現場ムダ取りのはじめ方(書き起こし記事)

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概要:従来から生産性を向上させる手法として用いられているインダストリアル・エンジニアリング(IE)。このセミナーではIEを知らない方でもIEに準拠した現場のムダ取りを実践できるよう、現場での活動の仕方、分析の仕方、発表の仕方などを具体的に紹介するとともに、現場活動に使用する各種フォーマットを配布し、明日からの現場カイゼン、生産性向上に活用いただけます。 


現場ムダ取りのはじめ方
講師:大岡 明
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/11972

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当テキストは、上記リンク先で提供しているセミナー内容を自動文章化し公開しております。
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現場ムダ取りのはじめ方

セミナーを始めていきたいと思います。画面を切り替えますので、少しお待ちください。


それではこれから現場ムダ取りの始め方セミナーを始めていきたいと思います。

 

はじめに

では早速です、今日のコンテンツです。まあ、モノづくりドットコムのウェブサイトにも掲載をしている内容ですが、まず概要、そして企業の取り組みの事例、書式の紹介、カイゼン活動に取り組む前にということで、おおむねこの4つの内容で進めていきたいと思います。

特に重要なところといいますか、記憶にとどめておいていただきたいところは提示しますのでメモ等を取っていただければと思います。

 

さっき4つで始めると言ったんですが、一つ始めにというのを付け加えました。本題に入る前に、肩慣らしといいますか、少し身近なというか、簡単なテーマでお話できればと思っています。

 

最近、働き方改革というキーワードが出てきます。これはホワイトカラーであろうが、ブルーカラーであろうが、製造非製造関わらずこの日本で事業を行なっている方、皆さんに関係することではないかなというふうに思います。今画面に出しておりますのは、厚生労働省の働き方改革特設サイトの内容です。

ここでは、働き方改革とはこういうことだ、という話をするつもりは全くありません。しかし、今から話すカイゼンと働き方改革というのは非常に密接な関係がありますのでここにあるいろいろなデータで、今日お話しする中で役に立ちそうなところをピックアップしたものを紹介したいと思います。

 

アンケートから見る現場カイゼン

まず、中小製造業における業務プロセスの効果と成功の鍵ということでアンケートを取っているんですが、この中で具体的に取り組んでいることは何ですか?ということを聞いた中の一番多いものが、業務の標準化やマニュアルであるということです。

2番目は不要な業務や重複業務をなくしていこうで、3番目が見えるか、4番目が業務分担の見直しなどと書いてありますが、広い意味でいえば、ここに書いてあることはすべてカイゼンであると思います。しかしながらその漠然としたカイゼンだと取り組みようがなかなかないので(私を含めて)、現場カイゼンという言葉を使う人が多いと思います。

この現場カイゼン要は従業員1人、工員さん1人どんな立場の方でもいいんですが、自分が業務で取りかかっている範囲のことをやっていくということです。それをうまく進めていくためには、標準化やマニュアル化が必要だと感じている事業者が多いんだと思います。

 

そして、次に業種で見た生産性向上への効果の実感状況です。業務見直しをやってみたところ、どうでしたかということで一番効果を感じているのが製造業です。これは言い方は悪いかもしれませんが、まだ開拓の余地があるという人もいらっしゃいますし、あるいは意識の高い従業員が多いんじゃないかということもあるかもしれません。しかし、ここで着目したいのは、期待した効果が得られているある程度の効果が得られているというところのある程度が多いだけの話ですので、期待した効果が得られているナンバーワンは製造業ではないわけです。したがいまして、まだまだやりようによっては効果の高い生産性の向上というのができるんじゃないかなというふうに思います。

 

これがまた面白かったんですが、3年前と比べた業務の見直しの取り組み内容、ということです。3年前、というのはここに書いてありますが、2017年の調査ですので2017年と、そこから3年前の比較をしたものです。必要性が高いと感じているもの、向上したということですは高いもの3つに丸を付けましたが、やはり見える化、重複業務業務の標準化というところが挙げられています。

今まさにカイゼンで取り扱う範囲なんですけれどもこういったことでです、これは国の調査で出てきたものなので氷山の一角かもしれませんが、このように国も進めていきたいと思っているところですし、事業者我々にとってみても重要な課題だと思います。

 

あと、実施の有無に似た他の策により労働生産性が向上したというところをちょっと見てみたんですけど、例えば省力化投資をして、どれぐらい新規投資をして、どれぐらいIT導入をして、どれぐらいとかいろいろありますが、その中で最も労働生産性が向上したというのが実は投資ではなくて、多能工化兼任化を実施したというところです。

要は一人の方でマルチに動けるようなトレーニングをして、あるいは技能を積んで実施したということです。これはどこの会社でもできると思います。また、この中で一番コストがかからないものだと思いますね。この5つの中では.。したがいまして、カイゼンをする作業者の教育をするということは非常に対になって一緒のことではあるんですけれども、こういったことがやっぱりこれからの生産性向上に重要ではないかな、というふうに思います。

 

この働き方改革、というものとプロセス改革というものと、いろいろな言い方はありますが、結局、カイゼンという文脈でまとめて、もともと日本で取り組まれていたことです。したがって様々な次元や様々なケースがありますのでその中で、自社で取り組みやすいことでこれらを進めていければと思います。

 

カイゼンは、みじかな活動です

そして本題に入る前に、簡単な話とお伝えし、さきほど働き方改革という話をしましたけれども、ここからちょっとの間は、カイゼンは身近なものだ、ということをお伝えしたいですし実感していただきたいと思います。今日お聞きの方で、マネージャー職あるいは管理者職にある方々は、例えば部下の方にカイゼンを促す活動をすると、どうしても押し付けられた、あるいは押し付けたというような形になりがちです。

カイゼンの基本的な考え方として後で詳しく話しますが、やはり能動的、自らがやりたいと思っていただくのが最も効果が高いですし、最も良い形だと言われています。しかしながら皆さん忙しい中で能動的にってそんなの難しいだろうあるいはカイゼンをやってる会社はいいんだけれどもうちの会社はやってないからそんなの無理だとか、様々な意見も聞きますが、今から少し話すケースを例にしてカイゼンは身近だと感じていただければと思います。


まず最初に写真を見てみたいんですが、これはコンビニエンスストアにあるコーヒーマシンです。これは全国どこでもあると思うので皆さんも見られたことあるんじゃないかなと思いますが、この機械は有名なデザイナーさんがデザインして社運をかけて行った一大プロジェクトだと聞いています。

確かに、このコーヒーマシーンが出る前のコンビニエンスストアのホットコーヒーというのはあまりイメージがなかったですし、まあオフィスで煮詰めたコーヒーを飲んでいる私としてはあまりおいしいものではないだろうと思ってたんですが、それがそれがもう専門店の味に迫る勢いで、あるいは部分的には超えてるかもしれませんが、とても美味しいコーヒーが飲めるんだと日々使ってるんですが、皆様方もこのコンビニのこの機械を見てこのまんまの姿できれいに置いてやれるものばかりではないと思います。具体的には次のページで写真を示しますが、このコーヒーマシーンに何か細工がしてあることが多く見受けられます。

それが今画面に出したように、テプラが貼ってあるっていうのを見ることがあると思います。テプラはなぜ貼ったんでしょうね。大小を間違える人が多い、あるいはホットアイスを間違える人が多い、店員さんに聞いてくる方が多いのかもしれませんし、顧客クレームの予防かもしれません。でもです、ここでひとつイメージしていただきたいのは、このテプラを誰が貼ったか?ということです。

一番最初考えられるのは、たぶんアルバイトの店員さんが多いのでアルバイトの方が店舗で自分でテプラを作って貼ったのか、あるいは店長に聞いて店長の許可のもと貼ったのか、アルバイトが店長に言って、店長がオーナーに言ってオーナーの許可のもと貼ったのか、あるいはオーナーさんがセブンイレブンの地域本部に連絡をして貼ったのか、はたまた地域本部が本部に話をして貼ったのか、これ言っていればきりがないわけですが、どの層で実施されたかということです。

