販売力があっても製品がなければ、製品があっても競合に比べて優位となる鮮度がなければキャッシュフローにならないのと同じです。

 戦争で勝ち残るには、大本営にいて現場を見ない参謀が作る机上での作戦ではなく、現実の敵情にもとずく戦争資源の同期化が必要です。ビジネスでは供給者側の勝手な都合ではなく、サプライチェーンの最終顧客を起点にした需要に同期化するサプライチェーンのオペレーションが企業の生き残りの条件です。

 図1に示したように、日本を含む欧米での経営戦略論、古典的な戦略論の考えが背景にあって、現在の重苦しい経営環境の中で経営課題への打開策として注目されています。風の如く速く、林の如く静かに、火の如く侵略し、山の如く動かない「孫子の兵法」からきた「風林火山」は、兵力資源の敵の動きに対するロジスティクスのシンクロナイゼーションをシンボリックに表現している、と読むことができるのです。

サプライチェーンマネジメントを使った生き残り

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その10)

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その10)

   第10回 道具7「物流会社指導マニュアル」  前回のその9に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 &n...

   第10回 道具7「物流会社指導マニュアル」  前回のその9に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 &n...


SCM効率を評価するKPIの新提案:最終回 SCM最前線 (その16)

   前回のその15に続いて解説します。   5. 面積原価によるSCM改革・改善の方針    これまで、面積原価...

   前回のその15に続いて解説します。   5. 面積原価によるSCM改革・改善の方針    これまで、面積原価...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
超簡単な物流改善の取組み

  1. モノを取り出す改善  物流改善は難しくありません。ただ、あまり経験したことがないため取っつきにくいだけです。普段から生産改善を実施してい...

  1. モノを取り出す改善  物流改善は難しくありません。ただ、あまり経験したことがないため取っつきにくいだけです。普段から生産改善を実施してい...


荷姿設計:エンジニアリングとしての物流(その2)

  ◆ 荷姿設計業務 効率的な荷姿を設計できる能力があれば、保管、輸送、荷役などの関連機能の効率化に寄与できます。これはオペレーション開...

  ◆ 荷姿設計業務 効率的な荷姿を設計できる能力があれば、保管、輸送、荷役などの関連機能の効率化に寄与できます。これはオペレーション開...


  物流サービスのメリットとは:物流の関心度とは(その4)

  ◆物流サービスのメリットとは 物流に限ったことではありませんが、他社にできない点、あるいはほとんどの会社が手がけていない点をアピール...

  ◆物流サービスのメリットとは 物流に限ったことではありませんが、他社にできない点、あるいはほとんどの会社が手がけていない点をアピール...