ジャストインタイムと荷量:グローバルロジスティクスを考える(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ジャストインタイムと荷量

物流はサプライチェーンを支える重要なポジションですから、その要請を満たすように貢献することが課題です。その意味でジャストインタイム物流が必要になってくるわけです。日本国内では幸いなことに国土が狭いためにジャストインタイム物流は大変やりやすい環境にあります。工夫次第でトラックを一杯にすることもできますので、ジャストインタイムと物流コストセービングを両立させることができます。

 

一方で海外との物流では若干状況が異なります。物流に要するリードタイムが大きく延びるからです。海上輸送の場合は輸送リードタイムが長くなることは当然のことです。そこで優先課題はコンテナを一杯にすることといえます。前回ご説明したとおり、コンテナに合わせた荷姿モジュールでコンテナ充填率を向上させることができます。

 

同時にやらなければならないことは、コンテナが一杯になる荷量を確保することです。数量の問題です。これは意図的に行うことが望ましいと思います。場合によってはジャストインタイムより荷量を優先するケースも出てくるかもしれません。その一例として海外からの資材輸入が挙げられます。契約上、購入価格を抑えるために「コンテナ単位」で購入するという決め事があります。本来であれば1週間分のロットで購入したいところを2週間分まとめて輸入することもあるのです。

 

グローバルロジスティクスといっても基本的なことは国内物流とほぼ同じです。距離と輸送リードタイムが長くなる違いです。またこれはそもそも論となりますが、メーカーの場合はどこで生産したら物流上有利となるかは判断する必要があります。

 

これは物流費だけではなく、関税や為替などの要件も含めて考える必要がありそうです。単純に海外の方が調達コストが安くなる、といっ...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ジャストインタイムと荷量

物流はサプライチェーンを支える重要なポジションですから、その要請を満たすように貢献することが課題です。その意味でジャストインタイム物流が必要になってくるわけです。日本国内では幸いなことに国土が狭いためにジャストインタイム物流は大変やりやすい環境にあります。工夫次第でトラックを一杯にすることもできますので、ジャストインタイムと物流コストセービングを両立させることができます。

 

一方で海外との物流では若干状況が異なります。物流に要するリードタイムが大きく延びるからです。海上輸送の場合は輸送リードタイムが長くなることは当然のことです。そこで優先課題はコンテナを一杯にすることといえます。前回ご説明したとおり、コンテナに合わせた荷姿モジュールでコンテナ充填率を向上させることができます。

 

同時にやらなければならないことは、コンテナが一杯になる荷量を確保することです。数量の問題です。これは意図的に行うことが望ましいと思います。場合によってはジャストインタイムより荷量を優先するケースも出てくるかもしれません。その一例として海外からの資材輸入が挙げられます。契約上、購入価格を抑えるために「コンテナ単位」で購入するという決め事があります。本来であれば1週間分のロットで購入したいところを2週間分まとめて輸入することもあるのです。

 

グローバルロジスティクスといっても基本的なことは国内物流とほぼ同じです。距離と輸送リードタイムが長くなる違いです。またこれはそもそも論となりますが、メーカーの場合はどこで生産したら物流上有利となるかは判断する必要があります。

 

これは物流費だけではなく、関税や為替などの要件も含めて考える必要がありそうです。単純に海外の方が調達コストが安くなる、といった安易な発想だけでは失敗する可能性があります。物流だけで見てもコンテナ船の価格は2倍、3倍のレベルで振れることはよくあることです。為替が振れただけで儲からなくなった、という話も聞きます。

 

国内調達価格と海外調達価格のギャップがどの程度であればこのリスクを回避できるのか、十分な検討が求められます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
経営判断のための会計法「スループット会計」について

   スループット会計とは、キャッシュフローベースの会計システムで、需要の変化と製造から販売までのサプライチェーンのマネージメントとオペレ...

   スループット会計とは、キャッシュフローベースの会計システムで、需要の変化と製造から販売までのサプライチェーンのマネージメントとオペレ...


物流品質について考えよう 物流品質の向上 (その1)

1.工場における物流品質とは  工場の生産運営を物流が支えていることを考えれば、物流品質は常に高いレベルにあることが求められるのは当然と言えるでしょ...

1.工場における物流品質とは  工場の生産運営を物流が支えていることを考えれば、物流品質は常に高いレベルにあることが求められるのは当然と言えるでしょ...


SCMの定義と長期的価値

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライヤーの生産工程は自社の前工程:物流の改善ポイント(その3)

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...

  ◆サプライヤー支援 台車を使って在庫コントロールする方式を「台車カンバン方式」と呼びます。台車カンバン方式を導入することで秩序ある生...


生産計画とSCM SCMの本質(その1)

1.SCMと生産指示  サプライチェーンにおいては、必要なものを必要なタイミングで必要な数量を調達するとともに、それを使って加工を行います。お客様が...

1.SCMと生産指示  サプライチェーンにおいては、必要なものを必要なタイミングで必要な数量を調達するとともに、それを使って加工を行います。お客様が...


物流は設計段階で決まる エンジニアリングとしての物流(その1)

 物流はエンジニアリングだという発想が必要です。物流は技術であると考えられるのですが、このような認識を持っていらっしゃる方はそれほど多くはありません。物流...

 物流はエンジニアリングだという発想が必要です。物流は技術であると考えられるのですが、このような認識を持っていらっしゃる方はそれほど多くはありません。物流...