各店舗で貼ってあるものに違いが見受けられますのでおそらく本部ではなく、各店舗あるいは各オーナーさんの判断でやってるんじゃないかな?というふうに推測されます。実際、聞いてみたら、「そうだ」という話だったんですけれども。ここで何が言えるかというと、これを貼ったことによるメリットはきっとあったという事です、あらゆる店舗で貼ってましたので。しかし貼っていない店舗もあったんです。この違いって何なんだろうって思うと、やっぱり貼ってない店舗というのは勝手に貼ったら怒られると言われて店員さんがです。で、他店舗に聞いてみると、まあまあ、朝礼のときに話して貼ることになりました。なんていう話も聞きました。要は気付いたこと、おそらく貼ってない店舗も同じように貼ろうかなと思ったことはあると思います。

顧客からの質問が多い事項だそうなので、でも貼らなかった貼ったどちらがどれだけ損失したかというのを、仮に計算してみてもお金にならない問い合わせに、1日何分使ったとしても結構大きい金額になります。このような現場のカイゼン、気づいたことを実行に移すというのは、当人がやりたくてもできない組織上の課題というのももちろんあります。そこにも着目する必要があるかなと思っています。あと、今日はモノづくりの方が多いので、この例はよくデザインの現場で使われます。「テプラを貼られたら負け」というサイトがありますけれどもこれはまさにそうです。デザイナーが意図していないテプラが貼られているわけです。設計ではもう完璧にレギュラーとラージ、あるいはホットとアイスというのを明示されてるわけですので問題ないはずなんですが、実際にお客さんのもとに使っていただくと、わかりにくいということがあったんだと思います。テプラを貼られたら負けなのか勝ちなのかは置いておいて、確かにデザイナーが意図しているところを超えたところで使われているということで、設計には顧客の声も必要だというような例でも使われています。ちなみに一番新しいコンビニエンスストアのコーヒーマシーンではこのホット、アイス、大きい、小さいのボタンが廃止されました。コップを見て自動で認識をして、これはアイスだ、これはホットだというふうマシーンが判断するようになっています。

このようにカイゼンというのは身近なところで気づいた方がまず必要で、その後それを実行に移す人が必要で、その後その効果があったかなかったかの判断が必要で、セブンイレブンの例でいえば、その判断のもと機械をやり換えた方がいいということになったので最新型の自動判別ができる機械になったというふうに聞いていますから、どこの会社でもこのようなことはあるんじゃないかなと思います。あと、実際の企業事例なんかでも具体的なカイゼン例を示しますのでまあ、身近なアクティビティーだということが伝わればいいなというふうに思います。

 

はい、ここにです、書きましたけど、カイゼンは自律的なとあえて強調しましたが、気づきというのは自律的でないと気づかないという別の研究もあります。で、気づいて行動に移して検証するという、この矢印の部分は自らがコントロールできないことがままあります。

そのコントロールできないところっていうのは管理者の方、あるいは経営者の方が権限委譲も含めてある程度裁量を与える必要があるかもしれません。

 

これが0章ではじめにというところの話をしましたが、ここから現場カイゼンの話をしていきたいと思います。まずは概要です。

 

現場カイゼンの概要

現場カイゼン活動と簡単に言っておりますが、定義をしますと、このようになりますね。で書いてあるものをわざわざ読むことはありませんが、あえて強調して言うならば、作業能率を上げるだけではなく、安全性を向上するということをまず含んでいるということは知っておくべきだと思います。

そして、当然ですが、製造業だけではなく、製造業の間接部門やサービス業などでも使われているということです。これは日本発の世界に通じる言葉の1つになっています。よく有名なのがテリヤキとかMOTTAINAIなんていうのは世界で通じると言いますが、私も海外に仕事で行きますが、やはりカイゼンという言葉はかなり浸透しています。

ですが簡単に要約をしてみました。下に赤い字を書きましたが、カイゼンというのは要約すると無駄な作業を徹底して省く活動であると言えると思います。無駄な作業を徹底して省くことによって正味の仕事、価値がある仕事の比率が高まるということですから。

本当に簡単に言えばこういったことかなというふうに思います。

 

それらはJIS規格で品質マネジメントシステムに関するJISにおいて定義があります。ひとつ参考にです、見ていただければと思うんですが、継続的カイゼンというのはこうこうこういうものであるというふうに書いてあります。特に先程セブンイレブンの例でも言いましたが、セブンイレブンの例というか、コーヒーマシンの例で言いましたが、問題を見つけて対処するという、一番現場に近いところだけではなくです、えーと組織やシステムのプロセス全般において継続的にそれらが行われるように組織を挙げて行うものというふうに定義をされています。それゆえにカイゼンには認識および承認するという一番最後にありますけれども、認識をしないと進みませんし、承認しないと事業として行えませんからとかそういったビジネス上のプロセス、そのロジックが必ず組み込まれるべきだというふうに言われています。

これはJIS規格なので当然日本の規格ではありますけれどもISOにも同様のものがあります。

 

そして、このカイゼンという言葉なんですが、左は日本語でよく示されている改善です。これはもう日本人なので、わざわざ説明することもないと思いますが、右の方のアルファベットのKAIZENなんですけれどもこれはもともとです。今井さんというKAIZEN実施者で究者の方がアメリカでKAIZENという書籍を出版されました。


その時に今井さんは日本語の改善をそのままKAIZENにしても伝わらないなとということで、物事の悪いことを改めてよくすることがKAIZENなんだけれどもそれをし続けることがKAIZENであるというふうに定義づけて、非日本語圏でこの言葉が普及しました。

したがいまして、KAIZENというのはよくし続けること、またずっとやるということがわざわざ入っているわけです。日本人は何も言わなくてもカイゼンという良いことはずっとやり続けようというふうに風土としてありますが明文化されていません。欧米の場合、特に欧米、中国もそうなんですが、書いてないことはしなくていいので書かないとダメなんです。それが今井さん、非常に一番最初から気づいていらっしゃったようでして、こうゆう風に定義をつけられました。従って海外に行った時と日本でカイゼン活動、どっちが熱心にやってるかというと、言わずもがな海外に今はなってしまっています。

これは悲しいことなんですけれども、カイゼンする目がよく議題にあがります。何が無駄と判断できるか、何がトラブルカイゼン上のトラブルか判断できるよう目があるかないかと言われていますが、この目を持つためにもう一番最初はこのし続けるという風に思うことが重要なのでこの明文化は非常に重要だと思います。どこの会社でも明文化しているわけではありません。よくトヨタ生産方式の例で、うちはトヨタじゃないからできないという言葉もよく聞きますが、別にトヨタだけができるわけでもないわけです。この明文化して社員に浸透させるというところが一つのキーじゃないかなというふうに思います。

 

そして、現場カイゼンというのは対象範囲によって主体が変わってくるという特徴があります。下に図を出しましたが、下の方から担当業務、部門、全社という風に層を分けました。それによって、動く人間の種類が変わってくるわけです。それと合わせてカイゼンの難易度というのも当然変わってきます。

ここでこのレイヤーがあるということを想定すると、例えば給水活動を現場でやっているけれどもなんていう言葉は聞きますが、担当業務内の給水活動というのは私個人の見解にはなりますが、あまり意味を成しません。何故ならば、担当業務の中で閉じてしまうと、活動したことが良かったかどうかの評価が伴わないのでどんどん形骸化してきます。

なのでTQCトータルクオリティマネジメントクオリティコントロールというふうな概念で全社からやりましょうという風にしていますが、基本的には全社で執り行うことが最良であると思います。その時にトップダウンで行うかボトムアップでとよくこの議論はありますが、もう結論は決まってまして、両方がないとほぼうまくいかない、どっちかだけでうまくいっている例を私が見たことがないだけかもしれませんが、トップダウンとボトムアップは重要です。特にボトムアップが強めの方がうまくいくと言えると思います。

