世界をリードするモノづくり中小企業の人づくり

投稿日

 以前、東京国際フォーラムで東京理科大主催のパネルディスカッションが開催されました。テーマは「ニッチトップで世界をリードする日本のモノ作り企業」。株式会社浅沼技研と株式会社木村鋳造所の社長が行ったプレゼンの結論を一言でいえば、「中小企業の人づくり」となります。2社のトップは、それぞれ次のように断言しています。「安易な海外展開はせず、人を育てることが最優先である。」「不況でも、解雇するくらいなら会社を潰す。」その本気度が伝わってききました。つまり、モノづくり中小企業の人づくりノウハウのエッセンスが溢れる内容でした。偶然にも、筆者も20数年前から同様な具体案を、元の勤務先や支援先で提案していました。
 
 浅沼技研は、アルミ鋳造に特化した事業を展開している約60名の企業です。素材にこだわり、0,3ミクロンの加工精度まで保証できる素材開発と計測技術力を保有しています。モノづくりの基本は、素材にありとのこだわりを持っています。社長自ら自由な社風を醸成し、自社での勉強会や大学院への派遣などを通じて人材育成を図ってきました。また、木村鋳造所は、木型を使わない鉄鋳物のフルモールド鋳造法に特化した約800名の企業です。木型鋳造を主体とした従来の職人主体の技能集団を捨て、フルモールド鋳造法という職人でも手に負えない技術にチャレンジしてきました。若者のIT技術と連携させた技術開発で、社員の若返りを図り、成長軌道に乗せてきました。
 
 ニッチ分野で事業を成長させている両社の成功の秘訣を整理すると、次のようになります。図1は、それらを他の中小企業に展開する場合の施策を一般化したものです。
 
(1)従来から積み重ねた強みの技術・技能に加えて、大学等と連携し、若者を動機付けられる魅力的技術開発にチャレンジしていること。
 
(2)社長のリーダーシップの下、大学院等への留学も推奨し、社員の行動の自律化を促していること。
 
...
 以前、東京国際フォーラムで東京理科大主催のパネルディスカッションが開催されました。テーマは「ニッチトップで世界をリードする日本のモノ作り企業」。株式会社浅沼技研と株式会社木村鋳造所の社長が行ったプレゼンの結論を一言でいえば、「中小企業の人づくり」となります。2社のトップは、それぞれ次のように断言しています。「安易な海外展開はせず、人を育てることが最優先である。」「不況でも、解雇するくらいなら会社を潰す。」その本気度が伝わってききました。つまり、モノづくり中小企業の人づくりノウハウのエッセンスが溢れる内容でした。偶然にも、筆者も20数年前から同様な具体案を、元の勤務先や支援先で提案していました。
 
 浅沼技研は、アルミ鋳造に特化した事業を展開している約60名の企業です。素材にこだわり、0,3ミクロンの加工精度まで保証できる素材開発と計測技術力を保有しています。モノづくりの基本は、素材にありとのこだわりを持っています。社長自ら自由な社風を醸成し、自社での勉強会や大学院への派遣などを通じて人材育成を図ってきました。また、木村鋳造所は、木型を使わない鉄鋳物のフルモールド鋳造法に特化した約800名の企業です。木型鋳造を主体とした従来の職人主体の技能集団を捨て、フルモールド鋳造法という職人でも手に負えない技術にチャレンジしてきました。若者のIT技術と連携させた技術開発で、社員の若返りを図り、成長軌道に乗せてきました。
 
 ニッチ分野で事業を成長させている両社の成功の秘訣を整理すると、次のようになります。図1は、それらを他の中小企業に展開する場合の施策を一般化したものです。
 
(1)従来から積み重ねた強みの技術・技能に加えて、大学等と連携し、若者を動機付けられる魅力的技術開発にチャレンジしていること。
 
(2)社長のリーダーシップの下、大学院等への留学も推奨し、社員の行動の自律化を促していること。
 
(3)自由闊達な社風を創出し、情報の視える化を図り、上司部下の区別なく意見を言い合えること。
 
                                          inf09 
                                       図1. 中小企業の人づくりの方策
 
    この文書は、 2015年12月24日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「人的資源マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
技術企業の高収益化: 本物のリーダーは気迫を養う

◆ 経営者が養うべき「気迫」とはなにか  「何か良い方法がありませんか?」  数年前の話です。次期経営者になる予定の方(仮にAさんとします)からそ...

◆ 経営者が養うべき「気迫」とはなにか  「何か良い方法がありませんか?」  数年前の話です。次期経営者になる予定の方(仮にAさんとします)からそ...


技術士第二次試験対策:過去問を分析する(その4)

  1.過去問を分析すること 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...

  1.過去問を分析すること 【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポ...


教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成(その7)

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...

【教育システムの設計:多能工・技能工人材の育成 連載目次】 1. 教育の目的・対象 2. 信賞必罰でメリハリをつけるための信賞必罰制度を運用する仕...


「人的資源マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
「目標」と「計画」の限界

 昨年「やる気の技術」というテーマでセミナーやコンサルティングの機会を通じて思ったことがあります。    多くの場面で、目標設定をすることと...

 昨年「やる気の技術」というテーマでセミナーやコンサルティングの機会を通じて思ったことがあります。    多くの場面で、目標設定をすることと...


人的資源マネジメント:技術者育成のパフォーマンス(その3)

 前回は「学習」を通じて「成長」することの重要性をお伝えしました。実務を通して人はもっとも成長するものであり、そのための仕組みを作ることが大切だということ...

 前回は「学習」を通じて「成長」することの重要性をお伝えしました。実務を通して人はもっとも成長するものであり、そのための仕組みを作ることが大切だということ...


『坂の上の雲』に学ぶ先人の知恵(その19)

     『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビ...

     『坂の上の雲』は司馬遼太郎が残した多くの作品の中で、最もビジネス関係者が愛読しているものの一つでしょう。これには企業がビ...