で、この文章の中にです、やりにくいので作業方法のこの部分を変えてみた、といった小さなカイゼンは作業者個々のカイゼン対象となっていますと書きました。これがさっきのコーヒーメーカーもそうなんです。けれども実はこの一番下のカイゼン現場のカイゼンというのが効果も高く、それ以上に個々人がカイゼンの目を持つという意味で非常に評価できる活動だと思いますので、まずはどの会社もそこから取り組むことを私はお勧めをしています。

しかし、大きなカイゼン成果、例えばコストをドーンと下げるであるとか、人員を半分にするということは、現場の小さなカイゼンでは到底成り得ません。そこの部分はトップダウンの采配も必要になりますから、このバランスというのはもうちょっと後触れていきたいと思いますが、重要です。が、何にせよ一番重要なのは、現場の皆さんが小さなカイゼンを積み上げていくこと、これはもう間違いのない事実です。

 

カイゼン活動の活性化のポイント

カイゼン活動の活性化のポイントなんですが、もうすでにカイゼンをやっているよ、という会社の方はこれを参考にしていただいて、まだやったことがないよ、ということであれば、カイゼン活動を始めるとこんな問題があるんだなというのも、ちょっとイメージしていただければと思います。

まず、非正規雇用者も参加できるカイゼンでないと頭打ちをします。これは先ほども言いましたように、現場のカイゼンで、最前線で働く方で、非正規雇用の方が多い現場もたくさんあります。物流もそうですし、製造もそうです。そうなっていきますと、非正規雇用者が持つカイゼンのノウハウ、というものは非正規なだけにそのまま流出してしまいます。

会社に残らないです。非常にもったいないです。昔はカイゼンをするよりも人に入れてで対処した方が結果的に大きな効果が出ると言われる時期もありましたが、昨今です、まず人件費が高くなったことも挙げられますし、今後中小も含めて始まっていく同一労働同一賃金の観点から見ても非現実的です。

従って、非正規雇用者も含んだカイゼンというのはもう欠かせないと思います。

次に作業者自身による小さなカイゼンを評価すること。これはいろんな会社にいってもまちまちなところもありますが、小さなカイゼンを評価してる会社でカイゼンが進んでいないという会社はありません。

逆に、小さなカイゼンを評価しない会社で、カイゼンが進まない会社はいっぱいあります。個別に連絡していただけると紹介できますけど、何かというと小さなカイゼン、例えば普段電話機を右側に置いてないけど、左に置いた方が左手で取るのに効率が上がった。これ、非常に小さなカイゼンです。

でもこの小さなカイゼンにみんなが気づいて、みんなが始めるようになって評価をしたとします。それによってみんなが乗ってくる活動になったとすれば、これはかなり大きなムーブメントになります。逆に、成果額がカイゼンをしたことによって例えば10万円ポストが下がった、20万円が下がった、100万円下がったと質で評価をしてしまうと、腐ってしまう方がたくさん出てきます。

従って、小さなカイゼンは数値の評価になると考えますし、そのように取り組んでいる企業もたくさんありますから、ぜひそこは参考にしていただきたいなと思います。後ほど、実際に世の中の企業さんがどのようなカイゼンを、点数を出して、どのように評価しているか、という資料もお見せしたいと思います。

3番目に書きましたが、作業者の変化への対応力を引き出す。日本の会社は非常に難しいです。

中国の躍進と最近言われますが、なぜ中国がすごくカイゼンができて、日本ができなくなってしまったのかと言いますと、現場って今ここにコンベヤー生産をセル生産に変えた写真、絵を描きましたが、こうしようと思うと、日本ではかなりの承認経路が必要だと思います。

あそこに確認して、ここに確認して、そこに確認してということになりますが、例えばトヨタ自動車を例に取りますと、現場の裁量というのはちゃんと与えられています。それに、いきなり全部を変えるのではなくて、一部分だけをテスト的に行ってみて評価をした上で大きなカイゼンに移っていくというプロセスが認められていますので、皆さん小さなカイゼンの日々やっています。このようなかんです、これはトヨタの例ですが、自社でも取り組めるところというのはいっぱいあると思います。のでぜひこういった他社事例も参考にしながら作業者の変化への対応力というのを引き出せるような組織作りです、これは活動というより組織作りになると思うんですが、もう取り組んでいければというふうに思ってます。

 

そして、このカイゼンと今入っておりますが、カイゼンは昨日今日始まったものではありません。本当はこれだけでも、そうです1回90分の1コマの授業で大体15個まで2単位の6単位ぐらいの授業ができるぐらいの重厚な内容なんですが、数分で終わらせたいと思います。

 

カイゼンの歴史


もともとカイゼンというのはここにありますように、1900年頃からというふうに大体どの書籍もなってるんですが、それ以前はカイゼンがなかったのかというと、そんなことはありません。もちろん様々なカイゼンがありました。日本の古い建築物を見ても、古いそうです、

道路を見ても、上下水道やインフラを見ても、様々なカイゼンの跡は見られるんですが、組織として生産性を向上させようということは1900年頃から始まったと言って過言ではありません。この理由は、1900年以前要は産業革命よりも前は大量生産ではなかったので個々の品物をコントロールすることがメインでした。

また、職人さんがオーダーに合わせて作るとかそういったことになります。産業革命が始まってから、エネルギーが使えるようになりましたので従来一人で1個しか作れなかった例えば壷が、エネルギーを使うことで、一人で1万個作れるようになったとします。そうしますと、ミスをした時に昔は1個のミスで済んだんですが、いきなり1万個のミスが起こってしまうということになりますので、じゃあここがミスが起こらないように管理をするということが、仕組みが必要じゃないかということでIEインダストリアルエンジニアリングというものが立ち上がりました。

もともとIEについては後でも触れますが、誰か1人が勉強してあるいは誰か1人の研究をしてできたわけではなく、複数の研究が集まって能率を高めるための学問としてIEというものができました。それが表にあるように1911年です。

日本に入ったのはそこから数年後です。比較的早い段階で日本もIEに取り組むようになりました。記録が残っている中ですと、富岡製糸場でありますとか、あるいはそうです、ライオンなんかが非常に有名です。歯ブラシ工場でIEを使って省スペース化を行ったなんていうが記載もありますが、非常に古くから、そしてずーっと使われていますね。

そのIEというものをフォード社は自社の仕組みに取り込みました。これがフォード生産方式です。あの有名なT型フォードを大量生産する中で生まれてきた方式です。ではこれらをトヨタ生産トヨタは採用したんですが、フォードとまったく一緒にはしませんでした。

これもあとちょっと触れたいと思います。で、そのトヨタが作ったトヨタ生産方式というものを今度はアメリカの方に持って帰って研究した人がいました。マサチューセッツ工科大学の研究チームだったのですが、その方たちがより汎用的に、みんなに使えるようにということで研究し直したのがLEANです。

で、この研究し直して汎用的になったので、製造の枠を超えてさまざまな分野にLEANの方式が移っていきました。建設にいくとリーンコンストラクションという形になりますし、あるいは起業家会社を作る人ではリーンスタートアップという手法を使われる方も多いです.

はたまたこれがコンピューターの開発の部門に行きますと、アジャイルというような形に姿を変えました。

しかし、アジャイルにしてもLEANにしても、その本の中に元ネタはトヨタ生産方式であるって書いてありますし、トヨタ生産方式はトヨタ、生産方式はIEに基づいたものであるというふうに書いてあります。だからずっとつながっているということをご紹介したかったわけです。

下の方にです、FirstMachineEdgeと書いてますけれども、要は産業革命があってSecond  Machine Ageと書いてますが、インダストリー4.0にはソサエティー5.0というところありますけど、このような時代の流れもどんどん変わっていく中、でもIEというものはずっと使われているということはぜひ知っておいて損はないと思います。

 

この現場カイゼン、今日は進め方について話してるわけですが、どのように進められているかというちょっと具体的な例を言いますと、生産性を上げるためにインダストリアルエンジニアリングまたは、それを活用した各種生産方式を使っています。有名なのがトヨタ生産方式TPSなっていますね。


あるいはLEAN生産方式、SixSigma、TQCあとは5s。これはちょっと手法と方式を混ぜて書いているのでややこしいかもしれませんが、こういったことがよく生産現場で使われていることです。また、これらを自社の中で融合して、さらに会社の中に使いやすいように規定し直したものを持っている会社もたくさんあります。

 

自社の名前を冠したカイゼン活動。トヨタ、ボッシュなど

これはあくまで一部なんですが、ボッシュであるとか、日産であるとか、クボタであるとか、それぞれTPSのいいところ、SixSigmaのいいところ、こういったものを採用しながら、自社なりの生産システムを作っていく、こういった取り組みはたくさんあります。なので皆様方が現場カイゼン活動を始めるにあたって1つオススメしたいのが、自社なりの名前を付けていくというのも特徴じゃないかなと思います。そうすると、思いの入れ込み方が強いんだよなんて、ここに書いてある会社さんなんかでも言われてましたのでひとつ参考になればいいなと思います。

そしてこれらすべての方式、手法の共通点があります。一番下にも書きましたが、現状の測定ないところにカイゼンはないということです。トヨタ生産方式は特に測定を重んじています。現場を観測するための人員が現場に行って現地現物主義とよく言いますが、現場のことを記録して、それをもとに物事を進めていきます。

創造であるとかシミュレーションということは基本的にはまったく行いません。現地で見たこと、現地で測ったことがすべてであるというふうに考えています。LEANも同様です。SixSigmaというのは統計手法を使います。なんでも統計も、大元であるデータを取得しないことには始まりませんから、やはり測定が必要です。QCもそうです。現場の観測をして、現場の問題点を見つけてということになります。5Sはいわずもがなです、いわゆるきれいちゃんと標準の中に収めるということですよね。と考えますと、測定というのがどうもカイゼンのキーになりそうです。

測定ができている、できていないに関わらず、測定がまず必要だということは共通だと思います。

 

測定をして何をするのかなんですけれども、いろいろありますけれども、ここでは現場カイゼンというのとすると、現場の仕事の時間を測って、この3つに分ける行為、これを測定とします。この時間を3つに分けるというのは稼働、非稼働、準稼働と今回は書いていますが、企業によっては付加価値のある時間、付加価値のない時間など、というような言い方もされます。

要はです、製品に対して無駄な動きか、そうでないかということを分けていきましょうということです。これがもう基本の基本になります。

 

カイゼン活動「現場観測」の例

現場観測の例をちょっと出してみたいと思います。

 

これはBroadleaf社が作っているソフトウェアの画面を持ってきましたが、別にこのソフトじゃないとできないというわけではありません。画面の中、今マウスカーソルを動かしましたが、ここにビデオが流れます。で流れたビデオを見ながら、作業の結節点です。

例えば置くとか、開けるとか、繋ぐとかそういう作業があると思います。そのたびにクリックをしてステップ分けをしていきます。これを要素分けとIEでは言うんですが、この要素に分けます。この分けた要素の中の仕事の価値があるかないかということをチェックをしていきます。


まあ、無駄な動きがあれば赤でしょうし、有効な動きであれば青でしょう。しょうがなくやってる仕事は黄色です。で、このように分けていて、かつ青い仕事の中にもムダな仕事が含まれている場合がありますのでここは赤の帯になってますが、このように時間を計るとこれによって先ほどのグラフ、簡単に作れると思います。

別にソフトがなくても、現場を見ながら、あるいはビデオに撮って、あとExcelでチェックしていく、これもまったく同じことだと思いますが、こういったのが現場観測の実際です。で、そこからプラスアルファ、オマケといいますか、よくありますのが要素それぞれの作業要素に対してコメントをつけていくこういったことによって技術の伝承であるとか、マニュアルに使ったり、というふうな応用も企業ではよく行われています。

 

また、先ほどみたいに要素で分けておいたAさんとBさんがいるとすると、その2つを比較して、どちらの作業がより良い作業なのか、という評価ができます。そして、より良い作業同士を組み合わせて新しい作業を作るということも、さまざまな会社で行われています。

例えば、Aさんが10分かかる仕事、Bさんが10分かかる仕事、なんだ一緒じゃないかと言いたいんですが、要素単位で見てみると早い遅いがありますね。早い遅いというのは何も無理をしろという話ではありません。楽に仕事をしている者同士を組み合わせることで、さらに楽で生産性の高い仕事というのができると、こういった風にああ、いいよという順々にして現場観測を行われてるということもよく見受けられます。

 

また、最近はサイバーフィジカルという言葉がよく出てきます。まあ、リアルとバーチャルといってもいいかもしれません。例えば、シミュレーターと現実を組み合わせるのでありますとかあと、シュミレーターで作ったモデル、今回の画面で言えば塗装シミュレーターです。塗装の練習をしている右側の方で実際に何を吹いているかというと、左のバーチャルの画面を示してますが、こういった比較も尺度を同じにするために要素を一緒にしておいて、この仕事のときこうやってるということに使われる、これはもうたくさんいろんな会社で取り組まれている、ちょっと最近のカイゼンかなというふうに思います。


こういったことでカイゼンの基本というのは安易にあると言っていいと思います。ああ言えば、それだけでもものすごい額注範囲が広いものですから、全部お話しすることは当然できませんが、概略だけお伝えしていきたいと思います。

 

カイゼンの基盤技術「Industrial Engineering」

カイゼンを始めるにあたってIEを知ることというのが結果的に近道だと思います。当然、私の今回の時間だけではありませんが、ネット上に有益な情報もたくさんありますし、またご質問とあれば色々のお受けできると思いますのでここでは概要と言いますか、アウトラインをお示ししたいと思います。

ここはもう先程まで言っていることと同じで、19世紀ごろからできているよという話です。で、科学的管理法というふうな名称でご存知の方もあるかもしれません。

すいません科学的管理法の本を出そうと思ったんですが、ちょっと手元になかったんですけど、えーとテイラーさんという人が書いた本が非常に有名です。で、これを日本はコツコツずっとやっておりまして、これが日本の強さの源泉であるという研究が世界各国でなされています。

 

このIEというものは2人の研究者がベースになっています。ギルブレスさんとテイラーさんと書いていますが、この2人は能率を向上させるための、能率を測定するための手法が違います。ギルブレスさんは動作の研究です。有名なのが、レンガの職人さんがレンガを積み上げていく動作の回数とやり方を記録して、一番要領のいい人を導き出して、それを標準化していくということをされました。


対してテイラーさんは、ストップウォッチを使って作業者の時間は測って、速い人と遅い人の差を見つけて、なぜこの人は速いんだろうということを追求していたということです。時間のアプローチと動作のアプローチ、アプローチは違えども、同じなのは差を見つけるということです。

最良の動作を導き出すために、現場の速い人と遅い人の差を見つけると言ってもいいと思います。この考え方が今も当然有効で、さまざまな生産方式に使われているということです。

 

そして、IEの目的です。IEって私先ほど説明したかな、インダストリアルエンジニアリング、産業工学、あるいは経営工学と言われますけれどもこのIEの目的というのは、企業活動の目的と同一です。要は、ROI、ROAを向上させると、スッキリ言えば儲けるということになると思うんですが、そのためには手段と目的、という連鎖があります。

例えば、ROAを向上させよう利益率を上げようと思えば、原価を下げないといけない。原価を下げるためには何ができるかという中に、例えば品質保証というものがあるかもしれませんね。品質保証をするためにはQCという方法がいいでしょうし、設計を変えるということも考えられます。

これにはバリューエンジニアリングが役に立つと思います。あるいは、資本回転率を上げるためには、設備投資を抑制削減する必要があります。そのためには設備に長く働いてもらわないといけません。そのための方法は設備の保全です。これはTPMという手法があります。トータルプラントメンテナンスです。これらの画面で見ますと、水色で書いてあるものというのは手段です、目的はその上にあるものなんですが、IEというのはどこに位置づけられているかというと、標準時間を作る、もっとも効果範囲の広いところを司っている手段です。

標準の時間がありますと、そこから逸脱したときに何かの理由があります。例えば、技量が伴っていなかった、あるいは工作機械の不具合かもしれません。入ってきた材料が変わったこと。によって標準時間が守れないとかあるかもしれません。どちらにせよ、標準が仮にあれば、それを管理指標にすることが容易であるということであります。

なぜその標準作業を作るために先ほど言ったような現場観測は行いますし、それがカイゼンにつながっていくということです。

 

冒頭言った稼働、非稼働、準稼働などの時間の分析というのをするわけなんですが、その中にはムリ、ムダ、ムラというものを見つけるということがあります。ムリ、ムダ、ムラ、3無とかだらりとも言いますが、これはです、ここに書いてあるようなことなんですけど、なかなか理解が難しいので絵にしてみました。

無理というのは当たり前ですが、目的と手段のバランスがとれていない、ムダもそうです。例えば、そうです軽トラックに2トンの荷物を積もうというのは無理だと思いますし、逆に2トンのトラックにミカン箱1個積むというのは無駄だと思います。

これってどうやったら解決できるか皆さんもうお分かりだと思うんですが、例えば軽トラックに2トンが無理なんだったら2トン車を持ってくる、あるいは2トンの荷物を350キロに分けるという方法があるかもしれません。2トンのトラックにミカン箱1つで運ぶのが無駄なんだったら、ほかの荷物積むか、他の手段で運ぶか手で運ぶとかすればいいと思います。

今言ったことというのはカイゼン策ですよね。具体的な話なのでムリとムダは見つければ策があります。どこの会社でも、どこの現場でも、その策に従って解消していくものと思うんですが、実際の現場では一番右にあるムダが発生していることが多いです。

ムリとムダは先ほども言ったように、見つけてしまえば対処法は必ずありますが、ムラはわからないんです。なのでまず、一番最初にやるべきは、発生しているムラ、これがムダなのかムリなのかって分けていく作業です。これが現場観測に含まれていることです。


例えば、速い人、遅い人、いろんな人が会社にいらっしゃるとしたら、そこにはばらつきが発生しています。で、そのばらつきをしてばらつきが広いところ。というのは難しい作業なわけですから、そこを抑制する方法ってのを考えましょうということです。そこがムリかもしれませんし、ムダかもしれません。そういったことをしていくということです。

 

よくあるのが、何をもってムダとするかという話です。基本的に作業現場はムダな仕事はないと皆さんに言われると思います。なぜならば、ムダな仕事があったらやめてますからね。ムダを。でもです、ここでいうムダというのは、1つの考え方があります。

 

付加価値のない、あるいは少ない動きがムダだということです。こうやって書くと、付加価値と言ってもこれわかんないってどこでもよく言われますのでちょっと図にしたものがあるので見てみたいと思います。

 

今、図を出しましたが、付加価値というのは何なのかということを各社で定義をぜひしてみたいと思うのですが、製造業の場合、仕入れた材料素材です、設計図に基づいた情報を付加して、製品として、後工程、あるいはお客様に渡すということをすると思います。例えば私、ここにマウスがありますけど、このマウスの原料は推定100円かかってないぐらいだと思います。プラスチックだったり、電子基板だったりしますが、これらに設計図に書いてある加工を施しますね。丸くするエンボスにする、それを電子基板をつける等々の加工をして、私が買うと100円だったものを私が1500円で買うわけです。けれどもじゃあ、この差額の1400円というのは何で生まれたかというと、付加価値、これも要約すると設定図に書いてある内容を材料に転写している作業です。これが価値を生んでいると考えます。そうすればとてもすっきりしまして実際の話なんですが、例えば製薬会社ですと、予定している情報は設計情報を材料に対して加工するわけです。これをしていない時間というのが全体の2割ぐらい、従って正味の仕事が8割、無駄が2割ということです、であると言ってらっしゃいます。ある自動車工場の組立ラインですと、うちはムダが4割あるこれを何とか3割にしたいと言われています。である鉄工所です、大きなところなんですが、うちは加工している時間とそうでない時間でいえば、そうでない時間が8割あると。これを何とか7割にしたいと言われています。このようにです、ムダが多いからダメとかいう問題では全くありません。現状を把握して、自社の製品の付加価値を向上させる時間はどれぐらいなのか、というのを考えてみるというのは非常に重要だと思います。

これがカイゼンの1つの基準になりますし、全員の共通の知識になりますから、これが高いからいい、低いからいいということでは当然ありませんので、何よりも付加価値というのをオーソライズする、これが重要です。これを今出した図は、東京大学の藤本教授が非常に生産技術、すり合わせ技術の方で有名な方ですけれども、そちらの方でも確認できるのでお時間があられる方はぜひ東京大学藤本教授で付加価値とかやると、多分出てきますなと見ていただければと思います。

 

そして、カイゼンに使われる、先ほども出した配置チャートですけれどもムダだとか、付加価値のない作業だとかというものを書いてありますが、この中でも分析をするだけですぐに省けるものとそうでないものに分けられます。これは先ほどのビデオを使った観測なんかをするとよくわかるんですが、止めることができる仕事というのは当然やめればいいですよね。で、しょうがなくやっているんだけれども、ゆくゆくなくしていきたいねということも明らかにしておくべきだと思います。したがって繰り返しになりますが、現場観測、現場の仕事を観測するというのは非常に重要であります。で、トヨタはです、トヨタに限らず、トヨタ生産方式を用いてる会社は、正味作業時間比率、だから設計情報を転写してる時間の比率というのを最重要にしています。そうでない時間はすべてムダであると、だからもうなくすべきである、ゼロになるとは誰も言っていません。ただ、なくすべきである。というふうに定義をしています。

 

そして、先ほども話しましたが、テイラー、ギルブレスから始まったということで、様々な方が様々な言及をされているものが融合していて、インダストリアルエンジニアリングになったということです。この中でもです。皆さんも聞いたことがあるなという人はいると思います。

例えば、ヘンリーガントっていうのは名前言ってもわかりませんが、ガントチャートって聞けば、棒で引くやつかっていうふうに出てきそうなもんですし、ウォルターシューハートって聞くと知らんって言われる方もあるかもしれませんが、PDCAサイクルといえば知ってる知ってるという方もあるかもしれません。それぐらいいいカイゼン技術というのは実は身近で当たり前に使ってるものもたくさんあるということをちょっとご紹介したいなと思いました。

 

そして、IEの中なんですけど、詳しくは今回触れられませんが、IEというのは2つの柱でできているということです。メソッドエンジニアリングとワークメジャーメントという2つなんですけれども今私が話していることはワークメジャーメントです。要は測定の技術です。

測定し終わった後はメソッドエンジニアリング、どのようにそれを分析するかというのが重要になりますが、これがトヨタ生産方式やLEANなどでは、明確に書いてあるのでそれらを採用される会社が多いんじゃないかなと思います。

 

そして、分析をするときに非常に重要で、かつカイゼンに関係することをちょっとお伝えしたいと思います。先ほど要素に分けると簡単に言いました。例えば、つかむとか、話すとか、開けるとか言いました。マニュアルでいえば、1.何をする2.何をする、その1と2になりますが、どの細かさで現場を測るかということは結構皆さん悩まれるとこではありますが、実はこの分け方というのはJIS規格にも規定がありまして、1から6までのレベルでだいたい分析をされます。

 

その1から6までってJIS規格でいうと5までなんですが、6は私が勝手につけましたけれども1というのは一番小さな単位です。例えばつかむとか話すとか、そのレベルまで細かい話です。5段階の工程というと、もう全部です。わかりやすく言うと、折り鶴を私が折るとします。工程で表現すると、折り鶴を折る工程1個に終わってしまいます。で、一般的な折り鶴の作業マニュアルというのを見ると、例えば紙を半分に折る、それをまた半分に折る、ひっくり返して何にするとこう書いてあるのは、だいたい16から18工程書いてあります。

18要素書いてありますね。これが大体第3段階の要素作業の細かさです。第1段階の動素と書いてあるのは、折り紙でいうとだいたい300から400ぐらいの工程になります。紙に触れる、紙をつまむ、紙を引く、そこまで細かいことを示しています。


なんでこういうふうに分けているかというと、ムダ取りをすると考えたとき、価値のない仕事を省くと考えたときに、要素作業、例えば13個のマニュアルがあり、要素があるマニュアルがあったとしたら、それを12個にすることというのはできないと思います。そうすると折り鶴はできません。しかし、300個要素がある折り紙マニュアルを280個の内容にすることはできるかもしれません。右手で紙をつまむ、左手で紙をつまむと書いてあるところを両手で紙をつまむにすれば、それだけで一個減りますし、その要領で作業を縮めていく。

これがトヨタ生産方式の真骨頂ですし、一番コストが下がる、一番カイゼン効果が高いところです。で、この方法のカイゼンのいいところはもう1つあって、作業自体が洗練されていく楽なものに変わっていきますので作業現場の方がウェルカムになるという大きな特徴があります。

故に、トヨタ生産方式を有効に使っている企業はここが上手いというふうに私も感じています。まあ、今回の話ではです、このような分け方があるということをお伝えできればいいと思ってますので詳しいことはまた別の機会にということになりますが、このように分析をしていくということです。

 

また、もう1つの方法でMOSTを例にとりましたが、MDMさまざまな名前、いろいろな方法がありますが、現場観測をしないでと見積もりをする方法の確立しています。現場をビデオに撮って測るというのは、さっき私が行ったトヨタ生産方式の方法ですが、こうではなく設計情報から工数を導き出すというのがあります。例えば設計図を見ればどこを折らないといけないか、どこに穴を開けないといけないかというのはわかりますので、それに対しての動作を紐付けていって計算をしていくという方法があります。これは1つの例として MOSTというものを出しましたが、例えば2番目の14メーター歩いて床上のドラム缶を取って、11メーター歩いて両手で床上に置くという動作があったとしたら、それぞれの動きに対してシーケンスというものが決められているものがありますから、ここにのAの何とか、Bの何って書いてますけどね。そういう計算すると時間が出てくるということです。こういった方法もありますが、トヨタ生産方式ではまったく見積もり法は使いません。現実の観測、これがモットーになっています。どっちがいい悪いの話ではなく、会社によってやり方はあると思います。

 

基本的なIEのテクニックというか、やり方なんですけれども、もっとも最初にやるべきはカイゼン対象の選定です。その後現状の分析をして、改憲案を検討して実行するという流れになるんですが、それぞれにやり方がありますのでこれもちょっと遅れていきたいと思います。

 

今まで話していたことというのはです、ここにKKDからKKDと書いてありますが、これは慶応大学の吉本先生のパクリなんですけれどもパクリって言ったら怒られます、教えていただいたことなんですが、経験・カン・度胸から科学的・管理・データへしていこうじゃないかという動きです。

で、この継続的な動きというのができないとカイゼンができないということですのでぜひです科学的に管理できるデータへ現場の仕事を移管していくということをしてみてはいかがでしょうかと昔は言ってたんですが、最近です、ソサエティー5.0時代になりまして、サイバーフィジカルという言葉が言われています。

フィジカル、現実の情報をできるだけデータ化するということが求められてますので、もうまさに同じことを言ってますから、ぜひ前者の取り組みとして行われると生産性も上がると思います。

 

そして、カイゼンというのは何度も言いますが、課題を見つけることです。課題を見つけるために観測をするというのが基本的な流れになりますが、そこでよく出てくるのがです、5S・3Sの話なんです。例えば5Sをすることでカイゼンが進む、5Sをしないとダメだ、5Sが一番にいい、いろいろな意見がありますが、私個人の意見を企業さんに言ってもよくお話をしますが、5S・3Sというのは基本なのです。だから必ず必要なのですが、度を過ぎた5Sや3Sはまったく必要かないというような説明をします。

なぜかと言いますと、きれいにするということ自体には意味がないと思いますきれいにしたいからするというのは別の話です。ただ、生産性という意味で言いましょう。必要なものを必要なときに取り出せるようにしておくことが重要ですので、それを超えた清掃というのはいかがなものかと思います。整頓も同様です。こういった意味でいうとです、手段を一生懸命やることによって目的がぶれてしまうということもよくありますので、あくまで5Sや3Sというのがベースであるというふうに、私はこれからの話もしていきますので、もしです、会社の中で5Sが一番大事だと言われたら、それを否定するわけではありませんが、5Sの上にカイゼンが必ず載っているということです。

 

そしてもう一つ大事なことがカイゼン。というのは生産現場で行われることが多いわけなんですけれども、仕事というのは全部つながってるわけです。設計があって、調達があって、生産があると。で、生産でいくらカイゼンをしても、実は原因は1つ手前にあることが多いです。

調達にあるかもしれません。調達の不具合というのは、設計に原因があるかもしれません。ということで連鎖しているということがありますので全社のカイゼンが必要だと思います。

 

で、それらのことをちょっと図にしましたが、例えば生産現場の課題っていうのを解決しようと思ったときには、調達の人・設備・材料・方法・エネルギー・土地・建物と書いてますがリソースです。え、こういったものに原因があることもあります。はたまた上流の設計にあるかもしれませんので必ず課題を見える化して、自分のセクション以外のとこにも見えるようにしていかないと、真因は解けないことが多いです。

冒頭話したQC活動を閉じた小さな活動にしてしまうと効果が生まれないというのは置いたところに起因します。そして、各部署を横断で評価できるような項目を作ることを推奨しています。トヨタ生産方式やバリューエンジニアリングで用いられている評価項目を目の前に出してきました。

P・Q・C・D・S・Mです。これじゃないとダメだというわけではありませんが、1つの例として、こういったものを使ってみてもいいと思います。何かをやろうと思った、あるいは課題が見つかったというときに、それは生産性の課題なのか、納期の課題なのか、安全性の課題なのか、というのを明確にして、それがカイゼンできたかどうかを評価するというための項目でこれらを全社統一で使っていると、セクションがまたいでも有効な評価になっていきます。のでぜひこういった制度の設計も考えてみてはいかがでしょうか。

 

また、計画と統制という言葉も重要になってきます。計画というのはまとめを計画すればいいわけなんですが、それを統制する、評価するときには同じもの、同じような流れでやらないと当然評価できませんよね。

なので計画だけしてもダメですし、実行だけしても継続的なカイゼンとはいえません。それを統制する仕組みリソースかもしれませんし、あるいはコストかもしれません。人員かもしれません。そういったものを手当てする必要が必ずあります。


そして冒頭お話ししたテイラーさんとギルブレスさんの手法を使った方法研究、時間研究を使った現場分析というのがやっとスタートします。それで現場を見ることによって先ほど得たP・Q・C・D・S・Mという評価も機能してくると思います。

 

問題解決に用いる「ECRS」

 

そして、問題点が発生したとき、どのように対処するかの基本的なメソッドとしてECRSというものがあります。これを英単語の頭文字を取ったものなんですが、何か問題があったとき、例えば現場観測をして早い人、遅い人がいたとか、無駄な動きがあったとか、これをどうやってなくしていくかというときに、日本人はとかく簡素化しようとか、カイゼンしようとか言ってしまうのですが、このECRSというフレームワークを使うと非常にシンプルです。これの優れているものは順序が規定されているということです。

Eをやって、Cをやって、Rをやって、Sをやるんです。Eって何かあったら排除、やめてしまえという話です。それができないのであれば結合、それができないのであれば置き換え、それができないのであれば簡素化ということで順序が決まっていますのでそれを見るだけで、どこまで進めていけるか、要はコストをかけられるかというのも判断つきますし、何よりやめてしまえることが一番いいのでやめてしまうところと割賦します。

 

またトヨタ生産方式、LEAN、シックスシグマ、IEすべて共通なんですが、工程を図で表すということもよく行われます。

要は絵にして書いてみるとその絵で判断できますよね。どこか重複している作業かとか、どこで停滞が起こっているかでその絵に関してルールがありまして、これは国際的に共通化したルールですのでグローバルな会社であっても、外注先であってもです、メーカーさんであっても、双方同じ意思疎通ができるように規定をされているものです。

こういったものもフローで書けるようになりますと、非常に簡単にカイゼンができるようになります。

 

現場のカイゼン事例

いくつか現場の事例というのを持ってきましたのでご覧ください。

まず、これは岡山県にある丸五ゴムさんという三菱自動車のサプライヤーの会社なんですけれどもコンマ1秒単位の動作解析で、1工程数百万円のコストが削減できたということを言われています。実際に工場の方にも私もいましたけれども、まず、小さな解析っていうのがどれだけ効果があるか、この会社の部長さんが切々と説明をされまして、もうほんま数秒が大事なんだって言われて、いや、そんな面倒くさいじゃないですかって言ったら、めちゃめちゃ怒られましたけど。

実はコンマ数秒でずーっと動いているマシーンというのは、企業によってはたくさんあると思います。プレス機であったり、成形機であったりとか、そこが本当に例えばコンマ5秒カイゼン善することによって随分と変わると、なぜならばそこが全体をコントロールするボトルネックである場合もありますから。

この会社はボトルネックである機械がです、よりよく動くようになったということです。それは人による再起動が関与しているので遅かったということもあるんですが、こういった細かい単位で時間を計るというのは重要だと言われてました。

 

あとはトヨタ紡織さんです。ここはもうカイゼンは我々がどうこう言う前から、ものすごくもう徹底的にされてる会社なんですが、それでもです、生産効率が25パーセント上がったというのは、私はびっくりしました。なんでですって聞くと、みんなカイゼンはやってるし、勉強もしてるし、いいんですが、第三者視点で作業を見るというところに時間がかかりすぎてたと、それを最近のスマートフォンでいろいろなビデオ機器を使うこと、によって25パーセント生産効率を上げることができたとのことです。

 

また、これはフジテレビの玉なんかを作っている菊川工業という会社ですが、ここは一品生産が多いんです、量産ではなく。この一品生産でも時間研究をすることによって生産効率が上がるんだと言われて私も行ってきましたが、いろいろ聞きますとこの会社ではコアな作業というのを規定しています。

例えば、切るとか曲げるとか、折るとかくっつけるとか、そのコアな作業に関しての個々の作業員の技量を管理されてました。例えば、フジテレビの玉というのはチタンの薄い膜で溶接されているわけなんですが、これができる方っていうのが会社の中でも限られた人で、それでも上手い方とそうでない方がいらっしゃるわけです。

じゃあ、このうまいんだとか、もっとうまくなったら当然制作時間が短くなります。ボトルネックは、人間の技量なそうなのでそういった管理を緻密にされることで営業上の見積合戦にも勝てるってちょっと笑顔で言われてましたが、そういった効果もあるようです。


あとは、富士通さんは開発のリードタイムを速くすることによって量産を速く取り込む、量産垂直立ち上げという言い方をされてますが、そういったことに動画のIEを使われています。どういうことかというと、量産試作です。量産をする前の試作、あるいは生産準備の時の試作の段階で、作業工程をビデオに撮ってIE分析をしておいてどの要素でどれぐらい時間がかかるかというのを見積もっておいて、地形設計で変えられるところは、もうそこで変えちゃうとかいう取り組みをされています。一部です、3Dのシミュレータを使いながら行われていますが、リードタイムが4分の1に削減できたかというのは非常に大きなことだということです。

 

あとはベットメーカーのパラマウントベッドさんなんですが、ここにありますように2つの図が出てますが、これはカイゼンで使う山積み表です。左から右に作業が進んでいくわけなんですが、赤い線がタクトタイムです。計画の生産時間だと考えてください。

計画の生産時間を超えているものがあると、計画どおりにものはできませんから、遅くなりますね。じゃあ、そういった作業をならしていく、あるいはムダ取り、カイゼンによって作業自体をなくしていくという取り組みをされてです、まず現状観測をしたときには、26人で一日108台ものを作っていたわけなんですけれどもで問題点が明らかになって、作業の順序を変えたり、一部自動搬送機で十分位を使われたり、ということもされた中で、19名で150台作れるようになった。ということです。これはもう億単位で効果が生まれているということですし、この会社の特徴、特徴でしょうけど、介護用のベッドというのは従来、病院からのロット生産が多かったんですが、今は小さな介護施設がたくさんあるそうですので注文ロットも小さくなっているそうです。なので段取りがたくさん起こる中で、台数が増えていったというのは、やはり作業分析による現状観測の効果が大きいと思います。

 

ここで冒頭ちょっと紹介した他の会社がどのようにカイゼンを進めているか、日本HR協会のデータからちょっとヒントをもらいながらご紹介していきたいと思います。

 

これは従業員一人当たりのカイゼン提案件数です。1位の会社240件、2位の会社133件一人あたりですよ。このように一生懸命やっている会社は非常に多い数提案を受けてます。しかしながらこれはあくまですごくやってる会社ということなので全社で平均をしますと、これは

回答者数は436件です。436件で平均を取りますと、一人あたり15.2件ぐらいカイゼン提案を会社に出しているそうです。まあ、一個参考ですけどね。15.2件出して、それの経済効果額がおおよそ1人あたり34万円、なんらかのコストダウンの効果というのが認められています。

参考までに報奨金額というのは1件あたり342円まあまあ平均額なんですが、面白いのが先程トップランカーであるのこの会社さんたち、ほとんど報奨額を設定してません。お金で何かインセンティブを与えるということはやっていないんです。

ここで強調したいのが、何もお金がもらえるからカイゼン提案をするというばかりではないんだなというのが実際私も感じているところですし、作業者の皆さんがお聞きしても、そのように言われてました。風土、風習、というのは1日にしてできませんが、このようなカイゼンを現場から上がってくるような提案が上がってくるような組織を作っていくことも重要じゃないかなと思います。

 

共通して取り組んでいる事項からヒントを得る

 

先程のトップランナーの会社さんも含めて、私が仕事でやらせて頂くところが多いのでそこら辺の会社は共通して何をやっていたかというのをちょっとまとめてみました。

 

まず5Sです。冒頭でも言いましたが、ただ5Sをやっているというんじゃなくて特徴だなと思ったのが、下に四角を付けてますが、6Sとか7Sとか10Sとか、自社なりの組み立て方をされてるのが非常に印象的でした。

日本電産は作法を入れて6Sだと言ってますし、東芝はしっかりしつこくを入れてとか。ゲーム機で有名なセガさんなんか、このように10Sにしたりとか要は自社で取り組む内容というのを5Sにとらわれず作っているのが特徴的でした。

 

他5Sはです、冒頭も話しましたが、様々な生産方式を始めていく基礎土台になります。

今、目の前に出しているのはトヨタ生産方式のよくある図なんですけれどもトヨタ生産方式のようなジャストインタイムと自動化というのを2つの柱として、7つの無駄の徹底排除を行って、原価低減と収益拡大後は適応能力の向上というのを狙うものなんですけれども、トヨタ生産方式がみんなみんなうまくいかないんだという声も正直聞きます。

 

これはなぜかという理由の一つに今画面に出しましたが、手段と目的というのはトヨタ生産方式の方を見れば書いてありますし、やってる会社に聞いてもわかるんですが、目的が達成した後のです、次の課題を見つけるためのサイクルというのがなかなか構築できないというのが大きな要因じゃないかなと思います。ここを埋めるのが1つ、現場提案活動だと思います。トヨタ生産方式の本の中にも少し触れてありますが、実は現場から上がってくる提案活動の意見というのが大きな力となってです、カイゼンが進んでいく例はたくさんありますのでぜひです、提案活動というのはこれからカイゼンを取り組まれる方は重要視されてみてはいかがかなを提案します。

 

そしてもう一つがモーションマインドという言葉です。これもJISに規定がある言葉なんですが、モーションマインドというのはここに書いてあるような能率的な方法を探求する心構えのことを指しています。

これをある会社の工場長が、これ面白いこと言ってたのが工場でのやる気だと言ってましたけれども確かにそうだなと思います。工場長が朝礼で君はやる気があるのかと言った時に、はい、やりますと言っても、工場長が持っているやる気と言われた人が思っているやる気が一緒だとは限りませんが、このように明文化しておくと、会社が求めている、あるいは製品が求めている、あるいは顧客が求めていることの1つにモーションマインドというのがあるとなれば、やはり齟齬が生まれないと言いますか、じゃあこれをやらないといけないの、あるいはできてないなということが言えると思いますので明文化の一つにこういったことも入れてみるといいと思います。うまくいっている会社は、やっぱりモーションマインドが高い会社が多いように感じます。

 

また、やっぱり結果と成果をうまく使い分けている会社が多いというのも印象です。実は成果というのは日本語の話なんですが、成果は良いことしかないので、悪いせいだという日本語が存在しません。結果、というのは好きにしろ行にしろ、結果なのでプロセスを見るという観点で言えば成果ということが言えるということはプロセスを見ているのといえるわけですから、必ずプロセス評価を含んだ成果という言葉が使えるような環境にして当社も思いますし、カイゼンの中でも重要かなと思います。

 

ここはちょっと飛ばしまして、カイゼンというのはこのステップで行われていることが多いということで、これは私がまとめて見たものではありますが、まず一番の問題発見から始まって、分析をして、問題点を抽出して、テーマを考えてとずっと待ってきましたよね。

で、よくPDCAと言われますが、えー1番から10番までがPです。非常にPが重厚です。で、実施11番です。これがDで、あとはCAなんですけれども、しっかり計画を立てるという意味でカイゼンというのは土台があって、そこを良くしていくことです。

よく間違えられるのが、イノベーションとか、全く新しいことをするというのとはちょっと意味が違います。ImproveMeltです。でこのような流れでカイゼンをしていきますね。そのときに重要なのが、先ほどお話ししたPQCDSMという指標どんな指標でもいいんですが、すべてのサイクルを流れる中で同一の指標で管理をしていくということです。

まず最初一番はPQCDSMと言いましたけど、そういったものや過去のデータPDCAです、こういったことを使って問題を見つけます。

 

そして効果の測定です。これは13番になりますが、それらの差を見ます。最初に測ったのと、カイゼンを行った後のもので、測ったときに、例えば時間がどれだけ変わっている、製品の不良率がどれだけ変わっている、いろんな見方はありますが、結局良かったときと前の時を比較して、その差をとってPQCDSMでどれだけ差が生まれたかと見ると、良かった、悪かった、変わらなかったという評価ができると思いますのでこういったことをやってみるのが一つの流れであると思います。

 

改めてカイゼンというのは、物事の悪い意味を改めて良くし続けることですので先程の13個のサイクルもどんどんどんどん回っていくものと考えます。

 

生産性向上というのは1つまとめて見ると、このように時間、、教育、、品、、質安全ができてはじめて結果が伴うということで、これを良くしていくのがカイゼンじゃないかなと思うんですが、その中にです、一つ難しいのが普通という言葉があります。

最後にこれだけ紹介して終わりたいと思います。

 

普通、というのは私が思っている普通と皆さんが思っている普通というのは必ずしも一緒ではないと思います。これは会社でも同じことです。これ先輩どうやったらできますか普通にやったらできるよ、この普通をできるだけなくしていくということが重要です。

で、一例を示します。

 

カイゼン活動に欠かせない、技術・技能伝承のとらえ方

技術というのはわざと技能に分けられます。技術というのは、教えられたことをやればできることです。だからマニュアルに書いてあることをやればできることです。技能というのは、書いてあることをやってもできないことです。わかりやすく言うと、コピー機の操作は技術です。

書いてあることやればできるんで、何か切削しているところの面だしこれはたぶん技能だと思います。ここの場でよくあるのが普通という言葉です。技術に関してはマニュアルを見ればいいので問題ないんですが、技能に関してはどうやればいいか、普通にやればできるなんて言葉もよく聞きます。

 

その中でこういったことがあります。これはうしろの子は6歳、前の娘が4歳です。女の子が自転車の練習をしているところです。で、この前の女の子はまだ補助輪が付いてますが、補助輪をとって練習をしました。

右に10回、左に12回転んだんです。ずーっと練習して、結局22回転んで乗れるようになりました。

喜んでるところにお願いを2個しました。

1つはです、22回転んだんだから、もう一回転んでって頼んでみたんですよ。だから本人はわかったって言いながら、結局5分経っても転ぶことはできませんでした。もう一個お願いをしました。それはです、僕が自転車に乗れないので教えてくれって頼んでみたんですよ。

そうすると娘はいいよってどうやったら乗れるん、普通にしてたら乗れるって。4歳児がいいんです。この2つのことから言えることは、一度身に付いた技術っていうのが技能というのは、もう元には戻らないということなんです。

これはカイゼンも一緒で、カイゼンが普通にできている人にとってみれば普通のことでもやってない人にとってはわかんないわけなんですよね。で、こういったことをどうやって埋めていくかというと、1つはビデオを撮って比較をしていくこと。

これで誰でもそのノウハウが身につくと思います。お金もかかりませんし、ぜひこれはすぐ取り組んでみられたらいいんじゃないかなというふうに思います。それとです。1回付いた技能というのはもう元に戻れないというのは今の4歳児の例でも分かりますので、ビデオがあれば、技能に頼らず、誰でもその情報をシェアすることができます。そういった動画を活用するということをぜひ考えてみられると、今回お話したトヨタ生産方式も含めた現場カイゼンがうまくいくんじゃないかなというふうに思います。

 

最後に

最後に有名な言葉で締めくくりたいと思います。

これはもう山本五十六元帥、非常に有名な方ですが、この言葉は有名です。

やってみせてから始まる言葉です、よく手拭いなんかにもあります。しかし、これには続きがありまして、このようになっています。


よく人材育成あるいはカイゼンの中で必要だとされていると言われる方も多いんですが、私もそう思います。

一番最初にやってみせから始まるところは、技術伝承。

二番目の話し合い耳を傾け、というところは技能伝承で、

三番目のやっている姿を感謝でというのは独り立ち、要は、もう教えられる立場になるわけですよね。これを別の言い方でいうと、守破離とも言うでしょうし、最近の言い方でいうと、OJTであり権限委譲であり、という話になると思います。


これはカイゼンをやる上でも全く同じことでして、勝手にやって好きに洗えでは必ずうまくいきませんからこういった姿勢、というのも重要になってくるかなというふうに思います。

まあ、いろいろお話をさせていただきましたが、時間になりましたので今回のセミナーはこれで終わりたいと思いますが、またです、次回次々回とご縁があることを願っております。長時間ですが、皆さんどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

 

セミナー紹介ページはこちら

https://www.monodukuri.com/seminars/detail/11972


この記事の著者

大岡 明

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。

改善技術(トヨタ生産方式(TPS)/IE)とIT,先端技術(IoT,IoH,xR,AI)の現場活用を現場実践指導、社内研修で支援しています。


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